服用群34例, 対照群23例 (うち2例はDPH非服用てんかん児) の末梢神経機能を検討し次の結果を得た.
1) 5才以上の症例について, MCVはDPH群47.6±9.4m/sec, 対照群57.1±7.0m/secでP<0.05で有意差があった.対照群の標準偏差の2SDをこえるものは, DPH群32%, control群0%であった.
2) 5才以上の症例について, SCVはDPH群45.2±10.9m/sec, 対照群56.9±7.0m/secでP<0.05で有意差があった.対照群の標準偏差の2SDをこえるものは, DPH群42%, 対照群5%であった.
3) T波潜時はDPH群にr=0.6733, control群r=0.7460で両者の間に推計学的有意差はないが, DPH群に延長する傾向がみられた.
4) M波潜時は対照群には年齢による変動はないが, DPH群では年齢との間にP<0.01で有意の相関がなりたちr=0.5730であった.
5) 連続誘発筋電図, 強縮負荷後誘発電位では, DPH群にwaningの傾向を示す症例をやや多くみたが推計学的有意差はなかった.
6) MCV, SCV, T波潜時とDPHの血中濃度, 服用期間, 服用総量, 歯肉増生との関係では, 血中濃度は相関関係なく, 服用期間では, T波潜時にP<0.01で相関係数r=0.4923, 服用総量ではMCVとの間にP<0.05でr=0.3584を得, 歯肉増生では, SCVの方にP<0.01で有意差をもっておそかった.
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