産卵鶏の血液IgG抗体は卵黄中へ蓄積される。これは親鳥が獲得した免疫を子孫に伝えるためである。卵黄中の抗体はIgYと呼ばれている。従来, 特異的抗体はウサギやヤギを特定抗原で免疫し, その血液からIgG抗体として得られているが, 現在では鶏を免疫して, その卵から特異的IgY抗体を得ることが可能である。IgYは対応する抗原に対して, ほ乳類の血清IgG抗体と同様の特異性を有し, 臨床検査試薬として有効に利用可能である。また, IgYのその他の重要な利用法として, 病原体や毒素抗原に対して調製したIgYで病原性や毒性を中和する受動免疫療法があげられる。本稿ではIgYの用途として, 臨床検査薬分野への応用および感染症予防分野への応用について紹介する。
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