今回1985年から1987年の3年間に亘って耳鼻咽喉科医が不在で未だ耳鼻咽喉科検診が実施されたことのない静岡県伊豆半島北部地域で鼻汁細胞診とアンケート調査を実施し, その結果を検討した。副鼻腔炎有病者頻度は都市市街地より耳鼻科医不在地域である未検診地区の農林業地域, 漁業地域に高くみられ, 居住地域により差はあっても低学年に多く, 高学年になるにしたがって漸減傾向を示した。鼻アレルギー有病者頻度はベットタウン化, 工場進出が進む地域で最も高く, 都市市街地がこれに次ぎ, 農林業, 漁業を主とする未検診地区では最も低率であり, 副鼻腔炎に比べると居住地域による差は大きいが同一校内では学年変動が少ない。アンケート上と鼻汁細胞診上の診断が一致する割合は副鼻腔炎より鼻アレルギーに有意に高い, 今回の結果からは生活環境と鼻アレルギー有病者頻度との関係を証明することは出来なかった。
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