音声研究
Online ISSN : 2189-5961
Print ISSN : 1342-8675
23 巻
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
新会長および新委員長の就任挨拶
研究論文
  • 伊達 宏子, 中村 則子, 峯松 信明
    2019 年23 巻 p. 6-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/04/30
    ジャーナル フリー

    OJAD(Online Japanese Accent Dictionary)のアクセント,イントネーションの視覚呈示機能,および合成音声による聴覚呈示機能を音読練習に使用し,中国語を母語とする日本語学習者の音声の韻律自然性に対する評価がどう向上するか,効果を検証した。その結果,仮説「視覚,聴覚呈示なしでテキストを読むより,視覚,聴覚呈示があったほうが評価スコアは高い」は支持され,これらの呈示機能に効果が認められた。また,仮説「視覚呈示か聴覚呈示かによって効果に違いがある」は支持され,全体として視覚呈示のみ,あるいは視覚・聴覚の両方呈示を行った場合に,より大きな効果が認められた。さらに,仮説「学習者のレベルによって,視覚呈示と聴覚呈示で効果に違いがある」は支持され,音読評価が高い学習者には両方呈示が有効であり,音読評価が低い学習者には聴覚呈示が有効であることが示唆された。一方,仮説「視覚呈示してから聴覚呈示を追加する方法と,聴覚呈示してから視覚呈示を追加する方法とで,効果に順番による違いがある。」は支持されず,使用順に関わらず最終的な到達度として同程度の効果が認められた。

  • 髙橋 康徳
    2019 年23 巻 p. 98-110
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

    上海語では複数音節からなる語句で変調が起きる。この変調のドメイン(変調域)は1980年代から理論的アプローチや中国語方言学的記述の枠組みで考察されており,最近では実験音韻論的研究が変調域の適格性に関する聴覚音声学的データを提供した。本稿では上海語の変調域に関する従来の研究をまとめた上で,会話教材を用いて変調域の産出データを分析する。観察された変調域の基本的な特徴は先行研究の分析で説明可能であるが,未報告の変調形成パタンも観察された。

  • 北村 達也, 天川 雄太, 波多野 博顕
    2019 年23 巻 p. 165-173
    発行日: 2019/12/30
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー

    おそ下がりは,アクセント核に後続するモーラに基本周波数の下がり目が生じる現象である。本研究では,東京方言話者の男性21名,女性27名,計48名が読み上げた230語の単語音声を対象にしておそ下がりの生起条件を調査した。その結果,おそ下がりは(1)男性よりも女性の方が生じやすい,(2)中高型よりも頭高型の語に現れやすい,(3)語に含まれるモーラ数が多い方が現れやすい,(4)アクセント核のあるモーラに後続するモーラに広母音を持つ語で現れやすいことが示された。

  • 邊 姫京
    2019 年23 巻 p. 174-197
    発行日: 2019/12/30
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー

    日本語における語頭閉鎖音の音韻カテゴリーは,一次的にはVOTの違いで区別される。しかし,先行研究では有声閉鎖音と無声閉鎖音のVOTが重複するほど近いため,VOTのみではカテゴリー区別が困難であることが指摘されている。これまでVOT以外の音響特徴として後続母音のfoやL1−L2などが取り上げられ検討されてきたが,先行研究の間に一致した見解は得られていない。本稿では,VOT以外の音響特徴として後続母音のfoに焦点を当て,4地域の計82名の話者を対象に検討を行った。主な結果は次のとおりである。VOTと後続母音のfoのどちらも単独ではカテゴリー間に重複が見られるが,VOTとfoを軸にする二次元グラフで見ると,2つのカテゴリーはほとんど重複することなくそれぞれの領域に分けられる。ただし,カテゴリー区別のためのVOTとfoの使われ方は地域により異なる。本稿の結果は,後続母音のfoが語頭閉鎖音のカテゴリー区別にかかわる音響特徴であることを示す証拠になるだろう。

研究ノート
  • Shigeto Kawahara, Gakuji Kumagai
    2019 年23 巻 p. 111-116
    発行日: 2019/08/31
    公開日: 2019/08/31
    ジャーナル フリー

    Recent studies show that sound symbolic principles are operative in Pokémon characters’ names; e.g., those characters with names that contain more voiced obstruents tend to be larger and heavier (Kawahara et al. 2018b). One question that arose from this line of research is whether other attributes of Pokémon—specifically their types—show any tangible effects of sound symbolism. This question is related to the more general issue of what kinds of semantic attributes/dimensions can be signaled by sound symbolism. In answer to this question, Hosokawa et al. (2018) showed that the dark type characters are more likely to contain voiced stops and less likely to contain labial consonants in their names than the fairy type characters. The current judgment experiment shows that these associations are productive. Moreover, the effect sizes of sound symbolism were not correlated with each participant’s familiarity with Pokémon, suggesting that the sound symbolic knowledge is more abstract than what can be gleaned from the Pokémon lexicon.

短信
特集「チベット・ビルマ系諸言語の音声と音韻」
特集「ロマンス諸語の音声」
追悼文
第33回日本音声学会全国大会要旨
第338回研究例会発表要旨
第339回研究例会発表要旨
日本音声学会会則
『音声研究』投稿規程
会務報告
お知らせ
feedback
Top