抗てんかん剤慢性投与における, 腎, 肝, 造血器機能及びCa, P代謝に及ぼす影響.
この論文は長期間抗てんかん剤の投与を受けた小児に対する, 腎, 肝, 骨髄機能及びCa, P代謝への影響を検討したものである.
1) 過去4年間に, 抗てんかん剤投与中に発症した合併症は次のようなものである.体位性蛋白尿, 13: 腎炎, 4: ネフローゼ, 1: 1upus-腎炎, 1: 微少血尿, 1: 肝炎, 4: 貧血, 1: 顆粒球減少症, 3.
2) 腎機能異常を呈した患者にはPhenobarbitalあるいはDiphenylhydantoinが投与されている者よりも, Sulthiameが投与されていたものが多かつた.
3) Adreno-chrome (AC-17) を体位性蛋白尿の患者に投与して, 早朝尿における尿蛋白のA/G比の正常化率及び, 昼間尿蛋白陰性化率を検討した. 抗てんかん剤服用者の体位性蛋白尿患者においては, それ等の率は夫々14.3%及び42.8%で, コントロール (抗てんかん剤非服用者体位性蛋白尿) よりも低かつた.コントロール群は夫々69.3%, 84.6%であった.
4) 血清Ca, P値は抗てんかん剤非服用者群より服用している高年齢群において低値を示した.
5) 投薬期間, 投薬指数 (投薬数×投薬月数) の増加に伴い, -3/2SD以下の低Ca, 低P血症を呈する患児の発生率は, 抗てんかん剤投与者群において増加した. これ等の患児の大部分は, 難治性てんかんか脳性麻痺か知能発達遅延かの合併症を伴つていた.
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