オレオサイエンス
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1 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文
  • 岩崎 雄吾, 山根 恒夫
    2001 年1 巻8 号 p. 825-833,822
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    構造脂質とは特定の脂肪酸を特定の位置に結合させたトリアシルグリセロール (TG) のことである。リパーゼは種々の構造脂質合成において強力なツールとなる。TGはその脂肪酸の種類や結合位置により, AAA, ABA, AAB, 及びABC型に分類できる。AAA型のTGは脂肪酸とグリセロールから, 化学法あるいは酵素法により合成でき, 化学量論比の基質混合物からでも100%近い収率が達成できる。AAA型以外のTGについては, 位置特異的な反応を必要とするため, 位置特異的リパーゼの使用が有効である。ABA型構造脂質は1) BBBのようなAAA型TGと脂肪酸 (または脂肪酸エチルエステル) 間での1, 3位特異的エステル交換により, 1, 3位の脂肪酸のみを置換する方法, 2) グリセロールと脂肪酸から1, 3位特異的エステル化により1, 3-ジアシルグリセロールを調製した後, 2位へ化学的に第二の脂肪酸残基を導入する方法, 3) TGの1, 3位特異的脱アシル化により2-モノアシルグリセロールを調製した後, 1, 3位を第二の脂肪酸で再アシル化する方法, のいずれかにより調製できる。AAB型構造脂質はAAA型TGの1位あるいは3位のどちらか一方のみを第二の脂肪酸で置換する事により調製できる。ある種のリパーゼはsn-1に対する反応性がsn-3位よりも高い事が知られており, この立体選択性を利用することでキラルなAAB型, ABC型構造脂質の酵素合成も可能となる。
  • Tom KUBIK, Chibwe CHUNGU, Sara FREEMAN, Bruce MURRAY, Pat CORBETT, Ste ...
    2001 年1 巻8 号 p. 835-840,822
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    キャノーラ品質を有するBrassica napusは, 人と家畜の両方の主要なエネルギー源となっている。その登場以来, キャノーラの価値は, 高い油分含量, 良好な脂肪酸組成, さらに繊維などの非栄養素の低減のような望ましい特徴を有する多様な品種の開発を通じて向上し続けた。花粉培養, 胚の回収そして遺伝子マーカーを含むバイオテクノロジーによるアプローチは, より優れた育種系列の開発に広範囲の方法を提供した。新奇な特徴の導入によって, 安定したハイブリッドシステムや除草剤に耐性のある品種の開発に至った。ハーフシードセレクション法を使用することで, (高オレイン酸, 低リノレン酸, 低飽和脂肪酸のキャノーラとなる) 脂肪酸組成の改変を伴う系統の同定を容易にした。産業界の挑戦は, 栄養学者による継続的な評価はもちろん, 消費者と食品産業の要求の変化によって継続して進められるはずである。
  • 中原 東郎
    2001 年1 巻8 号 p. 841-849,823
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    微生物により油脂を生産する試みは20世紀当初よりなされてきたが, 1985年以降ようやく実用化の日の目を見たのはγ-リノレン酸とその後のアラキドン酸, ドコサヘキサエン酸であった。これらはすべて必須脂肪酸である高度不飽和脂肪酸であり, 高度不飽和脂肪酸はシングルセルオイル研究の中心課題である。微生物に含まれる高度不飽和脂肪酸は種特異的であり, 化学分類に適用できる可能性がある。ここでは酵母, 糸状菌, ラビリンチュラ類における, 全脂質と高度不飽和脂肪酸生産 (特にγ-リノレン酸, アラキドン酸, ドコサヘキサエン酸を中心に) に及ぼす各種培養因子を概観した。そこでは回分と連続という培養様式の違いと, 実用化に至る高い生産性をどのように実現したかを明らかにした。
  • 大門 浩作
    2001 年1 巻8 号 p. 851-856,823
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    リパーゼ (triacylglycerol acylhydolase) は, トリアシルグリセロールの, グリセロールと脂肪酸のエステル結合を加水分解する酵素である。固定化リパーゼの利用として, エステル交換が広く知られている。
    アニオン交換樹脂に固定化されたRizomueor mieheiの1, 3位特異性リパーゼ (Lipozyme RM IM) の性質が調べられた。酵素の活性は, 水分量, 反応温度, 有機溶剤の種類, 基質アルコールの違い (炭素鎖長・一価/二価) 及び担体の粒度に影響を受けた。酵素の熱安定性は, 固定化により著しく増加した。また, カラムで使用した場合の活性の半減期は1600時間であった。
    Candida antarcticaのBリパーゼを新しく開発された安価なシリカゲルをベースとした担体に固定化したものと, 同酵素を多孔性アクリル樹脂に固定化された市販のリパーゼ (Novozyme435) のエステル合成活性が4つの異なった反応で比較された。シリカゲルベースのものは市販品に比べて, 反応速度が遅いことが示され, 担体の選択の重要性が示された。
    遺伝子操作を用いて酵素の収率を向上させた微生物を用いて生産されたThermomyces lanuginoseの1, 3特異性リパーゼが安価なシリカゲルベースの担体に固定化され, 安価な油脂 [マーガリン等] のエステル交換への応用が検討された。ケミカル法と比較して, 酵素の1, 3特異性のため, 生成物では, 原料由来のグリセロールの2位の脂肪酸がより多くその位置に残存することが示された。固体脂含量ではほとんどその差がなく, マーガリンの製造に使用しうることが示された。
    3つの異なった市販固定化リパーゼの性質がまとめられた。
  • 蓑島 良一
    2001 年1 巻8 号 p. 857-862,824
    発行日: 2001/08/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    リパーゼは油脂工業において最も重要な酵素であり, 微生物リパーゼは商業化され, 一部油脂製造用として工業的に用いられている。
    近年, 基質特異性の高いリパーゼを用いた構造油脂の生産の検討などが多く行われ, たとえば, 生理活性が高いとされるEPA, DHAや中鎖脂肪酸, 新規油糧原料など多くの油脂原料が基質として利用されている。しかし, リパーゼは高価であり, また長期間使用による活性の低下が起こりやすく, 製造コストが比較的高い。
    コスト低減法としては, リパーゼを安価に製造したり, リパーゼの安定性を高めたり, リパーゼを活性化するなどの方法がある。リパーゼの安定性を高める方法としては, 安定化剤添加, 化学修飾, 固定化, 遺伝子操作などがあげられる。また, リパーゼの安定性に大きな影響を与える因子としては, 反応系の水分量, 反応温度や基質油の精製度, 過酸化物価などがあげられ, これらを調節することで安定性が向上する。
    リパーゼ反応の工業化例としては, 脂肪酸製造, カカオ代用脂, 中鎖・長鎖脂肪酸のトリアシルグリセロールなどがあげられる。実際の反応では, 化学反応と比較して基質特異性が高いことやマイルドな条件による反応で風味が良いなどの利点があるが, 精製度が低いリパーゼを用いると, 酵素中の不純物が反応油へ影響を及ぼすこともある。
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