オレオサイエンス
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15 巻, 3 号
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特集総説論文
  • 梶本 和昭
    2015 年15 巻3 号 p. 107-114
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル フリー

    1980年以降,肥満者の割合は世界中でおよそ2倍に増加しており,肥満は今や地球規模の健康問題となっている。しかしながら,肥満に対する有効な治療法は存在しないと言っても過言ではなく,新たな治療法の確立が強く望まれている。脂肪組織の形成・肥大化に血管が必須の役割を果たしていることから,脂肪組織の血管機能を選択的に制御することができれば,極めて安全かつ効果的な肥満治療が可能になると考えられる。そこで我々は,脂肪組織の血管を選択的に認識して薬物を送達する 「能動的ターゲティング」 に基づく新たなシステムの開発を進め,脂肪組織の血管内皮細胞の細胞表面に発現するprohibitinに対する高親和性ペプチド(KGGRAKD)を標的化リガンドとして搭載したProhibitin-Targeted Nano Particle (PTNP) の構築とin vivoにおける肥満治療への応用に成功した。さらに,肥満状態の脂肪組織では,がん組織と同様のenhanced permeability and retention effect (EPR効果) によって血中滞留性を有するナノ粒子の受動的な集積が促進されることを発見し,新たな肥満治療法として脂肪組織の血管を標的とするナノ医療戦略を世界に先駆けて提唱した。本総説では,その背景から最近の研究まで,筆者らの研究成果を中心に解説する。

  • 秋田 英万
    2015 年15 巻3 号 p. 115-122
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル フリー

    遺伝子やsiRNAを用いた次世代医薬を実現するためには,これら分子の細胞内動態を制御するための技術が必要となる。本総説では最初に,我々がこれまでに実施した,ウイルスと人工遺伝子ベクター(リポプレックス)間の細胞内動態比較の結果について概説する。本解析により,核送達後の転写や翻訳過程が人工ベクターの遺伝子発現を制限する律速段階であることが明らかとなった。また,これら律速過程を生み出すメカニズムについてより詳細に解析した結果,細胞内に導入されたカチオン性成分が,導入遺伝子やmRNAと静電的に相互作用することが主要因であることも見出している。この細胞内動態解析結果に基づき,近年我々は,エンドソーム内の低pH環境で正に帯電し,また,細胞質内の還元環境下で分解される脂質様材料 (SS-cleavable and pH-activated lipid-like materials; ssPalm) を基盤材料としたナノ粒子開発を進めている。また,脂溶性足場構造に関して,ミリスチン酸 (ssPalmM),レチノール酸 (ssPalmA) and α-トコフェロール (ssPalmE) を採用した分子のラインアップを揃えている。本稿では,これらの材料から形成されるナノ粒子を用いた遺伝子,核酸デリバリー研究について概説する。

  • 鈴木 健一
    2015 年15 巻3 号 p. 123-129
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル フリー

    近年,ナノ粒子製剤の経皮投与への応用については,経細胞間隙ルート (50~70 nm) を目指した薬物内包キャリアの小径化技術が報告されており,経皮吸収におけるサイズ効果が示唆されている。本研究では,モデル薬物としてインドメタシン (IM) をポリ乳酸- グリコール酸共重合体 (PLGA) に内包した50~200 nmの薬物内包PLGA-NP (Nanoparticle) を創製し,貧溶媒拡散法と優先溶媒和法を組み合わせた新規粒子設計技術を確立した。新規調製法は,分散安定剤であるポリビニルアルコール (PVA) を使用しないため,PLGA由来の表面電荷を遮蔽せずに,表面負電荷密度の増強が期待できることから,イオントフォレシス (IP) に適した薬物内包キャリアとなり得ることが示唆された。粒子物性評価では,50 nmと100 nmの粒子間に差異は認められず,インドメタシン (IM) の放出挙動も同様であった。ラット摘出皮膚を用いたex vivo経皮透過性評価では,PLGA-NP化により透過促進剤及び溶解補助剤を使用せずに皮膚透過性が向上すること,また,イオントフォレシス適用下での透過試験後の皮内インドメタシン貯留量を評価した結果,50 nm及び100 nm粒子は単純溶液に対して有意な貯留性の増加が認められ,小径化による有用性が示唆された。更に,PLGA粒子 (キャリア) のトレーサーとして添加したクマリン6の皮内分布を評価した結果,小径化により表皮並びに毛胞等の付属器官における浸透性の向上が確認された。これらの研究成果からイオントフォレシスにおける通電条件と粒子設計の最適化は,ナノ粒子の経皮吸収製剤化と薬物の皮内分布の制御において重要な知見をもたらすものと考えられた。

  • 小暮 健太朗, 濱 進, 梶本 和昭
    2015 年15 巻3 号 p. 131-137
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル フリー

    イオントフォレシスは,微弱電流を皮膚に適用することで低分子薬物の皮膚透過を促進する物理的薬物経皮吸収促進法であり,皮膚上での電気泳動である。従来,皮膚は堅牢なバリアーであるため低分子薬物しか透過できないと考えられてきたが,最近様々な高分子も透過することが明らかになってきた。さらに,微弱電流によって皮膚の生理が変化することも明らかになりつつある。本稿では,微弱電流による高分子・ナノ粒子の皮内送達に関する最近の知見を紹介したい。

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