我々は1985年1月より1989年12月までに当科で診療した味覚障害患者, 男性55例, 女性56例, 計111例について統計的観察を試みた。
重症度や治療は原因と関係が深く, その原因は口腔内病変, 頭部外傷, 感冒罹患後, 伝導路障害, 全身性, 嗅覚性, 薬剤性, 心因性, 脳血管障害, 原因不明である。この中で, 伝導路障害が最も多く (27%), 口腔内病変, 原因不明と続く。原因別の電気味覚閾値は, 頭部外傷と薬剤性で高く, 全身疾患や心因性では低い。
電気味覚閾値と濾紙味覚閾値は比較的良好な正の相関を示し, 特に鼓索神経支配領域で相関性が高い。また亜鉛欠乏が検査し得た症例の60%以上で見られた。ZnSO4で治療した9例中8例で改善した。
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