オレオサイエンス
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9 巻, 9 号
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特集総説
  • 印藤 頼子, 佐伯 和弘
    2009 年 9 巻 9 号 p. 375-384
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    近年, 食生活においてウシやブタなどの家畜由来の脂肪を多く摂取するようになったことから, 家畜に多い飽和脂肪酸が原因の一端といわれている生活習慣病が増加している。エイコサペンタエン酸 (EPA, 20 : 5n-3) やドコサヘキサエン酸 (DHA, 22 : 6n-3) などのn-3系多価不飽和脂肪酸 (n-3PUFA) には, 動物実験や疫学的調査から, 血栓性疾患やガン, 炎症性疾患などの生活習慣病の予防効果が認められていることから, n-3PUFAを食事からより多く摂取することが推奨されている。しかしながら, n-3PUFAは魚, アザラシなどの海獣やアマニ油などの特定の植物油には多く含まれているが, 牛肉や豚肉に含まれる脂肪と置き換えられるほど多く摂取することは, 食習慣上困難である。そこで, われわれの研究グループでは, n-3PUFAを容易に摂取できるように, 遺伝子組換え技術を利用して植物のω3脂肪酸不飽和化酵素遺伝子を家畜に導入し, n-3PUFAを多く含有する家畜を作出することを考えた。ここでは, 動物への植物由来脂肪酸不飽和化酵素遺伝子の導入とその機能的発現に関するわれわれの最近の研究を中心に報告する。
  • 三沢 典彦
    2009 年 9 巻 9 号 p. 385-391
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    カロテノイドは通常, 黄色~榿~赤色を示す炭素数40のイソプレノイド (テトラテルペン) 色素であり, 現在までに750種類以上が自然界より単離されている。カロテノイドは高等植物, 藻類, シアノバクテリア, 光合成細菌といったすべての光合成生物, および, 光合成をしない一部の細菌やカビなどによって生合成される。生合成的に最初の無色のカロテノイドであるフィトエンは, 2分子のゲラニルゲラニルピロリン酸から合成され, 次に, 長い共役二重結合を持つように脱水素反応を受ける。その後, しばしば環化され, 修飾を受けて, 多様なキサントフィル (分子内に酸素を含むカロテノイド) を形成する。本章では, カロテノイドの基本構造の生合成を示した後, 環化カロテノイド産生細菌と高等植物におけるキサントフィルの生合成を, 遺伝子産物としての酵素反応のレベルで示す。最後に, アスタキサンチンやカンタキサンチン等のケトカロテノイドを含む有用カロテノイドの経済的生産に向けた植物の代謝工学研究を紹介する。
  • 田坂 恭嗣
    2009 年 9 巻 9 号 p. 393-399
    発行日: 2009/09/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換え植物を用いて動物型スフィンゴ糖脂質を生産する系を確立した。動物固有のスフィンゴ糖脂質は医薬品素材への応用が期待される有用脂質で動物組織 (脳など) に豊富に存在するが, 動物の組織から抽出した成分には感染症病原体混入のリスクがある。本稿では, スフィンゴ糖脂質の機能や産業利用, 動植物における生合成経路の違いについて解説した後, 筆者の研究を紹介する。
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