オレオサイエンス
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6 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集総合論文
  • 宮城 淳, 鍋谷 浩志, 中嶋 光敏
    2006 年6 巻10 号 p. 484-492
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    疎水性高密度非多孔質膜による膜分離法を用いた廃食用油の再生技術を開発した。本法は, フライ油の全体的な劣化指針となる極性物質の改善率52~61%を示し, 従来法である酸化マグネシウムや活性白土を用いた吸着法より, 品質の優れた食用油の再生が可能になった。本法と吸着法との組み合わせにより, 遊離脂肪酸や酸化生成物の除去も可能になり, より品質の良好な食用油再生が実現できた。本膜の液体分離における特性を解明したことにより, 本法が廃食用油再生のみならず, 各種油状物質の精製・分離に応用できる可能性を示した。
  • 戸谷 永生
    2006 年6 巻10 号 p. 493-500
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    食品加工業で使用されるフライ油は, 長時問フライ製造のために加熱される結果, フライ油自体やフライ製品が含有するフライ油の性状が, 一般家庭のディープフライにおけるフライ油の性状に比較して劣ることが多い。ここでは使用に伴うフライ油の褐変の原因, 劣化油が生体に与える影響, 食品加工業が使用後回収された油を脱色して工業用途の油を再生する方法, 酸化防止の可能性について概説したのち, 食物連鎖と環境保全の観点から食品加工業用フライ油の使用時間の短縮を提案した。
  • 木村 彰成, 久保 幹
    2006 年6 巻10 号 p. 501-506
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    環境への負荷が小さい, 新たな油脂含有廃水の処理方法として, 特殊微生物を用いた新しい処理法が研究・開発されている。本稿では, 油脂分解微生物を用いた油脂含有廃水処理への取り組みとして, 高い安全性, 高速処理, 高濃度油脂含有廃水の処理に対応可能な油脂分解微生物の開発, 高効率な分解処理を目指した油脂分解微生物群の開発についてまとめる。その後, さらなる効率のよい油脂含有廃液処理を目指し, 新しい油脂分解評価法を用いた高効率油脂分解微生物の探索とその応用について紹介する。さらに, 高効率な油脂含有廃水の処理の実用化に向けた取り組みとして, 油脂分解処理槽における遺伝子レベルでの微生物モニタリングと, 開放系における新規油脂分解微生物の油脂分解能の評価について述べ, 今後の特殊微生物を用いた特殊廃液処理について展望する。
  • 内山 裕夫
    2006 年6 巻10 号 p. 507-514
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    バイオレメディエーション技術は経済的かつ汚染現場で行うことができるため, 有効な環境修復技術の一つとして用いられている。数多くの汚染物質の中でも, ガソリン, 航空燃料, ジーゼル燃料, 燃料油等の石油系炭化水素は, 通常の場合, 微生物の生育炭素源・エネルギー源であるため, バイオレメディエーションによって二酸化炭素と水への完全無機化が可能であり, これまでに数多くの石油分解微生物について研究報告がなされている。しかしごく最近までは, 環境中において分解に関わっているが培養できない微生物については, ほとんど解明されていなかった。バイオレメディエーションに伴う微生物コミュニティーの変動に関しては, 解明の緒に就いたばかりである。本稿では, 最近徐々に明らかにされつつある油分解の「主役微生物」に関する知見を紹介するとともに, 油汚染の浄化は単一微生物によるものではなく, 直接的あるいは間接的に分解に関わる多数の微生物によるネットワークで行われることも紹介する。
  • 松村 正利
    2006 年6 巻10 号 p. 515-523
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    再生可能な植物油から製造される軽油代替燃料 (バイオディーゼル) の利用は, 地球環境保全に多くのメリットをもたらす。石油由来の軽油に近い燃料特性を示すバイオディーゼルは, ディーゼルエンジンの改良なして利用することができる。しかし, 純粋なバイオディーゼル (B100) の利用は, 低温流動性およびトルクが低いことによってこれまで実用が危ぶまれてきた。また, この製造に係る基本的な化学反応は複雑なものではないが, 商業規模での生産での必須要件は, 品質を最も厳格に規定しているEU統一規格EN14214を満足させることである。
    本開発研究では, 粗精製ヒマワリ油を燃料用メチルエステルに変換する連続製造プロセスの開発を目的とした。とくに, 本プロセス開発では, 製造方法およびプロセスによって大きく左右される残存グリセリドを低減させることに留意した。また, われわれが新たに開発した流動点降下剤についても紹介する。この開発によってバイオディーゼルの実用化は著しく高められた。
  • 白井 義人
    2006 年6 巻10 号 p. 525-533
    発行日: 2006年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    現在, マレーシアは世界最大のパームオイル産油国である。パームオイルの需要も今後とも増え続けると予想される。パームオイル産業は食用油を生産するばかりでなく, 空房 (EFB) やパームオイル廃液 (POME) をはじめとする膨大な量のバイオマスが副生される。一般に, POMEは広大な嫌気性処理池 (ラグーン) で処理されているが, ここからは大量のメタンが, 効果的に利用されることなく大気に放出されている。メタンは地球温暖化ガスである。そのため, メタンの大気への放出は削減されねばならない。京都議定書では, クリーン開発メカニズム (CDM) と呼ばれる, 先進工業国と開発途上国が共同して途上国での温暖化ガス削減事業が奨励されている。パームオイルのプランテーションはもともと大きな炭酸ガスの吸収源であるが, それに加え, パームオイル産業の廃液処理を近代的なメタン発酵システムを導入することにより, さらに多くの地球温暖化ガスの削減が期待できる。他方, 地球温暖化ガス削減戦略の一環として, 化石資源への依存性を低減させる意味から, 日本政府はバイオマスの導入に注目している。マレーシアでは経済成長に伴い, 熱帯雨林の開発によるパームプランテーションの開発はもはや経済的に成立しなくなりつつある。将来的なパームオイルの需要増加に応えるため, パームオイル産業は他の産業との連携が重要である。CDMにより広大なラグーンを用いた廃液処理システムを近大的なメタン発酵システムに換えると, 広大なラグーン跡地が利用可能になる。CDMにより, メタンを発電に利用することができるし, このエネルギーはパームオイル産業から副生されるバイオマスから, エタノールやポリ乳酸, 有機酸といった高付加価値な製品を製造する際に利用可能である。このような環境保全戦略はパームオイルを生産できる赤道周辺の開発途上国の貧困からの脱出に応用可能となるのではないだろうか。
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