気管支喘息28例を対象に, 年齢, 重症度, 気道過敏性, および Ca ionophore A23187 刺激時の白血球からのヒスタミン, ロイコトリエンC4, B4遊離と温泉療法の臨床効果との関連について検討を加えた。
1. 平均年齢は, 温泉療法無効例で, 有効例に比べやや低い傾向がみられた。
2. 白血球からのヒスタミン遊離は, 温泉療法無効例 (35.6±15.7%) において, 有効例 (著効例: 19.6±14.5%, 有効例: 19.3±12.2%) に比べ有意に高い値が示された (P<0.05)。
3. 白血球のLTC4産生は, 温泉療法有効例で, 無効例に比べ高い傾向がみられたが, 両群間に有意の差はみられなかった。
4. 白血球のLTB4産生は, 温泉療法有効例 (著効例: 12.9±13.3ng/5x10
6cells, 有効例: 12.6±7.8ng/5x10
6cells) で, (無効例: 7.8±5.8ng/5x10
6cells) に比べ有意に高い傾向がみられた (P<0.05)。
5. メサコリンによる気道過敏性試験では, 温泉療法無効例で, 有効例に比べ, より強い気道過敏性が示されたが, 両群間には有意の差は見られなかった。
6. 温泉療法の効果と血中コーチゾール値との間にはなんらの関連もみられなかった。
以上の結果より, 温泉療法の臨床効果は, 白血球からのヒスタミンやロイコトリエンC4. B4遊離の程度とある程度関連があることが示唆された。
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