耳鼻咽喉科展望
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35 巻, 6 号
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  • 鼻腔整復術
    大前 隆
    1992 年 35 巻 6 号 p. 411-417
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    鼻副鼻腔気胞化現象に関しては従来より前頭洞, 上顎洞, 蝶形骨洞等を中心に炎症病態との関与について論議されてきたが, しかし節骨甲介の気胞化現象である中鼻甲介蜂巣についてはその成因を始めまだ臨床的にも不明な点が少なくない。
    一方内視鏡下保存的鼻内手術の発展に伴い, 鼻内手術法の手術ルートとなる中鼻道は副鼻腔への主要経路となる所からそれに大きく関与する中鼻甲介蜂巣については今後充分な臨床的認識を持つ事が重要となると考えられる。今回の調査では無作意の500例で93例の中鼻甲介蜂巣が認められ, 鼻腔側壁形態異常に影響を及ぼすと考えられる大きな峰巣は33例27.2%, またその12.3%に蜂巣内陰影があり, 鼻副鼻腔形態異常だけではなく感染病態を示唆した。
    従ってこの気胞化現象による鼻腔側壁異常が認められる場合には鼻腔整復術として鼻中隔整復と共に中鼻甲介蜂巣の整復は極めて重要になると考える。
    今回は, 舗骨甲介形態異常である中鼻甲介蜂巣について, その出現率, 形態分類, 蜂巣陰影について調査し臨床的意義, 手術法について論述した。
  • 障害の理由の評価の意義
    伊藤 裕之, 菊池 康隆, 浅井 和康, 斉藤 孝夫
    1992 年 35 巻 6 号 p. 419-423
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    眩量患者72例について眩量患者の日常生活上の障害について, 眩量外来初診時に, 医師による聞き取りにより調査を行った。(1) 階段の昇降 (2) 新聞や雑誌を読む (3) 高い所の物の出し入れや高い所に洗濯物を干し, の3項目について, 障害と感じている理由についての調査結果について報告した。眩量患者の日常生活における障害は, 動きを伴う行為と視覚に関わる行為とでは障害の理由が異なり, 動きを伴う行為においてはふらつきなどの平衡機能障害そのものに基づく障害や眩量や行為に対する不安などの精神状態が障害の理由であることが多かった。これに対して, 視覚に関わる行為では「気持ちが悪くなる」といった自律神経症状が障害の原因であることが多かった。眩量のリハビリテーションを行う場合には, 眩量そのものに対する運動療法だけでなく, 自律神経症状や不安やイライラなどの精神状態に対する対応も必要である。
  • 柳 清, 鴻 信義, 深見 雅也, 森山 寛
    1992 年 35 巻 6 号 p. 425-433
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    術後性上顎嚢胞は, 本邦では65年前に最初に発表されて以来, 今日に至るまで多くの報告並びに研究がなされた。また嚢胞の発症を防ぐため手術手技もいろいろ工夫されてきたが, 現在なお多くの嚢胞患者が発症している。当疾患に対する治療法としては, 歯齦部より切開を加える “経上顎洞法”(嚢胞を全摘する方法と嚢胞の粘膜を残し鼻腔に交通路を設ける方法がある) と, 鼻内から嚢胞壁を開放する “鼻内法” とがある。鼻内法は嚢胞が単房性で, しかもその位置が鼻腔に隣接する症例には以前から行われていた。しかし近年CTの普及と内視鏡の導入で正確な診断と安全な手術操作が可能となり, 鼻内法による嚢胞の手術が増えてきた。そこで今回当教室における過去5年問の術後性上顎嚢胞に対する統計的観察を行い, 併せて手術の適応や手技などにつき検討を加えたので報告する。
    対象は1987年8月から1992年7月までの過去5年間に, 東京慈恵会医科大学 (本院) において手術を行った術後性上顎嚢胞の患者, 男性62例, 女性21例の83例である。経上顎洞法を行った患者は40例, 鼻内法を行った患者は43例とほぼ同数であったが, 鼻内手術の割合が近年増加傾向にあり, 最近1年間だけをみると22例中17例 (77%) に鼻内法が施行されている。術後経過も順調で, 開窓部は保たれ症状も消失している。鼻内法の利点は, 手術侵襲が少なく, 開窓部が閉鎖しない限り症状が出現しない事が挙げられる。しかし多房性の嚢胞や外側に位置する嚢胞に対しては経上顎洞法に頼らざるをえない場合もある。
  • 三邉 武右衛門, 小林 恵子, 添田 百枝, 三邉 武幸, 小島 幸枝
    1992 年 35 巻 6 号 p. 435-444
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1965年からアレルギー性患者尿由来のPolypeptide (MS-Antigen, 以下MS-A) をアレルギー性疾患の治療に用い, 治療後に皮内反応が陰性化した9例を経験した。その概要は第22回日本アレルギー学会総会に報告し,「耳鼻と臨床」に掲載した。
    この皮内テストの陰性化に注目し, その究明に1987年からMS-A筋注投与によるアレルギー性鼻炎, 特にスギ花粉症の治療前後の皮内テストと特異IgE抗体価 (RAST) を追跡測定した。
    S-A, 40mg, 週約2回30-80回の筋注で花粉症などの皮内テストの抗原の反応性が減少し (閾値上昇し), さらに陰性化するものがみられ, 同時に特異IgE抗体価が次第に減少し, さらに陰性化するものがあり (Down Regulation of IgE antibody), RAST scoreが1-0となることが判明した。
    特異IgE抗体の産生は一型アレルギー性疾患に特異的で, このIgE抗体の産生の抑制調節は一型アレルギー性疾患療法の突破口と考えられる。MS-Aの投与によって, 一型アレルギーが関与するアレルギー性疾患の根治療法に役立つことが考えられる。
  • 長船 宏隆, 吉田 友英, 谷野 徹, 野村 俊之, 折原 廣己, 大林 聡子, 小田 恂
    1992 年 35 巻 6 号 p. 445-458
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回我々は最近20年間に報告されている, 蝶形骨洞嚢胞症例98例の原発性症例 (40例) と術後性症例 (58例) に分け, その病態について検討を加えた。その結果, 平均年齢は原発性症例がやや高く, 平均病悩期間でも原発性症例の方が長かった。嚢胞の大きさでは, 全体的には大型-中型の大きさのものが約80%, 小型のものが約20%であった。原発性のものでは大型が約50%, 中型が30%で, 術後性のものでは大型, 中型夫々40%程度であった。術後の視力改善率は, 原発性症例, 術後性症例ともにほぼ同様な改善率であったが, 失明例では原発性症例22.2%, 術後性症例71.4%とかなりの差があった。以上の様な結果を得た。
  • 上村 正見, 砂金 秀充, 朝倉 光司
    1992 年 35 巻 6 号 p. 459-464
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    オスラー病の1症例を経験したのでここに報告する。患者は64歳女性で, 40歳頃より反復性の鼻出血が認められた。Telangiectasiaが, 口唇, 舌, 頬部, 鼻粘膜に認められた。家族的にも出血傾向が認められたためオスラー病と診断した。大量の鼻出血は嗅裂深部から認められたため, 従来の局所療法では治癒困難と考え, エストロゲン療法を施行した。エストロゲン療法によって鼻出血は軽快した。本症例のような嗅裂深部からの鼻出血にはエストロゲン療法が効果的と考えられる。
  • 永瀬 茂代, 平出 文久, 向田 政博, 長谷川 達哉, 李 雅次, 舩坂 宗太郎
    1992 年 35 巻 6 号 p. 465-470
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    アスピリン喘息患者に合併した鼻茸を, ステロイドの前投与の下に摘出し, 抗ヒスタミン抗体および抗IgE抗体を用いて免疫染色を行い, 同一患者のステロイド無使用下で摘出した鼻茸組織と比較を行った。
    その結果, ステロイド使用の有無にかかわらず鼻茸組織の肥満細胞内の顆粒は, ヒスタミン放出が高度であり, ステロイド無使用の下に摘出した鼻茸組織には, IgE陽性肥満細胞が多数観察された。以上より, ステロイドは鼻茸組織においてIgEの抗体産生抑制および肥満細胞のFCレセプターとIgEの結合をブロックし, 感作抗原との反応を抑えるものと推測した。
  • 小島 博己, 浅井 和康, 林 成彦, 金子 省三, 森山 寛
    1992 年 35 巻 6 号 p. 471-477
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 石丸 正, 井本 浩二, 滝元 徹, 森下 保子, 古川 仭
    1992 年 35 巻 6 号 p. 479-482
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    従来の銀塩写真に代って, 近年は電子工学の進歩によって画像の電子化が進んでおり, 内視鏡画像もその例外でない。ビデオカメラでi撮影した画像は電子ファイル化することができ, 検索などに便利であるが, 医用画像ファイリング装置は専用システムによって構成されることが多いため, 高価であり診療所や小規模病院では利用しにくい。そこで, 一般的なパーソナルコンピューターに画像入力ボードを装着することによって構成した, 簡易な画像ファイリングシステムが内視鏡画像のファイリングに利用可能かを検討したところ, 十分な性能を持つことがわかった。
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