レオ・オプティックスはレオロジー計測と同期して光学的な計測,観察を実施する技術であり,流動により発生する分子配向からミリサイズのテクスチャ形成までのマルチスケールな現象を取り扱うことができる。具体的な光学的観察手法としてはサブミクロン程度の構造変化を観察できる小角光散乱,分子配向からサブミクロン程度の構造形成までを観察できる複屈折・二色性測定,ミクロンオーダーの構造を明らかにする光学顕微鏡観察などがよく用いられている。これらの結果はそれぞれ同時に測定されたレオロジーデータをキーとして用いることで総括して検討することが可能となり,マルチスケールな現象の解明に有効な情報が得られる。本稿ではこれらの手法について原理や測定方法,装置について具体的な事例をもとに概説する。さらに,最近の動向として2次元的な光学異方性分布の評価技術についても解説を行う。
レオオプティクスの適用事例として,複屈折と応力の同時測定を利用した研究事例を紹介し,現状と課題について検討する。紹介する手法は応力の発生機構が二種類以上存在する場合に有用で,複屈折と応力の同時測定から発生機構に基づいて部分応力を定量的に分離して求めることが可能である。研究例としては,溶液中における半屈曲性高分子の配向,曲げ,伸張モードへの分離,粒子充填ゴムの補強効果,ひも状ミセル溶液の流動誘起構造を取り上げる。
高粘性流体中に存在する微小気泡に圧力振動を印加した場合について,気泡近傍の応力を2種類のレオオプティック測定手法を適用した。回転偏光レーザービームを用いた計測手法と2次元偏光高速度カメラを用いた事例について,それぞれ簡潔に概要を説明し,周期的に収縮・膨張する気泡近傍の応力測定結果をそれぞれ紹介する。2次元偏光高速度カメラを用いた事例では,気泡の膨張・収縮に生じる局所流れのフローパターンについても紹介する。
高速度カメラは80年以上の歴史を経て,現在までに数多くの撮影手法が提案された。例えば,顕微鏡観察手法,光増倍観察手法,分光温度計測手法が挙げられる。一方で,それらの撮影手法を光学特性で分類すると,偏光を用いた手法が少ない。偏光計測分野では,回転検光子,光弾性変調器,および液晶を用いた手法により定量化が可能となり,膜厚計測,形状計測,および複屈折計測へ応用された。しかしながら,従来の複屈折計測手法では,偏光素子を時間変調するため,動的現象の計測ができない。異なる手法として,回転偏光板とイメージングを組み合わせた手法が提案されているが,偏光素子の回転を伴うため高速化が難しい。これらの背景を踏まえ,筆者達のグループは偏光高速度イメージング装置開発を行うことで,高速度イメージングにおける偏光分野への新規利用用途拡大を目指している。要素技術である偏光高速度イメージセンサは,マイクロ偏光素子アレイと高速度イメージセンサの並列読み出し画素を直結し,高速化を実現したものである1)。本論では,その要素技術について概要説明するとともに,新規開拓された用途を紹介するものである。