International Classification of Diseases 11th Revision(ICD-11)に新たに収載されたsleep-wake disordersの中で,睡眠不足症候群は思春期世代に多い疾患である.本稿ではまずICD-11収載の小児関連のsleep-wake disordersについて概説した.次いで思春期の睡眠不足症候群あるいは慢性睡眠不足に関する報告を渉猟,睡眠不足症候群あるいは慢性の睡眠不足が学業含む学校生活,肥満に代表される健康面,抑うつ等の精神面,危険行動(飲酒喫煙薬物使用),さらには交通事故等の安全面等,広範な事項に影響を及ぼす可能性のあることを紹介した.また睡眠不足症候群をnon-communicable diseaseとしてとらえる考えかたもあることについても紹介した.睡眠不足症候群がICD-11に収載されたことで今後広く疾患として認知され,様々な調査研究が進展することを期待したい.
脳波は神経学・小児神経学の診療とくにてんかんの診断には欠かせない検査である.歴史は古いが,今やアナログからデジタルになり,記録は頭皮上電極から頭蓋内電極に拡がり,発展を続けている.過去を振り返れば,大田原症候群の発見および臨床発作像と並び脳波像が重要であるという臨床・脳波症候群の概念が年齢依存性てんかん性脳症の概念につながり,これは現在の発達性てんかん性脳症の概念へと進んだ.各種誘発電位や事象関連電位も開発された.現在のデジタル脳波の利点はそのまま分析に応用できることであり,その恩恵は表示のリモンタージュなどには留まらない.電流双極子モデルを使用したてんかん発射の発生源推定や,広帯域脳波の活用は重要であり,とくに高周波振動はてんかん原性と生理的高次脳機能活動の両面に関与する.発達性てんかん性脳症の病態生理において,大量出現する病的高周波が生理的高周波に干渉するために機能障害をきたしているのではないかと推測しているが,今なお証明できない.未来の予見は難しいが人工知能(AI)の応用による自動処理の試み,例えばてんかん発射の自動検出技術などは進むと思われる.余談であるが神経活動と脳波についてよりよく理解するためには,神経シミュレーションが有用だろうと推測する.しかし膨大なコンピュータ処理を要するためかなり未来の話になるであろう.
【目的】2021年9月に施行された医療的ケア児支援法によって,国や地方自治体の医療的ケア児への支援が努力義務から責務となり,教育現場にはさまざまな影響が予想される.今回,自施設の位置する東京都城南地区の教育機関と医療的ケア児の養育者に対し,養育者が抱える問題点,教育機関の現状,本法律の影響について調査した.【方法】東京都城南地区の公立校には郵送で,当院通院中の医療的ケア児の養育者には手渡しでアンケート調査を行った.対象は,公立小中高等学校210校と特別支援学校6校,養育者48名である.【結果】普通学校の38%,特別支援学校の67%,医療的ケア児の養育者44%(21名/48名)から回答を得た.普通学校では医療的ケア児が在籍している学校が14%,本法律の認知度が教職員の半数以上である学校は18%で,受け入れに困難を感じる学校が80%以上であった.特別支援学校からは設備不十分や教員不足といった問題点が挙げられた.養育者の86%が介護のため深夜に起床し,57%は自分の自由時間が2時間未満であった.38%が学校に付き添っており,養育者が本法律に期待することは,医療的ケアが可能な教職員の配置・増員,仕事と子育ての両立,保護者の付き添い無しの通学が多かった.【結論】教育現場での法律の認知度はまだ低く,教育機関の現状と養育者の期待には乖離がある.医療的ケア児支援法の立法趣旨を実現し,インクルーシブ教育を推進するためには,医療的ケア児支援法の周知と教員に対する支援のための円滑な連携が必須である.