脳と発達
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8 巻, 5 号
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  • 第1編脳未分化細胞の増殖動態に対する低栄養の影響
    森川 佑二
    1976 年 8 巻 5 号 p. 346-357
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    乳仔期の低栄養が脳発達におよぼす影響を, 3H-チミジソォートラジオグラフィーにより細胞増殖動態の面から検索した.
    実験には, ICR-JCL系マウスを用い, 生下時より親マウス1匹につき仔マウス6匹あるいは16-18匹を離乳期まで哺乳させ, それぞれ対照群および低栄養群とした.離乳後, 両群のマウスは, 制限なく自由に食餌を摂取した.
    生後20日目では, 低栄養群の体重は対照群の約1/2であり, 脳重量は対照群にくらべて18%減少していた.低栄養群は, 離乳後自由に食餌を摂取したにもかかわらず, 60日目の体重および脳重量はともに, 対照群とくらべ有意に低く, 完全な回復はみられなかった.低栄養の影響は, 大脳より小脳においていっそう著明で, 低栄養群の小脳は, 対照群より明らかに小さく, その外顆粒層の消失はより遅延していた.
    3H-チミジンによる5日目と10日目の小脳外顆粒層の細胞の標識率は, 両群の間で有意の差を認めなかったが, 15日目以後の外顆粒層では, 低栄養群は対照群に比較し有意に高値を示した.10日目のマウスの小脳外顆粒層の細胞世代時間は, 低栄養群と対照群でそれぞれ18時間および15.5時間で, 前者は後者にくらべて2.5時間の延長を示した.
    この細胞世代時間の延長, すなわち細胞増殖能の低下により, 従来の生化学的研究結果が指摘するような脳の細胞数の減少がもたらされるものと推測された.
  • 大村 清, 樋上 忍, 西沢 弘二, 一色 玄, 多田 啓也
    1976 年 8 巻 5 号 p. 358-361
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    皮膚線維芽細胞および白血球のα-L-iduronidaseを測定することにより, 容易にハーラー症候群の診断ができる.正常培養羊水細胞では, 低値であるが十分なα-L-iduronidase活性が認められた.本酵素の測定は, ハーラー症候群の出生前診断に有力な方法になると思われる.また, 白血球α-L-iduronidase測定により, 従来困難であったハーラー症候群の保因者の診断の可能性が示唆された.
  • 清水 寛, 隅 清臣, 杉田 隆博, 藪内 百治, 稲岡 長, 松本 義男, 三牧 孝至
    1976 年 8 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    1) 脳血管造影法により確認されたモヤモヤ病5例に対し, 超音波Doppler法により左右内頸動脈血流流速を測定した.
    2) 患児群は同年代対照群に比し, 平均最高流速A/Lと, 心拡張末期の流速dはいずれも低値を示した.
    3) モヤモヤ病の診断に対しては, 平均最高流速A/Lより心拡張末期の流速dがより有効であると思われた.
    4) 健康成人の平均最高流速A/Lに比べ, 小児対照群の平均最高流速A/Lは高値を示した.
  • 渋谷 温, 諸岡 啓一
    1976 年 8 巻 5 号 p. 369-372
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    長期 (6年以上) 抗痙攣剤の投与をうけている重症心身障害児36人の末梢血リンパ球subpopulationの変動と血清免疫グロブリン値を非投与児28人と比較検討し, 以下の成績をえた.
    1) 投与群ではT-cellの%と絶対数の減少があり, B-cellは相対的な上昇を示すが絶対数の増加はなかった.したがって存在するリンパ球数の低下はT-cellの絶対数の減少にあることがわかった.
    2) 果粒球数においては差がなかった.
    3) 血清免疫グロブリン値は両者で差がなくいずれも正常範囲内であった.低IgA血症はいずれの群においてもみられなかった.
    4) このような長期投与群の中ではリンパ球subpopulationの変動と薬物の投与量, 投与期間との間には有意の相関はなかった.今回の実験でT-cellの減少は栄養低下によるものではなく, 長期投与による抗痙攣剤のリンパ球の代謝系への影響が予想された.
  • 岩瀬 勝彦, 渡辺 一功, 原 紀美子
    1976 年 8 巻 5 号 p. 373-384
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    胎生期後半の睡眠の発達と脳波パターンについて述べた.
    1) 受胎後週数の進歩とともに, 不定睡眠が減少し, 静睡眠の占める割合が多くなる.動睡眠は受胎後36週あたりでいったん多少増加して, その後再び減少する.
    2) 受胎後36週すぎの静睡眠の持続は20分前後で, 相当安定したものである.
    3) 静睡眠前期は主として高振幅徐波の脳波パターンが多く, 中, 後期は非連続性交代性記録が優勢となる.
    4) 動睡眠も脳波パターンよりみると一様な時期ではなく, 受胎後週数にともなう発達がみられる.
    5) 動睡眠から静睡眠への移行期は受胎後週数とともに短時間となり, 36週すぎでは2~3分つづき, 脳波パターンは高振幅徐波が多くみられる.静睡眠終了後, 動睡眠へ移行する時期は3分ぐらいつづき, 脳波パターンは連続的低振幅のものが多い.
    6) 静睡眠の発達と高振幅徐波パターンは皮質化の発達の現われであると考えられる.
  • 特に慢性DPH中毒症による小脳変性との比較
    河野 登, 渡部 雅愛, 後藤 町子, 橋本 俊顕, 森脇 昭介
    1976 年 8 巻 5 号 p. 385-393
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    1) 2年2ヵ月間Diphenylhydantoinを服用, 生後8ヵ月で発症, 満3才で死亡した古典的Tay-Sachs病の脳病理を報告した.DPH中毒症における小脳病変の関与も考えられた.併せて慢性DPH中毒症の発症因子, 臨床像, 診断について自験例を対比しつつ検討した.
    2) 文献的にTay-Sachs病, 慢性DPH中毒症の共通小脳病理所見として, (1) ゴム様硬度増加, (2) Purkinje細胞の広範かつびまん性の消失, (3) 電顕的にMembranous CytoPlasmic Bodyの存在などを示し, DPHの連用が中枢神経変性疾患と同じような病的過程を起こしている可能性を推定した.
    3) 抗痙攣剤の長期連用症例については, 原疾患に被われやすい慢性DPH中毒症状について充分考慮しつつ治療する必要性を強調した.
  • 神尾 守房, 杉田 隆博
    1976 年 8 巻 5 号 p. 394-400
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    失神類似の意識消失発作をきたした小児45例について臨床的脳波学的検討をおこなった.発症年齢は6ヵ月から12才までに分布していた.痙攣の既往を23%に認めた.推定原因を有している症例が42%あり, その中24.5%が周生期異常であった.
    意識消失発作の時間は数分から数十分で, チアノーゼを伴い, 四肢は弛緩または不変, 頭痛, 嘔気等を高率に合併し, 後睡眠を伴う.脳波は, 背景脳波の異常を67%に認め, 棘徐波結合が多い.抗痙攣剤によく反応し予後は良好であった.
  • 武田 明夫, 後藤 浩, 天野 嘉之, 久木野 和暁
    1976 年 8 巻 5 号 p. 401-408
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    治療中のてんかん患者41例のDPA血中濃度の測定を行ない次の結果を得た.
    1) DPA投与開始後定常状態の95%濃度に達するのに必要な日数は4-5日である.
    2) 長期間DPA治療をつづけた症例のDPA半減期は約24時間である.
    3) DPAの血中濃度と用量との間には, Y=2.8X+29.5で示される直線相関性があったが, 個体差が存在する.
    4) DPAの有効治療濃度は65-150μg/mlと考えられ, この値を維持するためには, およそ17-33mg/kg/dayの投与が必要である.
    5) 副作用出現濃度は不明であり, 1例にて160μg/mlの濃度でも副作用は出現しなかった.
    6) DPA濃度/用量比と体重の間には, Y=0.03X+2.49で示される直線相関性があり, 小児は成人に比し排泄率は大で成人の約1.5倍である.
    7) DPAは, DPHおよびBarbiturate系薬剤と併用すると血中濃度が低下するが, Carbamazepineと併用しても濃度変化は生じない.
    8) DPAの1日投与回数は, 成人では2-3回, 小児では3回が適当である.
    9) DPAの血中-髄液移行率は約12%である.
  • 水川 公直, 天野 忠温, 永井 崇夫, 島田 司巳
    1976 年 8 巻 5 号 p. 409-413
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    頭囲拡大, 大泉門部の開大, および両眼隔離症を認め, 特異な顔貌を呈した新生児で, 気脳写, 脳血管写で, Brocklehurstのいうdiencephalic cystと診断し得た2症例を報告し, 本症と脳梁欠損症との関連性についても言及した.本症の成因については, いまだ不明であるが, 著者らは, 従来からのわれわれの研究をもとに, 中枢神経系の発生初期において第三脳室のroofが他の部分にくらべて菲薄であるため, 髄液圧の上昇によって, この部分がもっとも嚢状に拡大しやすいこと, および間脳が腹側へ彎曲突出する時期での髄液圧の上昇などが, 本症の発生の大きな要因であろうと推論した.
  • 前川 喜平
    1976 年 8 巻 5 号 p. 414-415
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
  • 宮越 雅子
    1976 年 8 巻 5 号 p. 416-417
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
  • 石原 昂
    1976 年 8 巻 5 号 p. 418-420
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
  • 風祭 元
    1976 年 8 巻 5 号 p. 421-422
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
  • アメリカ小児神経学会の小児神経学専門雑誌創設案に対する会員アンケート集計
    福山 幸夫
    1976 年 8 巻 5 号 p. 423-424
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
  • 安藤 恒三郎
    1976 年 8 巻 5 号 p. 425
    発行日: 1976/09/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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