先天性筋ジストロフィー症に水頭症と先天性皮膚洞を合併した生後3ヵ月の剖検例を報告する.
分娩時第III度の胎盤機能不全と仮死が認められた.在胎42週で2, 4909, 頭囲34.5cm.生後3日の主な入院時所見は大きな頭, 両眼の白内障, ブドウ膜炎, 四肢と顎関節の重度拘縮, 筋の萎縮と筋力低下, 及び後頭部皮膚洞であった.
血清CPK, Aldolase, Transaminaseは全て高値で筋電図もmyogenic patternを示していた.
剖検では大脳半球は嚢状を呈し, 殆んど完全に脳回が消失していた.脳梁はかろうじて前部が残っているのみで透明中隔は欠損していた.中脳水道は閉塞し顕徴鏡的には上皮の剥離とforkingが認められた.小脳は小多脳回を呈し, 虫部は低形成であった.多発性の1eucoencephalomalasiaが第3脳室, 側脳室の周辺に存在し, 大脳の細胞構築, 基底核, 橋, 延髄は中度より高度の異常を示していた.脊髄は前角細胞も含めて異常はなく, たぶん類上皮嚢胞と思われる腫瘤が後頭部隆起直下部に認められた.
筋は肉眼的に萎縮し顕徴鏡的には三種のpatternを示した.すなわち, 典型的なCMDのpattern, 血管周囲の炎症のpattern及び再生のpatternである.これらのpatternが各筋に種々の組合せ・程度で認められた.
他の病理所見として, 胸腺肥大, 子宮と腟の完全重複, 両側の卵巣嚢胞が存在した.この症例は筋ジストロフィー症の所見ばかりでなく, 胎内感染を疑わせる多くの所見を呈していた.これらのことにより, われわれは先天性筋ジストロフィー症と胎内感染との間に何らかの病因論的な因子または相互の関連性があるのではないかと考えた.
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