音声研究
Online ISSN : 2189-5961
Print ISSN : 1342-8675
13 巻 , 2 号
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表紙
特集「最適性理論の各領域における発展・深化」
  • 田中 伸一, 深澤 はるか
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 1-2
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
  • マカーシー ジョン J.
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 3-12
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    最適性理論における音韻パターンの説明は,1つの階層に序列化された出力制約群を用いてなされる。「制約」に関する理論なのだから当然であり,実際上も「操作」の理論としてはほとんど説明上の役割を持たなかったため,これまでも生成部門GENの操作についてはほとんど議論されてこなかった。しかし,調和的逐次モデルと呼ばれる派生的な最適性理論の台頭とともに,この状況が一変した。調和的逐次モデルと標準的な最適性理論との主要な違いは,前者のGENは「一度に1つの変化しかもたらすことができない」という点にこそある。したがって,調和的逐次モデルに基づいて分析したり説明したりするためには,「一度に1つの変化しかもたらすことができない」ということが,実際のところ何を意味するのかを知ることが鍵となる。そして,そのためにはまさにGENに関する理論が必要となるのである。そこでこの論文は,調和的逐次モデルににおけるGENの役割を解き明かし,GENの特性を発見するための2つの技法について論じる。
  • 田中 伸一
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 13-21
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    言語類型上の体系的空白を原理的に説明することは,言語理論の大きな目標の1つである。全ての可能な言語形式だけを生成し,不可能な言語形式を排除するのが文法の機能だからである。ゆえに,全ての制約が普遍的であるとの仮説に立つ最適性理論では,制約の相互作用により体系的空白を適格に排除できる点を経験的に検証することが,必須の研究手続きとなる。しかし問題は,その排除をどこで保証するかである。体系的空白を生む文法上のメカニズムとしては,従来から,制約の非対称性や序列の非対称性(つまりCONの制限)が知られてきた。絶対的非文法性の議論もある。本発表ではさらに,局所的最適性(EVALによるGENの制限)が有効であることを主張する。その有効性を異化作用に見られるある種の体系的空白に基づいて経験的に検証・証明することにより,局所的制約結合を用いた'parallel OT'よりも,調和的逐次性を取り入れた'serial OT'の方が妥当であるとの理論的意味合いを導き出す。
  • 孫 範基
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 22-28
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    本研究は現代韓国語における末尾子音の振る舞いについて論じる。先行研究は末尾子音の制限について,韓国語に特化されたCODACONDのもとで分析してきた。本論文は一言語に特化された制約ではなく,一般的な制約階層の相互作用により末尾子音の振る舞いを分析する。特に子音群単純化において,単子音の中和には見られない「無標性の出現」や「有標性の保持」といった有標性効果が現れることを明らかにする。さらにソウル方言と慶尚方言における子音群単純化のバリエーションは調音位置の保持階層と末尾子音の聞こえ度に関する制約階層という二つの階層の中でどの制約階層が優先されるのかによって決まることを示す。
  • 深澤 はるか
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 29-34
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    最適性理論は,子どもの言語獲得(母語獲得)の過程に関する見解を大きく変えた。それまで,母語獲得過程にある子どもの発話は多くの「誤り」を含むとみなされてきた。それは,音声学的/音韻論的な発達が未だ大人のそれには達していないため,いわば未熟さが引き起こす「誤り」であるとされた。しかしながら,最適性理論は「有標性対無標性」という観点から,子どもの発話は母語に含まれる有標な形式を「無標で適格な」形式で一時的に「代用している」とみなし,その代用の段階から大人の発話形式の獲得は,照合性制約が上位にランク付けされるようになることで説明できるとした。本稿は,このような最適性理論における言語獲得に対する原点となる考え方をまず概観し,さらに,照合性制約だけでなく有標性制約の役割に焦点を当てる。有標性制約間のランキングや,有標性制約の相対化,という新たな概念も子どもの母語獲得に重要な役割を果たす可能性があることを示す。
  • 栗栖 和孝
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 35-44
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    本稿では最適性理論における例外現象の分析を概観する。例外現象は派生理論において周辺的な扱いを受ける傾向があった。全ての制約が普遍的であると仮定する最適性理論においては,非例外現象と例外現象が共通の基盤で分析される必要があり,例外現象も言語分析の中心に位置付けられる。まず最初に,例外現象にも一定のパターンが見られることを論じる。例外現象におけるパターン性は,非例外現象に見られるパターン性と同様,文法構造の解明および理論的分析の比較において示唆に富む。従って,理論的枠組に関係なく,例外現象は言語分析において重要な位置を占めると言える。次に,最適性理論内で用いられてきた例外現象に対する主要な分析手法の基本的な考え方と実際の適用例を紹介し,各分析の長所と短所を論じる。例外現象に関して未解明の問題は多く残されており,最後に今後の課題についても言及する。
  • 北原 真冬
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 45-51
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    統計的手法を導入した最適性理論(OT)と調和度文法(HG)を中心に最近の研究動向を概観した。候補のセットから最適な形式を選ぶ文法モジュールと,文法の時間的変化を扱う学習アルゴリズムを切り離し,それぞれに確率分布を扱う計算機構を入れて考えると,範疇的でない変化の過程や自由変異に沿うような組み合わせは何かを様々に探求することができる。本稿では特にBoersma and Hayes(2001)の提案とそれに対する批判,そしてさらに批判を乗り越えた新たなモデルができていく過程を中心に扱った。しかし,時間的・確率的に変動する事象は音声学から音韻論,心理言語学にいたる広い範囲に様々な形で存在している。それらを扱うためにはランキングとその学習アルゴリズムだけでなく,ほかにも確率分布を扱える機構を組み込む可能性を検討する必要がある。制約に直接音声学的な機構を反映させる方法や,候補のセット全体を空間に見立てて,その振舞を確率的に扱う方法の一端も紹介した。
  • 川原 繁人
    原稿種別: 本文
    2009 年 13 巻 2 号 p. 52-61
    発行日: 2009/08/30
    公開日: 2017/08/31
    ジャーナル フリー
    本稿では,最適性理論の忠実性(faithfulness)の原則によって可能となった研究分野を概観する。第一に,忠実性の原則により音韻的対比の知覚しやすさ(perceptibility)を音韻文法に取り込むことが可能になり,それをもとに多くの新しい研究がなされている。また,忠実性の原則が対応理論(correspondence theory)によって定式化されたことにより,言語の音韻構造と言葉遊び(韻や洒落)に見られる構造とに平行性があることが明確に示され,言葉遊びのデータから言語の構造を探ることが可能となった。本稿ではこれらの研究を概観した後,そこで前提とされている音韻的対比の知覚しやすさに関する仮説を,音の近似性判断実験によって検証する。
第319回研究例会発表要旨
第23回日本音声学会全国大会
日本音声学会会則
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