耳鼻咽喉科展望
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38 巻 , 1 号
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  • その基礎と臨床
    石川 哮, 江浦 正郎, 近松 一朗, 吹上 忠祐, 村上 公輝, 松岡 浩明, 中野 幸治, 鮫島 靖浩, 増山 敬祐
    1995 年 38 巻 1 号 p. 6-20
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    扁平上皮癌原発部位の組織に浸潤しているリンパ球から樹立した細胞傷害性Tリンパ球 (CTL) のクローンは自己癌細胞を特異的に傷害し, しかも人組織適合性抗原 (HLA) に拘束性をもつことが明確に証明された。この生体に準備されたクローンは担癌生体からの末梢血リンパ球を自己あるいは同種癌の二次的免疫刺激 (リンパ球・癌細胞混合培養: MLTC) することによっても拡大・分化させる事が出来た。MLTCと遺伝子組換え型インターリュウキンー2 (rIL-2) 培養で分化・成熟したCTLを癌栄養動脈を介して患者に養子的に戻し注入した。臨床効果は極めて高く, CTL療法単独で47%の患者が50%以上の原発癌縮小 (CR+PR) を示し, この治療法を化学療法, 放射線照射, 手術と組合せることによって患者の完全治癒や生活の質 (QOL) を向上させる可能性が示唆された。免疫調節物質としても作用すると考えられる低濃度抗癌剤 (CDDP, CBDCA, 5-FU) をまず導入治療として経動脈的に注入し, 続いて試験管内で誘導しておいたCTLを注入した。これを2回繰り返し, その後40GYの放射線照射を行った。化学療法とCTLの組合せで60%の奏効率 (PR) を得, 更に放射線照射を加えると100%の奏効率で, CR率は45%となった。この効果は摘出病巣の組織学的所見からも裏付けられた。手術範囲の縮小にも成功し, 上顎癌の眼球摘出や口蓋摘除を避ける事が出来た。2年 (累積) 生存率は現時点では極めて高い。まだ基礎的, 臨床的に行われなければならない研究は残っているが, この試行の結果はCTL療法を加えた計画的癌集学治療が頭頸部癌患者を治療するための価値ある戦略であることを示しているものと評価している
  • 乾燥空気負荷による鼻腔抵抗の変化を中心に
    山口 猛
    1995 年 38 巻 1 号 p. 21-34
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    鼻閉及び鼻閉感の原因を追求する目的で, 諸条件の許に乾燥空気を鼻腔内に与えることにより, 鼻腔内湿度変化に伴う鼻腔抵抗値の変化から双方の関与を検索し, また, 高齢者における鼻腔機能を青壮年者と比較検討し, 加えて高齢者における鼻閉感と鼻腔内乾燥との関連をも併せて検討した。
    (1) 青壮年群における鼻内の乾燥化は, 鼻腔内湿度の低下・鼻腔抵抗値の増大・粘液繊毛機能の低下を惹起し, 自覚的には鼻閉感を生じさせる。その原因と推察できるものとして, 粘膜表面の摩擦抵抗の増大あるいは乱流の発生を推定した。
    (2) 高齢者においては, 青壮年群と比較し, 鼻腔内湿度の低下・鼻腔抵抗値の減少が確認された。また鼻腔内湿度が増加すると抵抗値が減少することを認め, 同時に鼻閉感といった症状の改善が認められた。
    (3) 高齢者における加湿後の鼻腔抵抗値の減少の要因として, 粘膜表面の摩擦抵抗の減少および乱流発生の抑制などが推察された。
    (4) 鼻腔形態不良を伴わない高齢者の鼻閉,鼻閉感の治療にあたっては, 鼻粘膜の乾燥を是正することが有用と認められた。
  • 池間 陽子, 佃 守, 持松 いづみ, 谷内 晶子, 松田 秀樹
    1995 年 38 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    通年性アレルギー性鼻炎患者10例に抗アレルギー剤の一つであるazelastine hydrochloride (塩酸アゼラスチン) を投与し, 投与前後における血中サイトカイン (IL-3, 4, 6, GM-CSF, IFN-γ, TNF-α) の濃度をELISA法にて測定した。その結果, これらのサイトカインのうちIL-6のみの変動, すなわち抗アレルギー剤投与による血中IL-6の濃度の低下が観察された。アレルギー性鼻炎において血中のIL-6濃度の変動を検討した報告は今回初めてである。もともと血中IL-6の高い症例において血中IL-6濃度の減少は, 塩酸アゼラスチンのアレルギー性鼻炎に対する効果を推察する指標として有用であると示唆された。
  • 石丸 正, 作本 生, 長山 郁生
    1995 年 38 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回我々は2歳7ヵ月女児に発症した副咽頭膿瘍例を経験した。膿瘍は, 副咽頭間隙から広頸筋直下に及ぶもので, 外方に膨隆していたため容易に切開排膿し, 治癒せしめることができた。小児の副咽頭間隙膿瘍は咽後膿瘍や扁桃周囲膿瘍に併発するものが多く, 副咽頭膿瘍単独で発生するものは極めて稀であるが, それら報告例を検討すると, 本症例の様に膿瘍が外方に膨隆する傾向があり, この原因が小児の組織間隙の接着が弱いことに起因するように思われた。
  • 菅家 稔, 井上 貴博, 川崎 篤, 星 道生
    1995 年 38 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭蓋底髄膜脳瘤の発生頻度は, 35,000-40,000人に1例とたいへん稀な疾患である。今回我々は鼻腔内腫瘤, 水様性鼻漏を主訴に来院した前頭蓋底髄膜瘤の1例を経験し, intracranial approachにより根治手術を施行し, 良好な結果を得た。また, 本疾患の臨床的特徴を中心に文献的考察を加えた。
  • 鼻咽腔膿瘍の1例を中心に
    長山 郁生, 堀川 勲, 丸山 裕美子, 岡部 陽三
    1995 年 38 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳疾患による合併症は, 抗生物質の発達により近年では稀な疾患となってきた。しかしこの疾患の重要性については昔と変わることがなく, 一度発症すると患者は重篤な状態にいたり, 正確な診断と的確な処置のみが治癒へと導くことができる。今回我々は, 頭蓋内合併症1例と耳合併症2例を経験したので報告する。
  • 宮野 龍太, 中島 庸也, 森山 寛
    1995 年 38 巻 1 号 p. 58-63
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年, 耳鼻咽喉科診療において結核症に遭遇することは稀であり, とりわけ上咽頭結核は極めて稀な疾患である。今回我々は難聴と耳閉感を主訴として来院した, 癒着性中耳炎を伴う原発性上咽頭結核の1症例を経験した。症例は24歳女性で上咽頭に腫瘤を形成し, 病理組織学的検査にて結核と確定診断された。SM, INH, RFPの三者併用療法にて腫瘤は縮小し, 現在経過観察中である。原奔性上咽頭結核は, 本邦において検索し得た範囲で, 自験例も含めて14例が報告されたのみである。今回我々はこれらの文献的考察を踏まえ, 自験例とともに原発性上咽頭結核の病型や疫学について検討を加えた。
  • 軟性気管支鏡にて摘出し得たケース
    宮崎 日出海, 柳 清, 青木 基, 森山 寛
    1995 年 38 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    2歳の男児が咳漱と発熱を主訴に当院小児科を受診した。聴診所見, 胸部X線所見から右気管支異物が疑われ, 当科において直ちに全麻下の軟性気管支鏡を施行したところ粘液状の異物が右上葉枝より吸引除去された。摘出された異物は意外にも体内由来の粘液栓であり, 本症例はいわゆる気管支粘液栓塞症の範疇に入るものと考えられた。気管支粘液栓塞症と外来性異物の鑑別は気管支鏡無くしては極めて困難である。特に小児においてはそのエピソードに確実性を欠くため, 本症が少しでも疑われた場合, 診断的治療の意味においても比較的侵襲の少ない軟性気管支鏡検査が現時点での第1選択の方法と考えられる。
  • 扁桃絞断器の一工夫
    白幡 雄一, 荒井 秀一, 小林 直樹, 白沢 昭弘, 佐久間 龍良
    1995 年 38 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    口蓋扁桃摘出術の際の術創からの出血の減少を目的として, 主として子宮や直腸の切除に用いられるエルマン社製のサージトロンユニバーサルスネアー (電気絞断器) を口蓋扁桃摘出術に応用し, 出血量を従来の扁桃摘出術と比較検討した。対象は全て慢性扁桃炎で電気絞断器を使用した8例と, ブリューニング式扁桃絞断器を使用した9例である。摘出をはかる扁桃を上方から被膜外剥離したのち, 電気絞断器使用例では下極と母体との接合点である結合織に係蹄をかけ通電しながら徐々に絞断を試みた。出血量はガーゼ分量で13mlから55mlで, 平均は27mlであった。電気絞断器を使用しない標準的な扁桃摘出術の出血量の平均は53mlであった。
  • 前川 喜平
    1995 年 38 巻 1 号 p. 77-85
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳鼻科は小児科に次いで子どもが多く受診する科である。耳鼻科の日常診療に役立つ知識・技能として乳幼児健診をまとめた。
  • 中島 庸也
    1995 年 38 巻 1 号 p. 86-95
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎はいまもなお耳鼻咽喉科領域で重要な疾患のひとつであるが, アレルギー性鼻炎の合併の増加もあり副鼻腔炎の臨床像はかなり変化してきている。しかし, 副鼻腔炎の主な病態が細菌感染による炎症であることに変わりはない。最近, びまん性汎細気管支炎 (diffuse panbronchiolitis; DPB) に対しエリスロマイシン (EM) の少量長期投与の有効性が認められ, 耳鼻咽喉科領域でも慢性副鼻腔炎などの慢性感染症に対し同化学療法の有効性が追試, 検討され臨床応用されている。このような現況において急性, 慢性副鼻腔炎の適切な抗菌剤療法を今一度再検討してみる。
  • T大医科研速中性子線照射事件の判決を契機に
    畔柳 達雄
    1995 年 38 巻 1 号 p. 96-103
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 澤木 修二, 佃 守, 犬山 征夫, 内田 正興
    1995 年 38 巻 1 号 p. 104-115
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌でCDDP・5-FU療法その他の化学療法を施行し, 好中球減少症の生じた45例にKRN 8601 (rhG-CSF) 75μg/body/dayを14日間皮下投与し, 効果判定対象とした38例中36例 (94.7%) に中等度以上の有効性を認めた。副作用は5例に腰痛のほか軽微なものが認められたが, 安全性は100%で, 92.1%の有用性が得られた。KRN 8601は頭頸部癌の化学療法時発現する好中球減少症に対し, 極めて有用な薬剤であると判定された。
  • ケトチフェンを対照薬とした多施設二重盲検比較試験
    奥田 稔, 海野 徳二, 戸川 清, 菊池 恭三, 石井 哲夫, 柳田 則之, 上村 卓也, 川堀 眞一, 奥出 芳博, 犬山 征夫, 福田 ...
    1995 年 38 巻 1 号 p. 116-136
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    セチリジン (C群) の鼻アレルギーに対する有効性, 安全性および有用性について, 二重盲検法によりケトチフェン (K群) を対照薬とて比較検討した。最終全般改善度は「中等度改善」以上でC群47.9%, K群38.3%とC群が高かったが, 統計学的に両群問に有意差は認められなかった。また, 同等性検定 (0.1)により, C群はK群に対して同等の有効性を有することが確認された。有用度は「有用」以上でC群46.9%, K群31.4%とC群がK群に対して高値を示したが有意差は認められなかった。概括安全度は「安全性に問題なし」でC群93.6%, K群76.2%であり, U検定ではC群がK群に対して有意に優れる結果を得た。また副作用発現率はC群5.5%, K群18.8%であり, その主なものは眠気でC群3.6%, K群16.8%であった。
    セチリジン10mg×1回/日投与はケトチフェン1mg×2回/日投与に比し, 同等の有効性を有し, 安全性が有意に高い結果を得た。
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