耳鼻咽喉科展望
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36 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • その病態と病因
    立木 孝
    1993 年 36 巻 6 号 p. 677-684
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 三上 康和
    1993 年 36 巻 6 号 p. 685-695
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌培養細胞を用いて血管新生促進因子であるbasic fibroblast growth factor (bFGF) の産生能をみるとともに, 抗bFGF中和抗体の腫瘍細胞増殖抑制を検討した。またbFGF産生値と組織検体のF VIII RAG染色を用いた血管新生との相関性について検討した。
    培養腫瘍細胞12株全ての培養上清中にbFGF産生が認められた。培養腫瘍細胞4種中2種で抗bFGF中和抗体による著明な増殖抑制を認めたが, recombinant human bFGFは腫瘍細胞の増殖には影響しなかった。培養腫瘍細胞のbFGF産生能と血管数とには相関性が認められ, bFGFは生体内の血管新生に関与する因子の一つであると考えられた。
    以上のことからbFGFは血管新生因子の重要な一つであり, 腫瘍が産生するbFGFは, 腫瘍の増殖を増強する可能性があることが示唆された。
  • 沖久 衛, 北村 達也, 松井 真人, 斉藤 孝夫, 米山 秀彦
    1993 年 36 巻 6 号 p. 696-702
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳室腹腔シャント術施行後, 体位による聴力変動が出現した症例を経験した。患者は平成2年9月1日, クモ膜下出血を起こし同日クリッピングが施行された。その後, 水頭症を併発し10月31日, シャント術が施行されたが術後, 頭痛などの低髄圧症候群が出現した。また, 仰臥位から座位になると聴こえが悪くなるのを自覚するようになった。近医で体位による聴力変動を確認され当科を紹介された。鼓膜所見は正常でティンパノグラムは両側Aタイプであった。聴力は仰臥位から座位になると両耳とも平均気導閾値で約10dB悪化した。特に低音域で変動は大きく最大25dBの変動を示した。体位の変化による脳脊髄液の腹腔へのオーバーフローが脳脊髄圧を低下させ, これが直ちに内耳へ伝達され外リンパ腔の虚脱が起こり相対的な内リンパ水腫を引き起こすものと推察した。
  • 赤外線鼓膜体温計を用いて
    西澤 伸志
    1993 年 36 巻 6 号 p. 703-708
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    温度眼振検査の際, 鼓膜体温が検査前の体温に回復する時間, 鼓膜体温の変化, その変化の速さ, 体温変化の数式化の可否について調べた。対象は鼓膜所見が正常な120名240耳である。鼓膜体温は非接触型の赤外線鼓膜体温計を用い, 眼振検査の直前, 1分から1分ごと10分までと15分, 20分に測定した。温度眼振検査は20℃ の水20mlを20秒で施行した。1分から2分にかけて最も体温が上昇し, 2.2℃/分であったが, 時間と共に温度上昇は減少した。15分後に検査前の体温に戻った。最初の3分間の鼓膜体温はT=32.55℃+6.6210g (minutes) ℃ の式で表現された。鼓膜体温は腋窩体温より0.4℃ 高い値であった。
  • 脳腫瘍症例を中心に
    木村 恭之, 土定 建夫, 塚谷 才明, 作本 真, 三輪 高喜, 古川 仭
    1993 年 36 巻 6 号 p. 709-716
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中枢性嗅覚障害で病変の局在がはっきりしている脳腫瘍10例を対象に臨床的検討を行った。自覚的に「正常」と答えた7例中, 実際に検査上正常だった症例はなかった。認知嗅力損失で左右差のあった症例が8例あり, 単鼻孔嗅検査は不可欠と考えられた。検知/認知の差が2.0以上あった解離現象を示した症例が5例あった。解離現象は第3次嗅覚中枢の障害の他に嗅覚の伝達情報量が不足した場合でも起こりうると考えられた。静脈性嗅覚検査では潜伏時間は正常で持続時間が短縮していることが特徴的であったが, この現象は病変の局在を反映するものではなかった。病変と同側性あるいは両側性に嗅覚障害が発症した例が多かったが, 必ずしも当てはまらない症例もみられた。これは頭蓋内は圧迫が他の部分に影響しやすく, 周囲には浮腫性病変も合併しやすいことと関連があると考えられた。
  • 渋谷 和郎, 木村 恭之, 長山 郁生, 古川 仭
    1993 年 36 巻 6 号 p. 717-722
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔と眼窩, 視神経は解剖学的に隣接するため, 嚢胞性疾患や腫瘍のみならず, 副鼻腔炎も視野障害などの眼症状を引き起こす原因となり得る。今回我々は副鼻腔炎, 特に上顎洞炎の炎症波及によると思われる鼻側下1/4盲を経験したので報告した。症例は55歳の男性。他科で左鼻側下1/4盲を指摘され当科に紹介された。MRI, CTにて左前部篩骨洞, 上顎洞の高度陰影を見た。また上顎洞は発育が非常に良好で, その上端は視神経近くにまで迫っていた。左鼻内内視鏡手術, 左上顎洞根本手術を施行し術後47日目にはほぼ視野の改善をみた。鼻側下1/4盲の場合, 障害部位として視神経の上外方からの圧迫または上外方への炎症波及が考えられるが, 画像上圧迫所見の乏しいこと, 後部副鼻腔はほぼ正常であったこと, 上顎洞の発育が良好であることから, 上顎洞炎の炎症波及が本症を引き起こした可能性が考えられた。
  • 田原 哲也, 大上 麻由里
    1993 年 36 巻 6 号 p. 723-726
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近の優れた抗結核剤の普及や衛生行政の充実とともに肺結核症を中心とする結核症は著しく減少した。しかし現在でも肺結核症が依然として認められるように, 耳鼻咽喉科領域においても結核性疾患に, 臨床の場において時に遭遇し, 鑑別疾患として念頭においておかなければならないことがある。
    59歳女性で右鼻閉を主訴に受診し, 鼻内所見にて鼻中隔右鼻腔側に腫瘤を認め, 組織学的および細菌学的に確定診断がなされた稀な原発性鼻腔結核の1例を報告した。
    鼻腔内腫瘤性病変の鰭別診断にあたって.結核性疾患を念頭におく必要性があると思われた。
  • 三谷 浩樹, 上出 洋介, 梅澤 祐二
    1993 年 36 巻 6 号 p. 727-734
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    治療に抵抗性な耳漏, 疼痛, 顔面神経麻痺を伴う悪性外耳炎を経験した。MRIで観察されるように, 病巣は我々が考えていた以上に深部にまで波及しており, 手術療法を施行した後も炎症は遷延した。脳神経麻痺を伴う悪性外耳炎の手術適応は諸家の報告に述べられているところであるが, 手術に臨む時点では炎症の進展は広範囲に及んでいると推測される。この疾患で特徴とされる三つの点, すなわち高齢者で, 糖尿病を有し, 起炎菌として緑膿菌が検出された場合には, 直ちに強力な治療を行い, 骨, 軟部組織を含めた広範囲な壊死性変化の進展を防ぐことが重要であると考えられる。
  • 膜様部の保存手術について
    小澤 仁, 佐野 真一, 堀内 博人, 春名 真一, 森山 寛
    1993 年 36 巻 6 号 p. 735-740
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎に対して, 硬性内視鏡下に, より保存的な鼻内手術が好成績をもたらすかどうかを検討した。すなわち, 上顎洞膜様部を保存した群と, 従来の術式に従って膜様部を切除して大きく開大した群との術後成績について比較した。両群の術前の重症度は有意差がなかったが, 術後の上顎洞のX線所見, 自覚症状の改善度は, いずれも膜様部保存群より膜様部切除群の方が優れていた。
    内視鏡下の的確な手術操作にもかかわらず, 膜様部保存群では上顎洞粘膜の治癒機転が遷延している所見が認められた。したがって, 慢性副鼻腔炎の鼻内手術においては上顎洞膜様部は切除・開大処置を行い, 保存的に処置しない方が好成績を得られることが示唆された。
  • 斉藤 孝夫, 加藤 孝邦, 金子 省三, 島田 士郎, 森山 寛
    1993 年 36 巻 6 号 p. 741-746
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和50年より平成3年までの17年間に, 画像診断上蝶形骨洞癌と診断された16例につき, その臨床像について検討した。
    鼻症状16例中8例 (50%) と少ない一方, 外転神経麻痺による複視が13例 (81%), 動眼神経麻痺による眼瞼下垂が8例 (50%), 視神経麻痺による視力障害が7例 (43%) に認められ, 比較的脳神経症状を伴いやすい事が示され, 同時に解剖学的特異性からこの要因につき検討した。また, 鼻出血が6例 (37%), 頭痛が10例 (62%) に初期症状として認められ, 早期発見及び良性疾患との鑑別上重要因子として考えられた。
  • 荻原 一郎, 宮島 逸郎, 本多 芳男
    1993 年 36 巻 6 号 p. 747-754
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは両側頸部リンパ節腫脹を主訴とした「成人型T細胞性白血病をともなった頸部クリプトコッカス症」を経験した。上咽頭および頸部リンパ節よりクリプトコッカス菌体が検出され, 血清学的検索等 (ATLV抗体80倍) により上記診断に至った。文献的にも全身クリプトコッカス症には血液疾患を中心にしてその半数以上に基礎疾患が存在する事が知られている。われわれは今回アンホテリシンBおよび5フルオロサイトシンの抗真菌剤の2剤併用にてクリプトコッカス症の治療にあたったが, このような特殊な感染症における基礎疾患の検索とクリプトコッカス症の治療法および基礎疾患の治療開始時期について若干の文献的考察を加え報告する。
  • 各疾患の診断および治療上の留意点 (ポイント)
    千葉 博茂, 内田 安信
    1993 年 36 巻 6 号 p. 755-769
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 石本 二見男
    1993 年 36 巻 6 号 p. 770-775
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 36 巻 6 号 p. 776-796
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 石田 博義, 宮坂 宏恵, 宮城 真理, 坂本 克也
    1993 年 36 巻 6 号 p. 797-802
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳鼻科領域の抗生物質の組織内移行については, 骨や軟骨などの血管の分布が少ない組織への移行を調べた報告は少ない。今回われわれは, 62例の手術症例を対象に術前にメイセリン (セフミノクスナトリウム, 以下CMNX) を投与し, 術中に得た側頭骨, 上顎骨, 鼻中隔軟骨, 口蓋扁桃を検体として組織内移行を検出し有効性を検討した。その結果, 扁桃組織への移行については他の報告と大きな差がなかった。また, 部位で比較すると, 1g投与で組織内濃度は高いものから口蓋扁桃, 鼻中隔軟骨, 側頭骨, 上顎骨の順であり, 扁桃と鼻中隔軟骨で高く, 上顎骨と側頭骨で低い値を示した。移行率は扁桃, 鼻中隔軟骨, 上顎骨, 側頭骨の順であった。側頭骨へのCMNXの移行は他の臓器と比較して低かったが, 投与量に応じて組織内濃度が増加するため目的細菌に応じた投与量の設定が可能であり, 術後感染予防としてCMNXの有効性と安全性を確認した。
  • 中村 英生, 星野 徹也, 岩崎 恵美子, 今井 昭雄, 井口 正男, 鈴木 年治, 北村 哲也, 西脇 智弘, 藤原 満, 田上 聡一郎, ...
    1993 年 36 巻 6 号 p. 803-814
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近慢性副鼻腔炎に対するエリスロマイシンの少量長期投与法が注目されている。今回われわれはエリスロマイシンの誘導体であるRoxithromycin (RXM, ルリッド ®) を慢性副鼻腔炎患者87名に投与し, その臨床的効果と血中好中球機能について検討した。最終全般改善度は改善以上59.3%, やや改善以上83.7%であった。一日投与量としては150mgが妥当であり, 投与期間としては最低3ヵ月は試みるべきものと思われた。また副作用に関しては87例中4例に認められたが未知重篤なものはなかった。また好中球機能のうち貧食能と殺菌能に関しては投与前後で特に有意な差を認めなかった。
  • 石塚 洋一, 坂田 英明, 上房 啓祐, 設楽 仁一
    1993 年 36 巻 6 号 p. 815-821
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    いびきの治療に点鼻用噴霧剤であるEN 028を用い, その治療効果を検討した。いびきを主訴に来院した23-68歳までの男性25名, 女性11名, 合計36名を対象に, 本剤を就寝前に各鼻孔に2-4回ずつ噴霧させた。総合効果判定では, 著効1名, 有効12名, やや有効9名, 無効14名で, 有効以上の有効率は36.1%, やや有効以上の有効率は61.1%であった。50歳以上18名の有効以上は9名 (50%) で, 高齢者に有効症例が多くみられた。副作用は1例もなく, EN 028はいびき治療に有用と思われた。
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