脳と発達
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53 巻, 4 号
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巻頭言
総説
  • —CLN2の病態と診断, 治療法を中心に—
    衞藤 薫
    2021 年53 巻4 号 p. 251-256
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー

     神経セロイドリポフスチン症 (neuronal ceroid lipofuscinoses ; NCL) は遺伝性の神経変性疾患であり, 神経細胞を含めた様々な細胞のライソゾーム内に自家発光を有する蓄積物質を認める. 成人型の一部を除き常染色体劣性遺伝形式をとり, 進行性の運動発達退行, けいれん, 視力障害を来し, 一般に小児期の発症では予後が不良である. 臨床病型として, 乳児型 (infantile type), 乳児期遅発型 (late infantile type), 若年型 (juvenile type), 成人型 (adult type) の4型に分類される. 近年, ライソゾームに関連する酵素をコードする遺伝子を含めた13遺伝子の異常が本症の原因として報告されている. 本症は同一の遺伝子変異であっても, 臨床経過が異なる表現型異質性を持つ. 多様な発症機序が示唆されているが, 不明な点が多い. 本症における根本療法はないが, CLN2に於いて脳室内へのcerliponase alfaの酵素補充療法により, 自然歴と比較して運動・言語機能の低下の軽減が報告されており, 新生児スクリーニングを含めた早期診断・治療介入が重要である.

特集・第62回日本小児神経学会学術集会
<倫理委員会・COI 委員会共催セミナー>
原著
  • 立石 裕一, 石川 暢恒, 谷 博雄, 小林 良行
    2021 年53 巻4 号 p. 286-290
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー

     【目的】てんかん診療において発作型の判断は重要である. 通常は問診や外来脳波などを用いて発作型を推定するが, 正確な判断が困難な場合もある. てんかんの発作型診断におけるビデオ脳波モニタリング (VEEG) および専門医診察の有用性について検討した. 【方法】2015年4月1日から2019年3月31日の間に当科でてんかん発作の評価として12時間以上VEEGが施行された139例について後方視的に検討した. 【結果】139例中115例 (82.7%) で発作捕捉が可能であった. 検査時の発作頻度が日単位の症例, 知的障害を合併した症例では発作捕捉率が高かった. 発作を捕捉できた115例中113例 (98.3%) では発作起始の特定あるいは非てんかん性の診断が可能であった. 小児神経専門医の診察機会があった症例では非専門医から紹介となった症例と比較しVEEG前後で発作型が不変であった割合が有意に高く (p=0.025), 専門医の診察は発作型診断に有用と考えられた. 専門医の診察機会があった症例でも62.8%はVEEG検査後に発作型が新たに明らかになった. 【結論】小児神経専門医の診察を受けた症例では発作型の診断が正確な割合が多く, 専門医の診察は発作型診断に有用である. 一方, 専門医の診察を経てもVEEGはてんかんの発作型診断と治療方針の判断において有用であり, 発作コントロール困難な症例では検査を考慮すべきと考えられる.

症例報告
  • 大野 武, 川島 英志, 小松原 孝夫, 放上 萌美, 眞柄 慎一, 小林 悠, 遠山 潤, 石井 敦士, 廣瀬 伸一
    2021 年53 巻4 号 p. 291-295
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル フリー

     Cerebellar ataxia, areflexia, pes cavus, optic atrophy and sensorineural hearing loss (CAPOS) 症候群はATP1A3のヘテロ接合性c.2452G>A変異によりおこるATP1A3関連疾患の1つである. 症例は男児. 感染症による発熱の後に意識障害, 小脳失調, 筋緊張低下, 深部腱反射消失等が出現するエピソードを0歳11か月から4歳11か月の間に3回反復した. 凹足は認めないが, 検査で感音性難聴, 視神経障害も確認した. CAPOS症候群を疑いATP1A3遺伝子のexon18をサンガー法で塩基配列解析したところ, de novoのヘテロ接合性変異 (NM_152296.5 : c.2452G>A[p.Glu818Lys]) を同定し, 診断を確定した. 診断確定後, acetazolamideによる治療を開始し, その後2年5か月間急性発作性エピソードの再発を認めていない. 発熱後に急性脳症, 急性小脳失調やGuillain-Barré症候群類似の症状を来し, 急性のエピソードを反復する場合には, CAPOS症候群を念頭においた家族歴の確認や症状の評価が重要であり, 確定診断のため遺伝学的検査も検討すべきである.

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