オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
9 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
特集総説
  • 目黒 真一, 時光 一郎
    2009 年9 巻10 号 p. 423-432
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    高度不飽和脂肪酸は, 分子内二重結合の数, 位置および鎖長の違い等により生理作用が異なることが知られている。その中で共役脂肪酸 (とくに共役リノール酸) およびomega-3 (n-3) 型脂肪酸 (とくにエイコサペンタエン酸, ドコサヘキサエン酸, もしくはそれらを多く含む魚油) については, 抗肥満作用への影響に関する検討や, その作用機序と考えられているエネルギー消費や脂質代謝等への影響に関する検討が, 細胞, 動物, ヒトを対象に実施され, 多数の報告がある。本総説では, これまでに報告されている共役脂肪酸とn-3型脂肪酸の抗肥満作用への有効性および作用機序に関する報告について, 最新の知見も含めて紹介する。
  • 河島 洋
    2009 年9 巻10 号 p. 433-441
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    アラキドン酸は必須脂肪酸の一種であり, ドコサヘキサエン酸とともに, 脳内に存在する主要な脂肪酸のひとつである。アラキドン酸が母乳成分であることをきっかけに乳児栄養における重要性が見出され, 乳児用調整粉乳に添加されるようになった。また, 加齢に伴う記憶学習能の低下がアラキドン酸摂取により改善することがラットで確認されるとともに, ヒトにおいても, 脳波 (事象関連電位) による認知機能や神経心理テストによる記憶学習能の改善が明らかとなった。メカニズムに関しても, 神経細胞膜の流動性の改善や神経幹細胞数の増加などが見出されつつある。栄養学的な研究も始まっており, アラキドン酸を摂取する意義がさらに解明されることが期待される。
  • 日比野 英彦
    2009 年9 巻10 号 p. 443-453
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    真性肉食動物の猫は栄養素必要性としてアラキドン酸, レチノール, タウリンが知られている。アラキドン酸の必須性は△6-不飽和化酵素の欠損による。そのため, リノール酸を摂取してもアラキドン酸に代謝できない。レチノール (ビタミンA) の必須性は腸内ジオキシゲナーゼを欠失しているためβ-カロチンをレチノールに分解できない。タウリンを合成する酵素を持っていないため, 動物性タンパク質にのみ存在するタウリンを摂取する必要がある。△6-不飽和化酵素の欠損はn-3系脂肪酸のリノレン酸を摂取してもEPAやDHAに代謝できないことも意味している。真性肉食動物の猫はアラキドン酸およびEPAやDHAを得るため植物のリノール酸やリノレン酸を摂取しても代謝できないのでそれらを含有している哺乳類の肉を摂取する必要がある。魚はEPAやDHAの他, アラキドン酸, レチノール, タウリンを含有している。闇の中でものが見える猫の網膜の視細胞, すなわち, 光受容器細胞の構築と維持のためにもDHA, レチノール, タウリンが必要である。以上の理由から筆者は, 「肉を摂取できない時は, 猫は魚を食べる」という仮説を提案する。
  • 久下 理
    2009 年9 巻10 号 p. 455-464
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    リン脂質の代謝調節とオルガネラ間輸送は, 真核生物の生体膜の構築に必須の反応である。真核生物の主要リン脂質の一つであるホスファチジルセリン (PS) は, 小胞体 (ER) とERのサブドメインであるミトコンドリア結合膜 (MAM) で生合成される。哺乳動物培養細胞では, PSの生合成は外因性のPSにより著しく阻害され, このフィードバック制御は, PS合成酵素遺伝子の発現調節ではなく, PSの存在により酵素の活性そのものが阻害される様式による。一方, ER/MAMで合成されたPSは, 形質膜, ミトコンドリア, ゴルジなど細胞内のさまざまなオルガネラに輸送される。これまでの研究により, PSのオルガネラ間輸送は, PSを供与するドナー膜とPSを受け取るアクセプター膜の問の接触領域を介して行われることが示唆されているoまた, 近年の研究により, PSのER/MAMからミトコンドリアあるいはゴルジへの輸送に関与するいくつかの脂質因子とタンパク質因子が同定されている。本総説では, 哺乳動物細胞におけるPS生合成調節機構と哺乳動物細胞と酵母におけるPSのER/MAMからミトコンドリアあるいはゴルジへの輸送機構に関して現在理解されていることを紹介する。
  • 白土 明子, 中西 義信
    2009 年9 巻10 号 p. 465-471
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    私たちの一生を通じて, 多くの細胞が生理学的細胞死のアポトーシスを起こし, 速やかに貧食を受けて生体から除去される。このアポトーシス細胞の貧食除去は, 生体恒常性の維持に必要である。膜リン脂質はこの現象に関与し, 標的細胞が食細胞に認識される際の目印や食細胞中での貧食誘導性情報伝達の制御因子として働くことが知られる。本稿では, 膜リン脂質に依存したアポトーシス細胞貧食反応の仕組みと意義とを解説する。
  • 三浦 豊
    2009 年9 巻10 号 p. 473-481
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    近年, 糖脂質の新たな機能性が明らかになりつつある。本稿では, とくにシアル酸を含有する糖脂質であるガングリオシドについて, その抗がん作用ならびに免疫調節作用に関して概説する。ガングリオシドは細胞膜においてはその外葉に局在していることが知られており, 細胞膜上でマイクロドメインを形成していると考えられている。ガングリオシドが抗がん作用, 免疫調節作用を示す際にも, マイクロドメインの構造的, 機能的修飾を介していると予想される。一方, これまでのガングリオシドの生理作用は主として細胞レベルでの研究であり, 生体内での作用を示した報告は非常に少ない。しかし, ガングリオシドは食品から摂取しており, 栄養学的な意義を検討することも重要であり, 食事由来ガングリオシドの生理作用を検討した報告も少しずつではあるが, 増えつつある。本稿ではわれわれの研究成果を紹介するだけでなく, ガングリオシドの栄養学的な意義について現状と将来的な検討課題を提案したい。
feedback
Top