耳鼻咽喉科展望
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33 巻, Supplement4 号
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  • おもに小児に対する有用性の検討
    石田 孝, 神永 千織, 田辺 久雄, 藤本 泰幸, 森田 守
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 529-541
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    通年性アレルギー性鼻炎患者21症例 (小児18例) に対して, Ketotifen-MR錠 (2mg) を就寝前, 1日1回, 4週間以上の投与を試みた。
    全般改善度は「中等度改善」以上で52.4%,「軽度改善」を含めた場合には90.5%であり, 重症例に対しても改善度は良好であった。また, 小児例では「中等度改善」以上が55.6%,「軽度改善」以上が55.6%,「軽度改善」以上が88.9%であった。
    副作用は全例に認められなかった。
    有用度は「有用」以上で52.4%,「やや有用」以上で90.5%であった。また, 小児のみを対象とした場合の有用度は, それぞれ55.6%, 88.9%であり, 本薬剤の高い有用性が認められた。
    効果の発現は速やかであり, 66.7%の症例で1週間以内に効果が認められた。患者の印象は非常に良く,「少し良い」以上と答えた患者が100%に達した。
  • 二重盲検群間比較試験
    奥田 稔他
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 543-565
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    通年性アレルギー性鼻炎に対するフマル酸エメダスチン4mg/日・分2の有効性, 安全性及び有用性を評価するためにアゼラスチンを対照薬として多施設二重盲験群間比較試験を実施した。
    全般改善度の経時的な推移では両群とも1週目より2週目の方が改善率が高くなったことより十分な治療効果を得るためには2週間の投与が必要と考えられた。最終全般改善度において「中等度改善度」以上でエメダスチン群43.3%, アゼラスチン群36.6%であった。副作用の発現頻度はエメダスチン群14.9%, アゼラスチン群15.6%と両群間に差はなく主たる症状は両群とも眠気であった。改善度と安全度から総合的に評価された有用度では「かなり有用」以上がエメダスチン群41.2%, アゼラスチン群31.1%であり両群問に有意差はなかったがエメダスチン群の方がやや有用率が上回った。
    以上の成績よりアレルギー性鼻炎の治療薬としてエメダスチンは臨床的に有用な薬剤であることが認められた。
  • 小笠原 寛他
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 567-580
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    アゼラスチンの有効性と安全性を116例の鼻アレルギー患者について検討した。
    まず, アゼラスチン2mgを8週間投与後, 患者を無作為に半量の1mg継続投与群及び中止群に分けた。
    主な症状であるくしゃみ, 鼻汁, 鼻閉については, 投与1週間後より改善がみられた。8週投与後の全般改善度は85.7%であった。半分量に減量された患者の症状は12週間後でも改善を示した. しかし投与を中止した患者の12週間後では悪化した。
    軽度の副作用としては16例 (13.8%) のみであった。今回減量によるアゼラスチンの長期与の有用性が示された。
  • 永井 みどり, 牧野 浩二, 林 明俊, 春田 厚, 森満 保
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 581-590
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Ketotifen-MRの通年性アレルギー性鼻炎に対する有効性, 安全性, 有用性の検討を行う目的で通年性アレルギー性鼻炎患者17名に対し, Ketotifen-MRを1日1回4週間以上の投与を行い以下の結果を得た。
    有効性については, 最終全般改善度において, 著明改善が5例 (29.4%),「中等度改善」以上で64.7%と高い改善率を示した。また, 症状別効果判定において高い鼻閉の改善率が認められた。
    安全性については副作用が1例発現したが, 軽度の眠気であり特に処置を要することなく, 消失した。また, 17例中10例の症例に実施し得た臨床検査成績においても本剤投与前後の異常変動は認められなかった。
    以上の有効性, 安全性を考慮した本剤の有用性については,「極めて有用」が6例 (35.3%),「有用」以上が64.7%と高い有用率を示しKetotifen-MRの通年性アレルギー性鼻炎に対する高い有用性が示された。
  • 八木 聰明, 國友 万由美
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 591-594
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Hunt症候群症例に抗ウイルス剤であるAciclovirを用いて治療し, Aciclovir非使用例とその治療効果を比較検討した。Aciclovir使用例も非使用例も, 治療開始前の神経耳科学的所見に違いはなかった。
    顔面表情筋スコアは初診から4週目の時点で, 明らかにAciclovir使用例でその改善が良好であった。また, 治療を行なったにもかかわらず, NETが発症後10~14日目にscaleoutになった症例はAciclovir非使用例で有意に多かった。
    これらの結果から, AciclovirはHunt症候群の治療に有用な薬剤であると判断されるが, Aciclovir使用例ではStennert法を治療の基礎においているため, それを用いなかったAciclovir非使用例とを同等に扱うには多少問題が残り, さらに今後の検討が必要である。
  • 石井 正則, 野原 修, 若盛 和雄, 橘 敏郎, 矢部 武, 永倉 仁史, 林 成彦, 井上 秀朗, 本多 芳男
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 595-605
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    急性および慢性化膿性中耳炎に対するオフロキサシン (OFLX) 点耳の有用性と点耳後の血清中への移行についての検討の結果, 有効率は82.4%と高い値を示し, 内耳障害などの副作用も認められず, 経口投与に比し中耳粘膜から血清中への移行濃度は極めて低く, 小児に対しても応用できることが強く示唆された。
  • 高須賀 信夫, 佐藤 英光, 門田 吉見
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 607-621
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    20例の外耳道疾患 (急性外耳道炎4例, 慢性外耳道炎9例, 鼓膜炎7例) に0.3%OFLX耳用液の点耳を行い, 7日間の治療経過より次の結果を得た。
    1) 臨床効果は有効以上の有効率が70.0%であった。
    2) 細菌学的効果は除菌率が72.2%であった。
    3) 副作用は全く認められなかった。
    以上のような高い有効性, 安全性に加え, 使用し易い点 (室温保存可能等), 内服剤等他剤使用不能例においても使用可能である点等を考慮すると本剤の有用性は極めて高いものと判断された。
  • 高安 劭次, 香取 公明, 香取 早苗
    1990 年 33 巻 Supplement4 号 p. 623-629
    発行日: 1990/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    突発性難聴に関する薬効は, 通常, ある主薬と一般に併用されている基礎治療薬との総合効果として報告されている。
    最近, 我々は, 基礎治療薬の一つで神経修復効果をもつメチコバールの大量療法を試みた。
    対象は突発性難聴で入院した患者32名 (男性18名, 女性14名) である。メチコバールは1.5mgの大量を他の基礎治療薬である電解質液500mlとATP 40mgと共に点滴静注し, ステロイド漸減経口投与を併用した。
    難聴に対する効果は, 厚生省の突発性難聴聴力回復の判定基準により4段階で判定した。
    その結果, 治癒21例 (65.6%), 著明回復7例 (21.9%), 回復1例 (3.2%) で, 著明回復以上が87.5%, 回復以上では90.6%というこれまでに報告された治療成績の範囲を越えた好成績を得た。聴力レベルの改善は81.3dBを最高に, 平均でも33.9dBであった。また, 回復の程度には, 年齢, 性別による有意差は認められなかった。
    22例に合併していた耳鳴りに対する効果も, 消失9例 (40.9%), 著効8例 (36.4%), 有効4例 (18.2%) で, 有効率は95.5%と高率であった。
    また, メチコバール1.5mg/dayの連日大量投与によっても, メチコバールによると考えられる副作用は1例も認めなかった。このことから, 本剤は突発性難聴に対する第一選択治療法となりえるものと結論した。
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