結合形
self-を伴った複合語(
self-control,
self-justifyingなど)において,
self-は,後続の語彙的要素よりも弱く発音される。後続要素の音韻的・形態的性質を分析した結果,
self-複合名詞及び複合形容詞の両方において次のような傾向が判明した。
self-に続く語彙的要素の語強勢が第二音節以降にある場合,
self-は複合語内で第三強勢を付与される可能性が非常に高い(例:
self-activity,
self-consistent)。一方,後続要素が冒頭音節に語強勢を持つ場合,
self-が複合語内で第二強勢を担う可能性も比較的高い(例:
self-discipline,
self-centering)。見方を変えれば,複合語アクセントからの距離が長いほど
self-は拘束形態素のように,一方,距離が短いほど自由形態素のように振舞うと考えられる。発音のパターンという観点では,後者の方が典型的な複合語(例:
blackboard)に近いが,実例は前者のパターンが多数を占めている。複合語内部における要素間の強弱パターンは,意味的関係(主要部か非主要部かなど)のみならず,構成要素の形式的特徴が重要な役割を果たし得ることを示唆している。
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