耳鼻咽喉科展望
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38 巻, Supplement1 号
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  • 一川 聡夫
    1995 年 38 巻 Supplement1 号 p. 3-19
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新生児から84歳にわたる日本人屍体40例60耳の側頭骨の連続切片標本を作製して組織学的に検索した。従来からの報告にもあるようにアブミ骨底板は中耳側の骨層と前庭側の軟骨層の2層構造を示しており, その2層の接する部分の断面は基本的には直線状に区分されていた。底板の骨・軟骨の比率は大部分が1: 1の構成であり, また底板の骨・軟骨境界部には加齢による明瞭な化骨機転の進行を認めなかった。耳硬化症の好発部位の一つであるFissulaante fenestram (FAF) についても観察した。
    全症例の93.9%に存在し, 開口部は前庭側に78.6%と最も多く認められた。FAF内部の組織は軟骨で縁どられた結合織よりなり年齢に関係なく一部に典型的な硝子軟骨を認めたが, 高齢者になると骨化, 脂肪化している例も認めた。
  • 特に篩骨洞天蓋部および眼窩板の形態について
    大塚 三和子
    1995 年 38 巻 Supplement1 号 p. 20-41
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    この研究は副鼻腔X線前頭断断層撮影法で撮影された日本人3歳から85歳まで500症例のX線フィルムを用いて, 節骨洞天蓋部および眼窩板形態について観察および計測を行ったものである。
    その結果, 箭骨洞上方に位置する筋骨洞天蓋部の形態は解剖学的変異に富むが, 一方, 筋骨洞下方の形態は個人差があるものの一定の傾向を認めた。
    内視鏡下鼻内手術による合併症が少なからず報告されているが, これを予防し安全で効果的な手術結果を得るためには, 臨床解剖の熟知だけではなく術前の単純・断層・CT等のX線検査の詳細な画像読影経験が要求されると考えた。
  • 断層X線による観察
    今 三佳子
    1995 年 38 巻 Supplement1 号 p. 42-63
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    2,048例の副鼻腔断層X線フィルムを用いて上顎洞高, 上顎洞幅の計測から上顎洞の発育状態を調べた。同時に鼻中隔弯曲の程度, 弯曲最大突出部の位置も計測し弯曲型別および年齢別に洞発育の関わりと洞内病変の関係も検討した。その結果全例に凸側上顎洞の発育が優位であった。弯曲型別においては凸側が優位なのはC湾群956例 (84T4%) およびS弯群106例 (71.6%) であった。凹側が優位なのはK弯群548例 (75.0%) であり, C弯およびK弯群では鼻中隔弯曲との問に正の相関が認められた。
  • 佐藤 隆夫
    1995 年 38 巻 Supplement1 号 p. 64-82
    発行日: 1995/02/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回1985年から1987年の3年間に亘って耳鼻咽喉科医が不在で未だ耳鼻咽喉科検診が実施されたことのない静岡県伊豆半島北部地域で鼻汁細胞診とアンケート調査を実施し, その結果を検討した。副鼻腔炎有病者頻度は都市市街地より耳鼻科医不在地域である未検診地区の農林業地域, 漁業地域に高くみられ, 居住地域により差はあっても低学年に多く, 高学年になるにしたがって漸減傾向を示した。鼻アレルギー有病者頻度はベットタウン化, 工場進出が進む地域で最も高く, 都市市街地がこれに次ぎ, 農林業, 漁業を主とする未検診地区では最も低率であり, 副鼻腔炎に比べると居住地域による差は大きいが同一校内では学年変動が少ない。アンケート上と鼻汁細胞診上の診断が一致する割合は副鼻腔炎より鼻アレルギーに有意に高い, 今回の結果からは生活環境と鼻アレルギー有病者頻度との関係を証明することは出来なかった。
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