耳鼻咽喉科展望
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34 巻 , Supplement8 号
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  • 本郷 了
    1991 年 34 巻 Supplement8 号 p. 609-626
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Rouviereリンパ節について, 解剖学的位置, 頭頸部悪性腫瘍における転移の頻度および外科的アプローチ方法について検討した。
    Rouviereリンパ節は胎児屍体3側において調べたところ, 頸動脈管入口部直下, 第1頸椎から第2頸椎上縁までの間で, 内頸動脈の内側から前内側に存在したが, 成人屍体10側においては確認できなかった。
    一方Rouviereリンパ節転移は喉頭癌を除く頭頸部悪性腫瘍365例について検索したところ, 51例に認めた。このうち上咽頭癌は30例中24例 (80%) に転移を認めたが, T1からT4のすべての段階に見られた。また腫瘍とRouviereリンパ節が一塊となっているものではMRIによる診断が有効であった。下咽頭癌はRouviereリンパ節との距離があるにもかかわらず, 転移は52例中13例 (25%) と比較的多く, T2症例においても3例を認め, 早期にてもRouviereリンパ節転移を来す可能性が考えられた。このため下咽頭癌では早期例においてもCTまたはMRIによるRouviereリンパ節転移の検索を要するものと考える。これに対し中咽頭癌はRouviereリンパ節との解剖学的距離が近く, 頸部リンパ節転移の頻度が高いにもかかわらずRouviereリンパ節転移は意外に少なく, 40例中6例 (15%) であった。このうち3例は口蓋扁桃癌の進行例で, 主に上方へ連続性に進展し転移していたが, 他の3例は舌根部癌の進行例で, いずれも腫瘍は下方に進展しており, 下咽頭癌と類似した転移形態をとると推測された。また口腔癌では75例中, 舌癌1例と頬部粘膜癌1例の計2例 (3%) で転移を認めたが, いずれも進行例で舌根部へ進展していた症例であった。その他では上顎癌2例 (4.7%), 耳下腺癌, 篩骨洞癌, 鼻腔悪性黒色腫, 副咽頭間隙の神経芽細胞腫, 各1例ずつにRouviereリンパ節転移を認めたが, すべて進行例であった。
    Rouviereリンパ節が存在する後咽頭腔に対する手術では, 乳様突起を削開しアプローチする方法を考案した。当術式は頸静脈孔付近が明視下におけ, また通常の頸部廓清術の延長として比較的容易に施行でき, 下顎骨離断も行わないため機能的にも良い結果が得られるなどの利点があるが, それでも視野の広さでは下顎骨離断の方法に勝るものではなく, 術式の選択は症例ごとに充分検討し決定されるべきであると考える。
    Rouviereリンパ節転移については, その治療の意義手術か放射線治療または化学療法かなどの治療の方法, 分類上では所属リンパ節と捉えるか, 遠隔転移かなど取り扱い上なお問題が残されているが, 今後この取り扱いが治療成績を左右する因子となる可能性が考えられ, 画像診断等による充分な検索, 治療の検討が必要と思われる。
  • 高野 信也, 久木田 尚仁, 金子 達, 岡本 途也, 猫田 泰敏, 崎川 康彦
    1991 年 34 巻 Supplement8 号 p. 627-636
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1988年4月より1990年3月までの2年間に施行した鼓室形成術症例34例 (男性14例, 女性20例) 37耳の手術後の聴力の変動を検討した。
    1) 上鼓室ブロックのある研究対象では, 1000Hz, 2000Hz, 4000Hzで手術後7日目までに一度聴力が悪化する。
    2) 全ての研究対象で, 手術後7日目以後の聴力回復に手術による差をほとんど認めない。
    3) 伝音機構の再建材料による聴力変動は500Hzで術後7日までに認める。
  • 副鼻腔超音波検査法を併用して
    平出 文久, 吉田 知之, 岡田 卓也, 舩坂 宗太郎
    1991 年 34 巻 Supplement8 号 p. 637-642
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎21例を対象とし, 塩化リゾチーム製剤 (アクディーム90) と抗生物質を併用してその併用効果を評価した。また, 超音波Aモード法検査を用いての評価検討も行った。
    総合判定は, 併用群が有効以上64.3%, やや有効以上100.0%, 単独群が, 有効以上14.3%, やや有効以上85.7%であった。
    Aモード超音波診断装置による評価では, 4週後の併用群の改善率は100%, 単独群の改善率は50.0%であった。
  • 臨床効果, 鼻粘膜粘液繊毛輸送機能への影響
    間島 雄一, 坂倉 康夫, 坂倉 健二, 伊藤 由紀子, 稲垣 政志, 杉山 洋子, 中本 節夫
    1991 年 34 巻 Supplement8 号 p. 643-653
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    塩酸アンブロキソール (ムコソルバン) 錠を1日45mg, 4週間, 14歳以上の慢性副鼻腔炎患者に経口投与し, その臨床成績を知るとともに粘液繊毛輸送機能, 鼻汁のレオロジー的性質に及ぼす効果を検討した。
    自・他覚所見から得た総合判定では18症例中, 著効2例, 有効1例, やや有効10例, 無効2例, 悪化3例でやや有効以上の有効率は72.2%であった。
    投与前と投与4週目の鼻粘膜粘液繊毛輸送機能をサッカリン法で検討した。投与前に輸送機能の正常であった14例では投与後の輸送機能に変化はみとめられなかったが, 投与前に輸送機能の低下していた18例では投与後に改善する傾向が認められた。
    投与前と投与4週目の鼻汁のレオロジー的性質を動的弾性率 (G'), 動的粘性率 (η'), 曳糸性の測定により検討した。投与前に比し投与後の各測定値に有意の変化は認められなかった。
    以上より本剤は慢性副鼻腔炎に有用な薬剤であると考えられた。
  • 豊嶋 勝, 柴原 義博, 稲村 直樹, 高坂 知節, 小野寺 亮, 粟田口 敏一, 沖津 卓二, 荒井 英爾, 高橋 健一, 中谷 俊彦, ...
    1991 年 34 巻 Supplement8 号 p. 655-671
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症患者に対し塩酸アゼラスチンの季節前投与を行い, 症状発症後塩酸アゼラスチン投与群および塩酸アゼラスチン非投与群の3群間比較からその予防効果につき検討したところ, 4週以上の季節前投与により十分な予防効果が認められた。
    症状別では, くしゃみ, 鼻汁, 鼻閉, 目のかゆみ, 流涙の各症状に有効で, 内服ステロイド剤服用も少なかった。
    季節前投与期間が短い程予防効果は減弱したことから, スギ花粉の大量飛散年においては長期の予防投与がより有効であると考えられた。
  • 至適用法・用量の検討
    奥田 稔, 戸川 清, 波多野 洋一, 小池 吉郎, 深瀬 滋, 大谷 巌, 村上 正文, 亀井 民雄, 今村 純子, 小倉 弘之, 武藤 ...
    1991 年 34 巻 Supplement8 号 p. 673-688
    発行日: 1991/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    通年性アレルギー性鼻炎に対するLoratadineの至適用法・用量を検討するため, 5mg1日1回投与群, 5mg1日2回投与群, および10mg1日1回投与群の3群間の比較を161例の患者を対象に二重盲検群間比較法により行い, 以下の結果を得た。
    1) 全般改善度において, 中等度改善以上は5mg1日1回投与群28.3%, 5mg1日2回投与群38.3%, 10mg1日1回投与群40.4%であり, 3群間に有意差はみられないものの5mg1日1回投与群は他の群より10%ほど劣っていた。
    2) 全般安全度, 全般有用度とも3群間に有意差はなかった。
    以上の成績と海外での使用状況, 患者の服薬コンプライアンスを考慮して10mg1日1回投与が至適であると結論された。
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