耳鼻咽喉科展望
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38 巻, Supplement2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 松永 喬
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 87-90
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    As one of the therapies for otorhinolaryngological diseases, aerosol therapy for diseases of the larynx as well as those of the nose and paranasal sinuses is frequently prescribed.
    In a statistical evaluation of aerosol therapy during a survey of medical practitioners in Osaka and Nara prefectures, the reported incidence was high and the rate ranged about 30%. Many researchers reported effects from aerosol therapy for diseases of the nose and paranasal sinuses, but there were few reports of laryngeal aerosol therapy.
    In this symposium, we will initially study the actual use of laryngeal aerosol therapy. The first speaker will be Dr. Kouno. He will show the statistical incidence and manner in which doctors are using laryngeal aerosol therapy.
    Next, four researchers will describe and clinical studies regarding laryngeal aerosol therapy. Dr. Wakuda will describe the accumulation of the aerosol particles in the respiratory tract according to differences in types of equipment and differences in the way of inhalation.
    Dr. Nonaka will describe basic problems in the accumulation of the aerosol particles in the respiratory tract according to differences in humidity, temperature and acceleration of particles.
    Dr. Hyo will describe effective aerosol therapy for all sorts of diseases of the larynx and the confirmation of the experimental and clinical efficacy due to the addition of the pressure during inhalation.
    Dr. Iwata will describe some clinical problems such as the difference between the oral and nasal methods and the effects of aerosol therapy for allergic diseases involving the larynx.
    We hope to develop additional subjects after obtaining such useful information about laryngeal aerosol therapy.
  • 佐藤 良暢
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 91-96
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    目的
    鼻・咽・口蓋に解剖学的変形のない鼾患者が就寝前に温熱エアロゾルを鼻吸入することで一晩を通じての鼾低減が認められるのか否かを客観的・定量的手法を用いて検定した。
    方法
    鼾ボランティア30名を被験者とし, 市販の鼻吸入専用器 (ナショナル製) を用いて発生エアロゾル (43℃, Dp6.0μm, GSD2.1μm, 3ml/分, 10分) を吸入 (予備実験), さらに録音解析による定量評価方法による「本実験」では上記条件のほか5分吸入も加え, 一定の吸入方法の下に吸入させた。
    結果と考察
    10分吸入ほかの条件下では,「本実験」被験者全員に低減効果が認められたが, 効果出現の有無には鼻腔温度上昇が大きく関わるために, 温熱エアロゾル鼻吸入の際の吸入方法が重要であること, また5分吸入では効果が低いことも明らかとなった。
  • モデル実験による解析
    国部 勇, 浅野目 充, 野中 聡, 海野 徳二
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 97-101
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年, ウイルス感染に伴う急性鼻炎やアレルギー性鼻炎に対する治療法の一つとして蒸気吸入療法が注目されている。我々はこの療法に用いられる吸入器がどのような加湿能を持つのか検討するためモデル実験を試みた。蒸気吸入器はEisai社製のスカイナースチームII ® を用いた。上気道モデルとしてビニールパイプ (内径2.5cm) を用い, 加湿能はパイプ管中の各部に取りつけたディスクに沈着する水分量として評価した。パイプの一端に蒸気吸入器を取り付け, パイプの形状や吸引負荷などの条件を変化させてモデル内の各部位に沈着する水分量を比較した。沈着量は吸入器からの距離が大きくなるほど減少し, モデルが屈曲することにより屈曲部以降の部位で減少した。また, 超音波ネブライザー (オムロン社製NEU 11B) と比較すると蒸気吸入器の方が沈着量が多く加湿能が高いが, 上気道のような屈曲の強い管腔では部位により加湿能が低下する可能性も示唆された。
  • 佐藤 素一, 石塚 洋一, 平山 弘三, 石川 道男
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 102-108
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    前回の続報である。湯気を用いて (1) moisture (2) thermal, さらに (3) 現在用いられているエアロゾル用薬剤を併用して理想的な鼻腔所見改善を図ろうとする機器の開発に向け, 昨年度の立案計画に基づいてこの1年間取り組んできた進行状況について報告する。
  • Beclomethasone dipropionate inhaler (Aldecin ® inhaler) の使用経験
    川井田 政弘, 福田 宏之, 甲能 直幸, 川崎 順久
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 109-113
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    東京都立大塚病院耳鼻咽喉科で経験した非特異性喉頭肉芽腫症例に対して副腎皮質ステロイド薬の吸入療法を主体とした保存的治療を行った。全例ともbeclomethasone dipropionate inhaler (BDI, 商品名Aldecin ® inhaler) を用いて外来通院で治療した。その結果, 有効率は80%であった。さらにこの治療成績と慶應義塾大学病院耳鼻咽喉科においてBDI吸入療法で治療された症例の治療成績との比較検討を行った。非特異性喉頭肉芽腫の発生原因として, 声門後部の微細な損傷と同部の強い閉鎖に起因する悪循環が考えられた。BDI吸入療法では抗炎症作用による直接作用とともに, 間接作用としてこの悪循環を断ち切ることも効果発現に関与していることが考えられた。本治療法は外来でも簡便に行うことができ, 治療法のひとつとして有用と思われた。
  • 厚田 幸一郎, 沼里 友紀, 本橋 茂, 村瀬 勢津子, 吉山 友二, 小林 輝明, 朝長 文弥
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 114-118
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    従来の超音波ネブライザーを用いた気管支拡張剤の吸入療法では二, 三の薬物において, 薬剤含量が低下することを報告してきた。今回, 新規に開発されたダブルホーン型超音波ネブライザーを用いて, 気管支拡張剤の安定性改善にっいて検討した。新規超音波ネブライザーを用いた噴霧では, いずれの気管支拡張剤においても, 噴霧液ならびにボトル内残液の外観変化および含量低下は認められず, 薬剤の安定性が保持されていた。以上のことより, 気管支拡張剤の吸入療法に際して, 新規に開発されたダブルホーン型超音波ネブライザーを用いることの有用性が示唆され, 今後, 超音波吸入療法の機器として広く臨床使用されることが期待される。
  • 石塚 洋一, 飯田 崇, 小泉 達朗
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 119-123
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    エアロゾル療法は, 経鼻的あるいは経口的に薬剤投与を行う局所療法である。本療法を有効的にかつ安全に行う上で, 投与されたエアロゾル粒子の気道系分布を知っておく必要がある。そこで, ジェット型ネビュライザーを用いて経口的に投与されたエアロゾル粒子の沈着率について, アイソトープを用いて検討した。その結果, 噴霧量の沈着率は, 鼻腔5%, 口腔10%, 咽喉頭20%, 胸部30%, 腹部15%であり, 呼気を含めた空中飛散が20%であった。経鼻的ネビュライザーによるエアロゾル粒子の沈着率に比較し, 口腔, 咽喉頭, 胸部への沈着率が高かった。従って投与薬剤の口腔, 消化器系ならびに下気道障害性については十分な注意が必要と考えられる。
  • 森 繁人, 斎藤 等, 木村 有一, 山田 武千代
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 124-129
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マウス鼻中隔粘膜および慢性上顎洞炎の手術時に摘出した, 正常と判断したヒト節骨洞粘膜を用いて, RPMI上1640を加えた40, 80, 600, 1.200mg/Lのノルフロキサシンを作用させ, 鼻粘膜繊毛運動に与える影響を検討した。40, 80mg/Lでは鼻粘膜繊毛運動は賦活も障害もされず, 600, 1,200mg/Lでは薬剤作用直後から117.4%-128.1%の繊毛運動活性の賦活傾向がみられ, 2時間以上持続した。ただし24時間の薬剤曝露で繊毛の球状変性と繊毛運動活性の低下がみられた。
    また実際にアレベール液で希釈した1,200mg/Lノルフロキサシン点眼液をジェット式ネビュライザーで鼻腔内に作用させ, 生体の鼻粘膜繊毛運動に与える影響についても検討したが, 苦味, 悪臭, 刺激感, さらにサッカリンテストによる鼻粘膜繊毛輸送機能の障害のいずれもみられなかった。以上のことから, ノルフロキサシンはネビュライザー用剤として必要な条件を概ねみたしており, 今後ネビュライザー用剤として期待できるものと考えられた。
  • 局所使用のための基礎的研究
    久松 建一, 岸保 鉄也, 中澤 勉, 中島 真由美, 徳山 豊, 村上 嘉彦
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 130-133
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    クラリスロマイシンの粘膜への影響を慢性副鼻腔炎患者の篩骨洞粘膜を用いてin vitroで検討した。クラリスロマイシンをRPMI1640に溶解して37℃, 5%CO2湿度100%の組織培養下で暴露して, 位相差顕微鏡にビデオカメラを装置して2, 500倍に拡大された粘膜表面像をTVモニター上で観察し, 繊毛活性を光学電気的に測定した。
    観察時間 (3時間) 内で1μg/ml 5μg/ml, 10μg/ml のすべての濃度においてクラリスロマイシンは繊毛活性を増強した。クラリスロマイシンは粘膜表面像の変化を惹起しなかった。
  • 間島 雄一, 坂倉 康夫
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 134-138
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎患者の約半数に鼻粘膜粘液繊毛輸送機能の低下が認められることが知られている。本研究では生理的食塩水エアロゾルが慢性副鼻腔炎患者の低下した鼻粘膜粘液繊毛機能にどのような影響を及ぼすかを検討した。生理的食塩水0.7mlをジェットネビュライザーで鼻腔に投与し, 投与前後のサッカリン時間 (ST) を粘液繊毛機能の指標として測定した。23名の正常人では生理的食塩水投与前後のSTに有意の変化は認められなかったが, 慢性副鼻腔炎患者19名では生理的食塩水投与後に投与前に比し有意にSTが改善した。慢性副鼻腔炎患者の低下した鼻粘膜粘液繊毛機能に及ぼす生理的食塩水のこのような効果を本症における鼻粘膜粘液繊毛機能低下のメカニズムと併せて考察した。
  • アンケート調査から
    甲能 直幸
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 139-143
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喉頭のネブライザー療法は大部分の耳鼻咽喉科医により行われている。しかしながら副鼻腔のネブライザー療法に比べると基礎研究もまだ少なく, 実際には漠然と使用されているというのが臨床の現状であると思われる。そこで, 広く喉頭ネブライザー療法の臨床における現状についてアンケート調査を行い, 喉頭疾患に対するネブライザー療法の普及程度, 問題点を検討した。
  • 和久田 幸之助
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 144-149
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回, 喉頭疾患に対して, 最も有用なエアロゾル療法について検討し, 以下の結果を得た。
    1. 喉頭病変に最も多くの薬剤を沈着させるには超音波式ネビュライザーが有用である。
    2. 喉頭エアロゾル吸入療法に対して重要な要因は吸入方法であり, 超音波式ネビュライザーでは発声しながら, 蒸気吸入器では通常呼吸時に吸入を行うことが, 最も喉頭に多くの薬剤を沈着させることになる。
    3. ステロイドと抗生剤 (DKB) の吸入では胃粘膜および気管粘膜に変化を認めなかった。
  • 野中 聡, 国部 勇, 浅野目 充, 海野 徳二, 石川 幸雄
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 150-154
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喉頭ネブライザー療法におけるエアロゾル粒子の気道内への沈着様式についての解析はこれまであまりなされていない。本実験では経口RI吸入実験を行い, 喉頭超音波ネブライザー療法における気道, 消化管内へのエアロゾル沈着率を解析するとともに, 粒子に送気, 振動などを加え, これらの条件が沈着率にどのような影響を与えるか検討を加えた。超音波ネブライザー単独で吸入した場合, 咽喉頭部への沈着率は約4%と小さく, 大部分のエアロゾルは肺に沈着した。毎分3Lの送気付加トライアルでは咽喉頭部への沈着率はネブライザー単独とほぼ同じであった。振動付加トライアルのみ全ての被験者に共通して咽喉頭部への沈着率が増加した。RI標識製剤をテクネシウムHSAに代えた場合も, 咽喉頭部への沈着率は送気付加の場合と同様であった。
  • 基礎編・臨床編
    兵 昇, 兵 行和
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 155-168
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Studies in aerosol therapy for the larynx have suggested that at vocalization, much amount of aerosol drug is able to be deposited because path of vocal cords becomes narrow. The mechanism for this particle deposition was investigated using both a model cast and a living organ of human larynx to check partial deposition efficiency for each part of larynx. Total aerosol deposition was found to be characterized by higher efficiency of particle impaction and circulated air flow formed as the narrow path of the vocal cords. The effectiveness of SPSU-12 nebulizer with a mouth adapter was examined in relation to the clinical testings for acute and chronic laryngitis by means of evaluating the disease types and the drug availability of pathogen.
  • 岩田 重信
    1995 年 38 巻 Supplement2 号 p. 169-178
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    喉頭ネブライザーの臨床応用は古くから施行されているが, その効果判定の困難さから薬剤選択や投与方法など, まだ検討すべき問題が残されている。今回, 第18回日本医用エアロゾル研究会が市川銀一郎会長 (順天堂大学教授) のもとで開催され, 松永喬奈良医大教授の司会の下, 喉頭ネブライザー療法のシンポジウムが行われた。「アレルギー性疾患に対する臨床的検討」の発表をもとに, 喉頭ネブライザーの噴霧粒子の上気道内の流れの観察と喉頭アレルギーの臨床につき報告する。
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