耳鼻咽喉科展望
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38 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 疫学・治療・予後を中心に
    柳田 則之
    1995 年 38 巻 4 号 p. 401-412
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Sudden deafness (SD) is a sensorineural hearing loss with an abrupt onset and of unknown origin.
    SD was designated as a specific disease by the Ministry of Health and Welfare of Japan in 1973. Since then, studies on SD have rapidly advanced.
    SD is particularly noted as one of the most remarkable sensorineral hearing loss, because of hearing recovery in earlier stage.
    Present study was conducted to clarify nationwide epidemiol gical surveys, treatments and prognosis.
  • 豊嶋 勝, 板垣 政信
    1995 年 38 巻 4 号 p. 413-419
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    真珠腫骨破壊をめぐってサイトカインがいかなるネットワークを形成しているのかを明らかにする自的で, 手術時摘出した真珠腫組織を種々の条件下で培養し, 培養上清中の骨吸収活性・サイトカイン濃度を測定した。
    その結果, 以下のことが判明した。1) 真珠腫組織培養上清中の骨吸収活性の本体はIL-1αであった。2) TNFαとIL-1αは, 相互に産生を促進し悪循環を形成していた。3) IL-1αに誘導されるIL-6は, TNFα産生抑制を介して間接的にIL-1 産生にネガティブフィードバックをかけていた。4) GM-CSF, TGFαはいずれもIL-1α産生促進的に作用していた。
    以上より, 真珠腫性中耳炎においては, IL-1αとTNFαの相互産生促進による悪循環を中心に複雑なサイトカインネットワークが形成されており, ひとたびその引き金が引かれるとIL-1α産生促進の方向へと進み, 産生されたIL-1αが骨破壊に関与することが強く示唆された。
  • 熊埜御堂 浩, 井上 貴博, 冨田 俊樹, 川崎 篤, 山崎 一人
    1995 年 38 巻 4 号 p. 420-424
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    甲状腺良性腫瘍 (濾胞腺腫) において, 心停止にいたる急激な呼吸困難をきたした症例を経験したので, その臨床経過を報告し, 病態について検討した。
    症例は64歳, 女性。2年前より前頸部腫瘤に気付いていたが, 突然の喘鳴, 呼吸困難が出現し近医受診時に心停止をきたした。近医にて救命処置をとられた後, 呼吸困難と前頸部腫瘤の精査目的に当院へ搬送された。当院入院後5日目に気管切開術および甲状腺腫瘍亜全摘術を施行し病理組織学的検査にて濾胞腺腫と診断された。
    病態としては腫瘍内出血により急速増大が起こり気管が圧迫され呼吸困難をきたし心停止にいたったと考えられた。
  • 内藤 永恵, 田中 康夫, 井上 庸夫, 棚木 美紀
    1995 年 38 巻 4 号 p. 425-429
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    剣道によりもたらされた感音難聴を有する17歳男子とその弟たちの聴力像について文献的考察を加えて報告した。長男は剣道歴10年でオージオグラムで両側にc5 dip型聴力損失をきたし, 剣道歴8年の次男は左側2kHzを中心とするdip型聴力損失が認められたが, 剣道歴5年の三男には, 純音聴力検査でみるかぎり異常は認められなかった。
    剣道難聴は一般に剣道の経験年数が長くなるにつれて難聴が進行する傾向があり, また, 剣道難聴をきたす要因としては, 道場内の騒音によるものだけではなく, 面をうけたときの内耳への直接障害がより強く影響しているのではないかと考えられた。
  • 小出 千秋, 樋口 豊, 今井 昭雄, 鈴木 正治
    1995 年 38 巻 4 号 p. 430-437
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    両側性でしかも両側とも多発性の耳下腺腫瘍を2例経験した。いずれも両側耳下腺手術を施行し, 組織学的診断を得た。1例目は41歳の男性で耳下腺原発と思われる両側性の悪性リンパ腫, 2例目は49歳の男性で両側性のWarthin腫瘍であった。1例目は両側とも耳下腺内に6個, 耳下腺外に3個の腫瘍を認めた。2例目は右に4個, 左に2個の腫瘍を認めた。1例目では術前診断法としてCT検査と超音波検査を行ったが, 良性腫瘍の特徴を有していた。耳下腺原発の悪性リンパ腫は良性腫瘍と誤診しやすいので, 注意を要すると考えられた。
  • 北村 真紀, 平出 文久, 吉田 知之, 大橋 伸也, 鄭 正舟, 舩坂 宗太郎
    1995 年 38 巻 4 号 p. 438-443
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    類皮嚢胞は身体各部より発生するが口腔底よりの発生は比較的稀である。また, その中でも奇形腫様嚢胞の発生は極めて稀である。今回口腔底に発生した巨大な奇形腫様嚢胞の1例を経験したので報告した。
    症例は18歳の女性で発音の不明瞭さを指摘され当科受診となった。初診時口腔底に半球状の腫瘤を認め, CT, MRIで下顎骨内方に嚢胞様の陰影を認めた。そこで全身麻酔下に口内法にて嚢胞を摘出した。病理組織学的検査では類皮嚢胞であり, 嚢胞壁に毛包, 脂腺, 汗腺, 平滑筋がみられた。これはMeyerの分類によれば奇形腫様嚢胞に属すると考えられた。
  • 飯田 崇, 鈴木 雅一, 石塚 洋一
    1995 年 38 巻 4 号 p. 444-451
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当科で経験した深頸部膿瘍10例についてまとめ, そのうちの4症例について各々検討を加えた。症例は糖尿病を合併した1症例, 退院後再発した1症例, 縦隔膿瘍をきたした1症例, 副咽頭間隙膿瘍1症例である。
    起炎菌と有効な抗生剤の選択については, 嫌気性感染を考慮し, LCM, CLDMを第一選択とし, ペニシリン系またはセフェム系を投与するのがよいと考えられた。
    診断にはCTが有用で, 治療の前後に行い, 膿瘍の消失を確認することが重要である。
    糖尿病合併症例は, 重症化しやすいので血糖のコントロールが同時に重要であ。
  • 今村 祐佳子, 大蔵 眞一, 飯野 ゆき子
    1995 年 38 巻 4 号 p. 452-457
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ムンプスは急性高度感音難聴をおこす疾患として知られている。ムンプス難聴がおこる原因としては, ウイルス血症によるという考え方と髄膜炎が脳脊髄液を介して内耳に波及するという考え方がある。今回われわれは, 難聴とめまいをおこした急性期のムンプス症例を経験し報告した。高音部で高度, 低音部では中・高等度の左耳聴力損失が認められた。カロリックテストでははじめ左耳で無反応であったが後に回復した。一般にムンプス難聴は回復しないと考えられているが, なかには回復がみられたという症例の報告もある。ムンプス難聴であっても積極的治療が重要であろう。
  • ニューマクロライド系抗生物質ロキシスロマイシンの慢性副鼻腔炎に対する効果
    久松 建一, 岸保 鉄也, 中澤 勉, 小塚 雄史, 村上 嘉彦
    1995 年 38 巻 4 号 p. 458-466
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ロキシスロマイシンの慢性副鼻腔炎に対する有効性を42名の患者に300mg/dayを4週間経口投与して検討した。自覚症状, 他覚所見の変化を判定基準によって, またX線所見の改善を肉眼的に判定した。X線所見の肉眼的判定の改善は上顎洞, 飾骨洞でそれぞれ20.9%, 34.6%であった。
    上顎洞の黒化度/眼窩の黒化度の比の変化のコンピューター解析を行った。自覚症状, 他覚所見の変化とコンピューター解析による客観的評価を加味した場合と客観的評価を加味しない場合の総合判定ではそれぞれ74.0%, 42.8%の有効率が得られた。
  • 横田 雅司, 青柳 優
    1995 年 38 巻 4 号 p. 467-475
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    段階的鼓室形成術におけるシリコン板の有用性を明らかにするため, 1977年から1993年に段階的鼓室形成術が行われた135例を以下の3法に分けて検討した。1次手術の際癒着防止の方策をとらなかったものをA法 (43例), シリコン板を畳まずに使用したものをB法 (32例), 2っ析にしたシリコン板を鼓室から乳突腔にかけて挿入したものをC法 (60例) として, 2次手術の所見についてそれぞれを比較検討した。
    その結果, 鼓室内肉芽はC法で最も少なく (6.5%), A法で65.2%, B法で43.8% の症例に見られた。また, 上鼓室ブロックもC法が最も少なく (10.9%), A法78.3%, B法47.8% であった。さらに術後の聴力改善もA法, B法に比べてC法が良好であった。以上より, 2つ折にしたシリコン板は畳まないものに比べて, 鼓膜の癒着および鼓室や乳突腔における線維組織の増殖の防止に対してより有用であると考えた。
  • 川井田 政弘, 福田 宏之, 甲能 直幸
    1995 年 38 巻 4 号 p. 476-481
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    直達喉頭鏡を用いた喉頭顕微鏡下レーザー手術は早期声門癌の一次治療として確立されてきている。本手術を行うための手技工夫として, われわれが行っている極小規格の後側方開放型直達喉頭鏡の試作モデルを用いて鉗子操作を容易にする方法を中心に紹介した。極小規格の後側方開放型直達喉頭鏡を用いると喉頭展開に優れ, 鉗子類の挿入や除去が容易である。また, 排煙用吸引管を挿入できる細径の側管も付属している。また, 前部は完全に管状であり, 剛性に優れている他, 舌の入り込みによる術野の妨げもほとんど認められない。極小規格の後側方開放型直達喉頭鏡を用いた本手術の利点などについて考察した。
  • リンパ球機能不全
    和田 靖之, 久保 政勝
    1995 年 38 巻 4 号 p. 482-488
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 公的支給制度について
    調所 廣之
    1995 年 38 巻 4 号 p. 489-498
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 38 巻 4 号 p. 499-511
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • informed consent理論の背景
    畔柳 達雄
    1995 年 38 巻 4 号 p. 512-518
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 鵜飼 幸太郎, 雨皿 亮, 坂倉 康夫
    1995 年 38 巻 4 号 p. 519-532
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    通年性鼻アレルギーの患者21例を対象に, 甜茶エキスキャンディー (甜茶エキス120mg/日) を4週間連続経口投与し, その有効性, 安全性および有用性について検討を行った。
    全般改善度は, 投与2週目, 4週目で「中等度改善」以上が35.0%, 最終全般改善度は,「中等度改善」以上が47.6%を示した。副作用は認められず, 有用度は「有用」以上が47.6%であった。症状別改善度では, くしゃみ発作, 鼻汁, 水性分泌量, 鼻誘発試験および鼻汁中好酸球数で, 統計学的に有意な改善が認められた。
    以上の結果より, 甜茶エキスキャンディーは通年性鼻アレルギーに対して有用であると考えられた。
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