耳鼻咽喉科展望
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37 巻, 4 号
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  • 平野 実
    1994 年 37 巻 4 号 p. 395-404
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 石井 恵理
    1994 年 37 巻 4 号 p. 405-410
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    この実験の目的は無声破裂音/pa/,/ta/,/ka/を加工しVOTのもつ意義を検討したものである。音声に対してエレクトロニクスを応用して加工処理をし聴取能の劣化の原因を追求した。過渡部分は3分割ないし4分割した。第1分割まで削除したものを加工音1, 第2分割まで削除したものを加工音2, 以下同様に加工音3, 加工音4とした。
    その結果, 正常聴力耳では/ta/,/ka/の原音の聴取能はほぼ100%で, 加工音1についても同じ程度であった。加工音2での正答率は/ta/は50%,/ka/で79%であった。さらに加工音3での正答率は/ta/は29%,/ka/は36%で, 加工音4では/ta/は11%,/ka/は7%であった。過渡部分を除いていくにつれて正答率も低下した。/pa/は原音声の聴き取りが悪かった。難聴者では各条件下で正常聴力耳より正答率が低下していた。/pa/で14%,/ta/で50%,/ka/で71%であった。加工音1でも/ta/,/ka/の正答率は29%, 36%と低かった。/pa/は原音声の聴取が14%と極めて悪く加工音声ではやや低下する程度であった。以上より, 正常者において/pa/の聴取では過渡部分のほぼ全ての部分が正答率に寄与していること,/ta/,/ka/の聴取では過渡部分初期1/3はあまり正答率に影響せず, 後の2/3が重要であると推定された。これに対して感音性難聴では/pa/の聴きとりが悪く,/ta/,/ka/ではVOTの初期1/3が重要であると思われた。ゆえに, 正常者と感音性難聴者との間では無声破裂音聴取の機構に差がある事が推測された。
  • 異味症を指標とした観察
    小林 毅, 石井 正則, 八代 利伸, 森山 寛, 須藤 正道
    1994 年 37 巻 4 号 p. 411-418
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    内耳障害におけるめまいおよび各種の自律神経症状が時間の経過に伴って代償により消失していくことは臨床的によく経験されることである。このめまい代償を動物実験において検討するためには, 変化する症状を正確に把握することが必要となる。
    我々は, ラットへの催吐剤投与や動揺病誘発の際に観察される異味症を利用し, 手術的に片側迷路を破壊したラットのめまい症状の変化を, 異味症を指標として観察した。その結果, 迷路破壊後4日間にわたって異味症が観察された。またこの異味症はアトロピンの投与により抑制傾向が認められ, 副交感神経系の関与が示唆された。
    異味症を指標とした片側迷路破壊ラットは, 末梢前庭障害の代償過程における自律神経症状の変化を正確かつ定量的に観察することが可能であり, このことから本実験モデルは薬理学的な検討にも優れ, 末梢前庭障害代償過程の実験モデルとして有用と考えられる。
  • 竹下 元, 塚谷 才明, 山崎 芳文, 古川 仭
    1994 年 37 巻 4 号 p. 419-423
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児における副咽頭間隙膿瘍は非常に稀である。今回2歳男児の副咽頭間隙膿瘍症例を経験したので報告し, あわせて副咽頭間隙膿瘍に対する診断および治療方法に対し考察を行う。
    1993年7月6日, 2歳男子が右顎下部と右軟口蓋の著明な腫脹を主訴に当院を受診した。CTスキャンと超音波検査により副咽頭間隙に膿瘍形成が認められた。扁桃周囲膿瘍による副咽頭間隙膿瘍と診断し, 顎下部より外切開にて排膿術を行い, 術後CEZを点滴し治療を行った。その結果入院17日目, 7月22日に退院した。
  • 高橋 姿, 和田 匡史, 山本 裕, 佐藤 斎, 大滝 一, 浦野 正美, 中野 雄一
    1994 年 37 巻 4 号 p. 424-430
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    骨形成不全症による多発性骨折, 青色強膜, 難聴を3主徴とするvan der Hoeve症候群の3名4耳に耳手術を施行する機会があり, 若干の知見を得たので報告した。
    1) 全例, 難聴を主訴に受診し, 聴力検査で両耳に混合性難聴を示した。耳鳴も認められたが, めまいを訴えるものはなかった。
    2) 術中アブミ骨底板の固着を全例に認めたが, 他にアブミ骨脚の骨折や萎縮もみられた。他の耳小骨や鼓室内所見に異常はなかった。
    3) small fenestra stapedectomyにより耳小骨連鎖の再建を行い, 1耳は10dB, 他の3耳は20dB以上の聴力改善を示した。さらに, 耳鳴も全例で改善もしくは消失した。
    4) 内耳障害を伴うことの多いvan der Hoeve症候群のアブミ骨手術には, 内耳侵襲の可能性がより少ないsmall fenestra stapedectomyを選択することが適当と思われた。
  • 原田 竜彦, 行木 英生, 加納 滋, 奥野 哲治
    1994 年 37 巻 4 号 p. 431-437
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    5歳時に頸部・顔面の血管腫に対し放射線治療を受け, 35年後に甲状腺濾胞癌と舌根扁平上皮癌を重複発生した症例を報告した。
    良性疾患への放射線照射後に誘発がんが重複発生したとする報告は過去に国内で7例のみであった。過去の報告例でも自験例と同様に, 照射から第1がん発生までの期間に比べ第1がんと第2がんの発生時期が近接している症例が多かった。この理由について, 放射線誘発がんの発生機序より検討を加えた。
  • タンポン素材と塗布する軟膏の検討
    菊池 康隆, 内田 豊, 三谷 浩樹, 小島 博己, 白沢 昭弘, 中島 庸也, 滝口 清徳, 並木 徳之
    1994 年 37 巻 4 号 p. 438-448
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    従来, 鼻副鼻腔の手術の際, 術後の止血及び感染予防を目的として使用してきた硫酸ジベカシンガーゼタンポンにさらに非ステロイド性抗炎症鎮痛剤ウフェナマートを配合した硫酸ジベカシンウフェナマートガーゼタンポンを新製剤として試作した。そして, この新しいガーゼタンポンを用いることにより期待される術後の鎮痛効果について臨床的に検討を加えた。その結果副鼻腔根本手術例のタンポン挿入期間および鼻中隔矯正術後のタンポン抜去時においては一応の有用性は認められたものの篩骨洞鼻内手術後, 鼻中隔矯正術後のガーゼ挿入期間の鎮痛効果については必ずしも充分とはいえなかった。今後ウフェナマート軟膏を増量することでより確実な鎮痛効果が得られるものと思われる。一方, ウフェナマート軟膏の増量により予想される硫酸ジベカシンの放出率の低下は, 軟膏基剤の工夫やタンポン素材の選択により改善しうることが示唆された。
  • 鴻 信義, 柳 清, 深見 雅也, 森山 寛
    1994 年 37 巻 4 号 p. 449-457
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    下垂体腫瘍摘出後に生じた鼻性髄液漏に対し, 内視鏡下に鼻内経蝶形骨洞瘻孔閉鎖術を施行し良好な結果を得た2症例を経験した。症例1は48歳男性で, TSH産生下垂体腫瘍の診断で, 当院脳外科にて経蝶形骨洞脳下垂体手術が施行された。術後10日目頃から頭痛, 発熱, 水様性鼻漏が出現したため髄液鼻漏が疑われ当科に依頼となった。内視鏡下に蝶形骨洞後壁に瘻孔部を確認したため, 経鼻的に内視鏡下瘻孔閉鎖術を施行した。大腿部から採取した脂肪組織をつけた筋膜を瘻孔部に挿入し, フィブリン糊にて接着させ, さらに蝶形骨洞内にガーゼを4週間挿入して組織片の固定を行った。瘻孔部は完全に閉鎖した。症例2は30歳の男性で, GH産生下垂体腫瘍の診断で経蝶形骨洞脳下垂体手術が施行されたが, 術後10日目位から髄液鼻漏が出現したため, 症例1と同様に内視鏡下瘻孔閉鎖術を施行し, 症状の消失をみることができた。脳外科術後の髄液鼻漏に対し, 本術式は非常に有効な方法であると考えられた。
  • 石川 滋
    1994 年 37 巻 4 号 p. 458-464
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    内視鏡などの光学機器の導入に伴い, 耳鼻咽喉科診療で得られる各種の画像の種類や数が増加してきている。オリジナルの画像の画質を損なわずに検索が可能な状態で保存し, 必要な場合に出力できれぼ理想的である。画像が記録されているメディアはフィルムとビデオテープに大別される。35mmフィルムに記録されたアナログの画像情報をデジタル化して記録されているPhoto CDと, Photo CDに対応しているCD ROMドライバーを搭載したパーソナルコンピューターを組み合わせ, 35mmフィルムのデータをデジタルデータとして保存した。パーソナルコンピューターのVTRからの画像取り込みを利用し, ビデオテープからデジタルの静止画像を保存した。これらの画像を画像処理用ソフトウエアと画像管理用ソフトウエアを用いて, 簡易画像ファイリングシステムを構築したので報告する。
  • 薬疹の発症機序と臨床症状
    寺木 祐一, 塩原 哲夫
    1994 年 37 巻 4 号 p. 465-471
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 最近の話題(その1)
    三輪 高喜, 古川 仭
    1994 年 37 巻 4 号 p. 472-479
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 五十嵐 秀一, 長場 章, 関 聡, 中野 雄一
    1994 年 37 巻 4 号 p. 480-484
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中枢および末梢性めまい疾患20例に対しIbudilast (ケタス ®) を投与し, 有効性について検討を加えた。ケタス ® は血管拡張および血小板凝集抑制作用を有するため, 脳血管障害の治療薬として用いられ, また抗アレルギー作用のため気管支喘息の治療薬としても用いられている薬剤である。
    めまいの治療には中枢性めまい, 末梢性めまいともに血流改善作用を有する抗めまい薬の投与が一般的であるが, 免疫が関与するめまい疾患に対し抗アレルギー剤が有効であるとする報告もあり, 症例によってはステロイドの代替薬として使用した。その結果, 自覚症状の消失率は4週で50%, 8週で80%であった。平衡機能検査所見では, 投与前異常を認めた8例中6例にやや改善以上の有用性が認められた。
  • 窪田 哲昭, 松井 和夫, 田中 裕之, 大谷 尚志
    1994 年 37 巻 4 号 p. 485-490
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部腫瘍を中心とした36例の手術に対してフィブリン接着剤 (ボルヒール) を止血, 充填, 接着, 固定などの目的に使用した。満足すべき結果を有効, 期待通りの結果が得られない場合を無効と評価した。
    止血には他の目的を含め29例に, ジワジワ湧出する出血に適用し, 術後に出血や血腫はみられず全例とも有効と判定した。充填剤としては, 口腔内の癌2例と頬部良性腫瘍1例の計3例である。前者は口腔底部に下顎骨による死腔に充填し, 後者は腫瘍摘出部の口腔内粘膜を縫合したが, 一部欠損したため, 開放性術創の感染防止と創傷治癒を考え本剤を充填した。接着, 固定には, 舌部切3例, 頸部廓清術後のリンパ漏1例, 喉頭全摘後の咽頭縫合部4例, 人工コラーゲン板を用いた再建例5例に使用した。咽頭摘出後の下咽頭縫合部に用いた1例に瘻孔が発生し, この1例のみが予想に反した不満足な結果であったが, 他は満足すべき結果であった。
    頭頸部外科の領域においてもフィブリン接着剤の有用性が確認された。今後必要に応じて症例を選択して使用すべきものであろう。
  • 心身障害児を中心に
    加我 君孝
    1994 年 37 巻 4 号 p. 491-497
    発行日: 1994/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    幼小児の鼓膜炎や慢性中耳炎に対する治療では, 抗生物質の内服に対して拒否的であったりする。今回, 心身障害児を含む各種の障害児, あるいは耳介奇形, 外耳道閉鎖の小児の鼓膜炎や慢性中耳炎に対し, 耳毒性のないオフロキサシン耳用液を使用しその治療成績を報告する。使用症例は0-15歳までの21例で健常幼小児は8例, 小耳症術後例4例, 高度難聴, 精神発達遅滞を中心とするいわゆる心身障害児は9例, 鼓膜炎は8例, 慢性化膿性中耳炎13例。オフロキサシン耳用液は朝夕1日2回点耳し10分間の耳浴を行った。投与期間は7日以上。治療成績は菌消失14例.菌減少3例, 不変2例で副作用は認めず良好な結果であった。
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