オレオサイエンス
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12 巻, 7 号
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特集総説論文
  • 櫻谷 英治, 安藤 晃規, 清水 昌, 小川 順
    2012 年12 巻7 号 p. 263-272
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    高度不飽和脂肪酸(PUFA)のような機能性脂質の応用研究は,「健康」 や 「栄養」 に関わる様々な分野で行われてきた。特に注目されてきた炭素鎖長20以上のPUFAの供給源は,鶏卵に含まれるアラキドン酸や魚油に含まれるn-3 PUFAが主なものであった。炭素鎖長20以上のPUFAを生産する微生物スクリーニングにより,アラキドン酸を豊富に含むトリアシルグリセロールを生産する油糧微生物Mortierella alpina 1S-4が見いだされた。M. alpina 1S-4において,油脂の生産量は20 g/lに達し,総脂肪酸に占めるアラキドン酸の割合は30~70%を占める。これまでに,M. alpina 1S-4から様々な変異株が誘導され,多様なPUFAが生産されるようになった。さらに,M. alpina 1S-4の形質転換系の開発により,PUFA生合成に関わる酵素遺伝子の解明やPUFA生産の向上が可能となった。本稿では,M. alpina 1S-4の育種(変異株育種と分子育種を含む)によるアラキドン酸とその関連PUFAの実用的な微生物生産について報告する。
  • 榊原 学
    2012 年12 巻7 号 p. 273-282
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    高度不飽和脂肪酸は必須脂肪酸ともいわれ,我々はほとんど体内で合成することができないため,食品として必要量を摂取しなければならないが,高齢化に伴う食の嗜好の変化により十分量を摂取することは難しい。これを補う栄養補助食品の開発を意図して,本論文では,その効果の科学的裏付けを目的とする。本稿では主にアラキドン酸を中心とするn-6 系の脂肪酸が,脳の抗加齢食品素材として持つ効果を,行動学,電気生理学,光生理学,膜生物物理学,免疫組織化学,生化学の手法を用いて,学習・記憶と関連する脳の海馬で検討し,今後進むであろう高齢化社会において,健康な高齢者に資する健脳食品素材の提供を目指している。
  • 山口 進
    2012 年12 巻7 号 p. 283-288
    発行日: 2012年
    公開日: 2015/02/01
    ジャーナル フリー
    最近のいくつかの研究はアラキドン酸(AA)が食品の美味しさを向上させる効果があることを示唆している。少量のAA含有油脂を植物油脂に添加し,コロッケや炒飯,野菜スープの調理油として使用したところ,それらの食品は通常の植物油脂で調理した時と比べ,うま味やコク味や後味が向上した。 また,鶏肉の味はその鶏にAA を給餌することよって改良できる。鶏肉中のAA含量はその鶏に給餌する餌中のAA含量に比例して増加し,餌によってAA含量が異なるように調製した鶏肉を官能評価したところAA含量の高い鶏肉は低いものより,うま味やコク味が高まった。このようなAAによる食品の美味しさ向上効果のメカニズムを考察するため,本総説ではAAが味覚感知に影響を及ぼすことを示す研究例をいくつか紹介した。その1つとして,マウスを用いた実験によりAA酸化生成物がうま味成分であるグルタミン酸ナトリウムや甘味成分であるショ糖に対する味覚感受性を増強したことが示されている。これらの研究成果は油脂や脂肪酸が食品の味を感じる上で果たす役割の理解や,より美味しい食品の開発への応用に有用であると考える。
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