脳と発達
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9 巻 , 6 号
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  • 岡田 耕坪, 土田 正, 山田 潔忠, 植木 幸明
    1977 年 9 巻 6 号 p. 450-454
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    小児の脳血管障害のうち, 特発性脳内血腫7例をとりあげて, その臨床的特徴, 予後について報告した.小児入院患者総数1, 912例中, 脳血管障害は29例あり, これは脳腫瘍患者数の約1/10に当る.この内, 血管撮影等の諸検査にても血管腫などの異常を認めないいわゆる特発性脳内血腫は7例であった.年齢は6才から13才までに分布していた.初発症状はいずれも急激で, 頭痛, 悪心, 嘔吐などの脳圧充進が主であった.発症から入院までに平均35日とかなり経過していた.入院時はうっ血乳頭が5例に認められ, その他片麻痺6例, 失語症2例と巣症状を示していたものが多い.血腫部位は皮質下のものが5例, 内包部のものが2例である.原因としては高血圧症が1例に認められたが, 他の6例には何ら認められなかった.最高17年から最短4年の長期観察で, 1例に再出血発作が認められたが, 他には認められなかった.また機能予後も極めて良好で全例ともに十分な社会生活又は学業生活を行なっていた.但し5例に焦点性てんかんの発症をみていたが1例を除き, 完全に発作は抑制されていた.
  • 杉江 秀夫, 遠藤 晴久, 加藤 進昌, 宍倉 啓子, 宮川 富三郎
    1977 年 9 巻 6 号 p. 455-463
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    点頭てんかんは小児期の年齢依存性てんかんの中でもその予後においてきわめて難治である事は周知である.
    種々の治療的試みがなされ, ACTH-Zによる治療が開始されて以来, 点頭てんかんにも, 光明がみい出されてきた.
    さて, 近年てんかんの成因を脳内カテコラミソ代謝と関連づける研究が示されてきた.
    しかし, その臨床的応用は, あまり行なわれていないようである.
    筆者らは, 治療面での臨床的応用を試みるべく, 2例の点頭てんかん児にアプローチした.2例は多発性関節脱臼を伴った3ヵ月の女児 (症例1) と1才の女児 (症例2) である.2例にpyridoxineを筋注し劇的な効果があった.pyridoxineに対する特異的な反応かどうかを検討する為に, いったん投与を中止し, 発作再発を待って再投与を行なった.結果は2例とも発作抑制がなかった.
    両者に髄液中モノアミン濃度 (HVA, 5HIAA, octopamine, synephrine) の測定を行ない, 症例1でHVA低値, octopamine高値を見い出し, 岸川らの仮説を参考にL-DOPA投与を行ない奏効するとともに, 脳波, 髄液検査, 臨床観察などいずれの面でもその再現性を確認した.
    この2例をふまえ, また文献的考察を参考にし,てんかんの一部に一種の更脳内代謝異常“による症例があると推論した.特にその中でもGABA, dopamine系, serotonin系の三つを主要なものと考え図式によってその関連を呈示し考察した.
    また筆者らは, octopamine高値例にはL-DOPAが効きやすいのではないかという推論も加えた.
    同時に今後てんかんを治療するにあたり, 脳内代謝異常という新しい観点からの検査, 治療法についての私案をのべた。
  • 下條 まきゑ
    1977 年 9 巻 6 号 p. 464-478
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    代表的小児筋疾患である小児重症筋無力症 (myasthenia gravis, 以下MGと略) 21例と小児進行性筋ジストロフィー症 (progressive muscular dystrophy, 以下PMDと略) 18例について, マクロファージ遊走阻止試験 (macrophage migration inhibitiontest, 以下MITと略) を用い細胞性免疫の関与を検討した.前者については, ヒト筋肉粗, リボ核蛋白質 (ribonucleoprotein, 以下RNPと略), 脳粗, 脳白質塩基性蛋白 (white matter basic protein, 以下WMBPと略), 脳灰白質塩基性蛋白 (gray matter basic protein, 以下GMBPと略) 胸腺粗の6種類の抗原を用い, 後者については胸腺抗原を除く5種類の抗原を用いて, その感作の有無を明らかにするとともに, 臨床像および免疫グロブリン値との関連性について検討し, 以下の結果を得た.1) MGにおけるMIT陽性率は, 筋肉粗24%, RNP13%, 脳 (粗, WMBP, GMBP) 0%, 胸腺粗43%であり, 胸腺に最も高い陽性率を示した.2) MGの臨床像とMITとの関連性を検討したところ, MIT陽性例には2才以後の発症例が多く, 2才以下の乳児期発症例の大部分はMIT陰性であった.また眼筋型から全身型へ移行した1例で, 筋粗抗原に対するMI値が34%と強い遊走阻止現象をみたことが注目された.しかし他の症例において, MIT陽性群と陰性群との間で, MGの寛解率に差はなかった.3) MG症例の血清免疫グロブリン値の検討からは, IgGは異常低値を, IgMは異常高値を示す例が多かったが, MI値との間に有意の相関はみられなかった.しかしIgEにおいてはMIT陽性例に異常低値例が多かった.4) PMDにおけるMIT陽性率は, Duchenne型で筋粗抗原33%, RNP30%, 脳粗抗原43%, WMBP41%, GMBP41%と, 骨格筋および脳の両者に対して高い陽性率を示した.しかし先天型ではMIT陽性例は少なかった.5) PMDにおけるMITの成績と臨床像, 血清免疫グロブリン値とを比較検討したところ, 顕著な精神運動発達遅滞および顔面筋罹患をもつ特異な非典型的Duchenne型 (先天型との移行型) 2例において, MI値が強陽性 (6-30%) であった.しかし, 他の例については特にMI値と臨床像との間の関連性はみられなかった.
    以上の如くのMIT陽性所見は, MGとPMDにおける細胞性免疫反応の存在を示すものであり, これらの疾患の成因に何らかの関与をもつことが示唆された.
  • 加藤 昌弘
    1977 年 9 巻 6 号 p. 479-483
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    1) 1975年1月から1977年1月までに, 小児の慢性頭痛150名を経験した.片頭痛型血管性頭痛43名, 筋収縮性頭痛27名, 混合性頭痛18名, 妄想・転換または心気状態の頭痛6名, および分類不能のもの56名であった.
    2) 片頭痛の部位は前頭および側頭部が多く, 片側性頭痛を経験したことがあるものは, 38/61と, 少なくなかった.視症状を中心とする前兆は61%にみられ, 視症状のなかではblurredvisionが多かった.悪心・嘔吐は85%と高率にみられた.片頭痛発作は, 頻回で, 持 続が短い傾向にあり, 数分のものもあった.2日以上に亘る長い持続のものは例外であった。
    3) 筋収縮性頭痛の部位は, 後頭・前頭部および全体が多く, 殆んどが両側性であった.少数ながら, 悪心・嘔吐を経験したものがあった.持続は成人に比して短く, 数日に亘ることは稀であった.
    4) 既往歴にODがあるものが, 各群とも多く, 頭痛の分類としてODを挙げることに問題があることを論じた.
    5) 分類不能なものは, 雑多なものの集りであるが, その中心をなすものは, 片頭痛とかなり類似性があり, 現在用いられている片頭痛の診断基準に疑問を投げかけた.
  • 加藤 昌弘
    1977 年 9 巻 6 号 p. 484-487
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    片頭痛群26名, 筋収縮性頭痛11名, 妄想・転換または心気状態の頭痛および非片頭痛型血管性頭痛の1名にreserpine 1mgを皮下注射し, 臨床的観察を行なった.注射後1-6時間で, 拍動性頭痛が, 片頭痛群25名と, 妄想・転換または心気状態の頭痛の1名で誘発された.片頭痛群と, 他の群とでの, 拍動性頭痛の誘発率の差は有意 (P<0.001) であった.悪心・嘔吐も前者に多かった (P<0.05).
    reserpine誘発試験は, 小児の慢性頭痛の診断に役立っ検査法となる可能性がある.
  • 三池 輝久, 玉利 秀夫, 上野 留夫, 三吉野 産治, 埜中 征哉
    1977 年 9 巻 6 号 p. 488-493
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    central core disease 4才男児例を報告した.患児は1才頃より近位筋弱力, 動揺性歩行, Gowers'sign, 反張膝, 脊椎前彎を認めた.腱反射は全て消失しており, 筋電図は筋原性パターンを示したが, クレアチン, クレアチニンを除いて, 血清酵素活性は全て正常値を示した.筋組織像は, 筋線維中央または周辺部に, タイプ1, II線維共に40-50%のcoreを認めた.LDH, NADH, SDH, ATPaseなどの組織学的検索では, core部の活性は低下あるいは消失しており, phosphorylaseは逆に活性を示した.電顕像はNevilleらのいう, いわゆるunstructuredcoreの像を示した.このように乳児期よりみられる筋弱力などの臨床像, 特有な筋組織所見は先天性筋疾患として一つのentityを形成するに十分な要素を備えていると思われる.
  • 本間 洋子, 加納 康彦, 中島 俊一, 二瓶 健次, 柳沢 正義
    1977 年 9 巻 6 号 p. 494-498
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    Listeria monocytogenes (以下L菌と略す) による感染は, 本邦において114例の報告を見るのみで比較的稀なものである.われわれは1年半の間に3例のL菌に依る髄膜炎を経験した.症例1は鉄欠乏性貧血を有する2才の男児で髄液は単核球増多を示し, 血液, 髄液の両者からL菌が分離された.血清型は4b型であった.症例2は2才男児で髄液は多核球増多を示し, 髄液から分離したL菌は1b型であった.症例3は2才女児で髄液は単核球増多を示し, 髄液かち分離したL菌は4b型であった.いずれも抗生物質投与により完治した.うち2症例について若干の免疫学的検討を試みたが1例に軽度のT細胞低下をみた以外, 明らかな免疫能の低下を示唆する所見は得られなかった.
  • 松本 義男, 清水 寛, 佐井 義和, 隅 清臣, 村田 三郎
    1977 年 9 巻 6 号 p. 499-503
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    頭重感・悪心・嘔吐・めまい・意識障害で突然に発症し, 脳血管撮影にて約1.3cmの長さにわたる脳底動脈の閉塞症, および左横静脈洞の閉塞症と診断した9才の男児例を経験した.本例は神経学的にはほとんど正常にまで回復したが, 100病日に行なった超音波ドプラ法による脳血流流速測定ではなお閉塞が存在することを示唆する結果であった.
  • 堀田 秀樹, 帆足 英一, 奥山 裕子, 熊谷 公明, 遠藤 四郎
    1977 年 9 巻 6 号 p. 504-511
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    生後4ヵ月目に前屈発作が出現した点頭てんかん児にACTH療法, hydrocortisone療法, ケトン食療法を行なったが, 効果なく種々の発作型を推移し, 極度の精神運動発達遅延をきたした.われわれは本症例におけるACTH療法の適, 不適, 経過中みられた痙攣, その他の症状, 並びに治療に前後して行なった終夜睡眠ポリグラフィーにおける所見について検討した.その結果本症例における脳障害ぱ広範かつ重篶であり, その脳障害発現には点頭てんかん本来の脳障害に加えてホルモン剤などの影響もたぶんにあると思われた.
  • 向井 幸生
    1977 年 9 巻 6 号 p. 512-522
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    この第3編においては, 症候論, 治療, 予後, 予防, 小児神経学研究法, 正常小児のCriteria, “各種発達指標の有効性の相対的評価法” 等の局面における集団小児神経学の役割について論じた.
    1) “教師評定による児童の行動の相対的評価法” を例として, 小児神経疾患に伴う症候の評価方法について論じた.一般に, 小児神経疾患 (脳障害児) は特異的な症候を示すことが少ないので, これらを客観的に評価するためには, どうしても “集団” の中で相対的に評価するというやり方をとらざるをえないであろう.
    2) 正常小児のCriteriaについて.小児神経疾患 (脳障害児) についてのスクリーニング・テストはまた, “神経学的な観点からの正常小児” を一般小児集団の中から抽出するためのスクリーニング.テストとしても用いうる (そのためには選別の水準を変動させればよいのである図1).これも簡易検査の機能の一つなのである (表4, 3a).正常小児 (6-12才) の簡便でしかも客観的・数量的なCriteriaを, 筆者らの試案として表3に示した.
    3) 臓器別に, 類似の発達指標相互間でそれらの有効性の相対的評価を行なうための方法は, まだ確立されていない.そこで筆者らは, 各種発達指標の有効性の指標間相対評価のインデックスとして, 次に示すような “茨城インデックス” を考案した.
    茨城インデックス (I.I.) =V. (年齢別平均発達速度) /S.D. (年齢別標準偏差
    1.1.値が高値を示すほど, その臓器の統合的発達指標として, より有効であるとみなされる.
    4) “良性乳児痙攣”, “熱性痙攣” を例として, 小児神経疾患の予後の研究法について考察した.小児神経疾患の予後に関する研究においては, 大学病院へ受診した患児を対象とするのでなく, (1) 一般の小児集団を対象とする集団検診において発見された症例を, (2) 前方視的に追跡調査しなければならない.
    ところが, 通常集団検診において発見された症例を長期にわたって追跡することは困難である.そこで筆者は便法として, 次のような研究方法を提案した.集団検診で発見された症例の1人1人について, いくつかの観点からマッチさせた症例を病院受診児の中から選定し, それらを研究対象とする方法である.マッチさせるべき観点 (指標) の一つとして第2編において述べた脳障害児のスクリーニング・テストを用いることが考えられる.すなわち, 表4の第5) b) 項に示す如く, 簡易検査は研究対象集団の質をコントロールするための指標として用いうることになる.
    5) 集団小児神経学は, さまざまな方法によりながらも, 小児神経疾患を予防することをこそ, その第一義的な目的としている.
    6) 表4第5) c) 項に示す如く, 小児のための簡易検査は, 各種の発達研究を厖大な小児集団に徴しつつ能率よく推進させるのに役立つであろう.
    7) 治療の局面における集団小児神経学の役割り.例えば, 問題行動児のうちのあるものに対しては, 薬物療法や個別的心理療法よりは, 治療キャンプ等に収容してグループ・ダイナミクスの中で鍛えたほうがより有効な場合もあると考えられる.
    以上のことから看取されるように, 集団小児神経学は現在までのところ小児神経学の総論の部分を充実させ, また小児神経疾患 (脳障害児) の集団検診の技術を開発するという二つの側面において, いくらかの成果を挙げているにすぎない.
    集団小児神経学的な発想と方法は, 従来の小児神経学の中にもその萌芽を見出しうるものであり, 今後上述のような諸問題についての意識的な取組みを促進することを狙いとして, “集団小児神経学” を提唱したのである.
    今後臨床小児神経学と集団小児神経学とは互いに影響を及ぼしあいながら, 混然一体となって発展していくべきものであると考えられる.
    多くの小児神経科医からの集団小児神経学へのご批判と, そして何よりも本領域へのご参加を切望してやまない.
  • 前川 喜平
    1977 年 9 巻 6 号 p. 523-524
    発行日: 1977/11/01
    公開日: 2011/05/24
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