オレオサイエンス
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19 巻, 1 号
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受賞論文
  • 三木 涼太郎
    2019 年19 巻1 号 p. 5-11
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    我々は,自発的にインスリンの放出性を制御できる可能性を持つ新規紐状ミセルゲルを調製することに成功した。その調製には75 mMの臭化セチルトリメチルアンモニウム,75 mMのフェニルボロン酸(PBA)および水を用いた。それらを用いpH 9.4において,自重を支えるほどの高い粘性を有するゲルが調製できた。動的粘弾性測定より,この系は長い絡み合いを有する紐状ミセル構造を形成していると推測された。10 mMのグルコースを含有させると系の粘性は低下しゾル様になった。一方,PBAと相互作用しにくいジエチレングリコールを10 mM含有する系では,粘性は高いままでゲル様の外観であった。フルオレセインイソチオシアネートデキストラン(FD-4)をモデル薬物として系に加え放出試験を行ったところ,100 mMグルコースを含む溶液を用いた場合,120分時点での放出率は,100 mMジエチレングリコールを含む溶液の場合に比べ,約27 倍であった。以上の結果は,グルコースに応答して薬物放出性が増大する紐状ミセルゲルの調製に成功したことを示す。

特集総説論文
  • 坂井 隆也
    2019 年19 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/25
    ジャーナル フリー

    ユニラメラベシクルは,水中で固体表面に自発的へ付着し,崩壊後に表面上を拡散しながら高度に配向した均質な二分子膜を形成すると言われている。この非常に興味深い現象は,広く研究されるばかりでなく,産業的にも応用されてきたが,そのプロセスや駆動力に関する理解はいまだなされていない。近年,我々は,高速原子間力顕微鏡を使用し,ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド(DODAB)が作るベシクル(ゲル-液晶転移温度Tc=44℃)の,二分子膜形成過程の直接観察に成功した(25℃)。ベシクルは瞬間的にマイカ表面上で二分子膜ドメインに転移したが,それらが固体表面上で動いたり,融合して均質な膜になることは無かった。さらにTcが高い別のカチオン界面活性剤C18EACのベシクルを用いて同様の観察を行ったところ,ベシクルから二分子膜に転移する途中過程で,四分子膜を経由していることが明らかとなった。これは,C18EACの疎水基間のより強い凝集性によって,分子の動きが抑制された結果であると考えられ,ベシクルの外殻を形成する界面活性剤の水和結晶状態が,その成膜プロセスに大きな影響を与えることが明らかとなった。

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