耳鼻咽喉科展望
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39 巻, 6 号
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  • ウイルス性疾患 (I)
    西山 茂夫
    1996 年 39 巻 6 号 p. 592-593
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 舩坂 宗太郎
    1996 年 39 巻 6 号 p. 594-603
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    本論文では, まず人工内耳の機構, ならびにマルチトーカー雑音負荷の有無という条件での人工内耳のみと読話併用での言語聴取能を述べた。この結果は, 人工内耳が聾ないしは高度難聴患者に充分有用であり, さらに言語習得前の乳幼児にも効果的であることを示すものであった。言語習得前の乳幼児への応用については, 日本は欧米諸国にくらべて遥かに遅れている。この現状に鑑み, 筆者は私的な訓練センター (チルドレン・センター) を設立した。幸い, 今のところよく機能している。
    第二に最近の蝸牛生理の進歩について, すなわち外有毛細胞の伸縮により蝸牛基底板が鋭い周波数分析を行うことを述べた。また蝸牛障害により, 閾値上昇に加えて周波数分析能と音の大きさの細やかな分析が劣ることにも言及し, 周波数分析能を補償しない補聴器の限界についても述べた。
    第三に人工内耳の乳幼児への応用に関連して, 言語知覚の脳機構について説明した。
  • 中林 成一郎, 鈴木 直弘, 中塚 滋, 高坂 知節
    1996 年 39 巻 6 号 p. 604-614
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    鼻アレルギーの治療薬として, ステロイド鼻腔内投与 (以下点鼻) が一般に用いられているが, その作用機序は不明な点が多い。ステロイド点鼻は, 鼻粘膜の活性化好酸球の浸潤を抑制することが知られ, その活性化因子としてIL-5の関与が重要である。そこで今回, まず鼻粘膜のIL-5と各浸潤細胞の抗原誘発による動態を観察後に, ステロイド点鼻による影響を免疫組織学的に検討した。結果は, 抗原誘発により活性化好酸球, IL-5陽性細胞, 肥満細胞, 好中球の増加を認め, ステロイド点鼻によりT細胞, 活性化好酸球, 肥満細胞, 好中球の減少を認めた。また, ステロイド点鼻において, IL-5陽性細胞とT細胞との間に相関を認めた。従って, ステロイド点鼻は, IL-5の生産・放出を直接的に抑制はしないが, IL-5産生細胞として主にT細胞を抑制している可能性が示唆された。
  • 腫瘍径と蝸電図所見の関係
    田中 藤信, 塚崎 尚紀, 中尾 善亮, 重野 浩一郎, 小林 俊光
    1996 年 39 巻 6 号 p. 615-619
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    34例の聴神経腫瘍 (AT) 患者の蝸電図検査成績を腫瘍の大きさおよび純音聴力像と比較検討した。ATにおいて, 蝸牛神経複合活動電位 (AP), 蝸牛マイクロホン電位 (CM) の振幅, 検出閾値は腫瘍径との相関は少なかったが, 純音聴力閾値とAP, CMの検出閾値との差をとると, これらと腫瘍径との間に強い正の相関が認められた。以上よりATにおける内耳障害の頻度および程度は腫瘍径の増大に比例しないが, 後迷路障害の頻度および程度は腫瘍の増大とともに増加するものと結論された。
  • その術式の検討
    春名 眞一, 小澤 仁, 浅井 和康, 吉見 充徳, 森山 寛
    1996 年 39 巻 6 号 p. 620-626
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    保存的治療にて改善の認められない小児副鼻腔炎18症例を対象として, 13例 (5-15歳) に保存的内視鏡下鼻副鼻腔手術 (MESS) を, 5例 (13-15歳) に内視鏡下鼻副鼻腔手術 (ESS) を施行し, 各術式の適応や術後評価について検討した。術後2-10ヵ月のCT画像所見において1例を除いて上顎洞膜様部や鼻前頭管の開存が確認され, MESS施行例では著明改善8例, 改善4例, 不変1例で, ESS施行例では著明改善4例, 改善1例を示した。全般的な自覚症状の改善度は95%であった。特に口呼吸, 鼻閉, 頭痛の改善がみられ, 鼻漏, 後鼻漏にっいては1/4が不変例であった。また, 術後鼻副鼻腔の内視鏡所見では, 6例が著明改善し, 6例が改善, 4例が不変, 2例が判定不能であった。以上の結果より, 12歳以下の保存的治療難i治例には, 発育途上の鼻副鼻腔に対して生理的な形態の温存を考慮したMESSを, 13歳以上で高度病変例には従来のESSを施行するのが適切であると考えた。
  • 西川 益利, 西川 恵子
    1996 年 39 巻 6 号 p. 627-631
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    蝸電図検査にて+SPを認めた症例を集計し,メニエール病とメニエール病以外の症例に分けて検討した。80dBnHLクリック刺激での+SP振幅,-SP振幅,AP振幅,+SP/AP振幅比,-SP/AP振幅比の平均値は,メニエール病においてメニエール病以外の症例より増大していたが,統計学的には有意差を認めなかった。メニエール病における-SP/AP振幅比の増大は,+SPを認める症例においては必ずしも認められないことが示唆された。
  • 溝呂木 紀仁, 本郷 了
    1996 年 39 巻 6 号 p. 632-635
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    28歳,男性,呼吸困難,喘鳴を主訴として6ヵ月にわたり,喘息として治療してきたが,症状悪化のため内視鏡検査を行い,生検の結果,気管原発の腺様嚢胞癌(Adenoid cystic carcinoma)と判明,手術にて気管内の腫瘍核出,その後気管骨組としてシリコンTチューブを用いた。原因不明の呼吸障害,改善の徴候のない呼吸障害の場合には,早期に内視鏡検査が望まれる。治療では,手術療法のみが根治法であり,腫瘍切除後気管の端端吻合が望ましいが,腫瘍の性格より,気道確保のためのConservative operationも十分考慮に値するものと思われる。
  • 杉尾 雄一郎, 工藤 葉子, 山田 祐起子, 調所 廣之
    1996 年 39 巻 6 号 p. 636-642
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは比較的稀な症状を呈した深頸部感染症の3症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した。
    症例1は80歳の女性で,ガス産生菌による深頸部感染症のため前頸部に広範な皮膚欠損が生じ,形成手術を必要とした。
    症例2は26歳の女性で,両側側頸部に3ヵ所の独立した膿瘍を形成した。
    症例3は12歳の男性で,両側顎下部に独立した膿瘍を形成した。
    いずれの症例においても,診断と治療にはCTスキャンが有用であった。深頸部感染症の治療には,適切な外科的ドレナージと抗生物質の投与が重要であると考えられた。
  • 上村 隆一郎, 神崎 仁, 國弘 幸伸, 倉島 一浩, 佐藤 彰芳
    1996 年 39 巻 6 号 p. 643-647
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    聴力保存手術である中頭蓋窩法または拡大中頭蓋窩法III型により腫瘍摘出術を施行された聴神経腫瘍症例の耳鳴につき術後,聴力が保存された群(聴力保存群)と聴力が保存されなかった群(聴力非保存群)に分けて検討した。その結果,耳鳴の有無,耳鳴の大きさの変化,耳鳴の気になり方の変化に関して,聴力保存群と非保存群の問に明らかな差は認められなかった。また,耳鳴の気になり方に関して,両群とも術前術後をとおして患者のQOLに悪影響を及ぼすような苦痛度の高い耳鳴はほとんどみられなかった。
  • 津田 純, 平野 康文, 松崎 純宏
    1996 年 39 巻 6 号 p. 648-652
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    動静脈奇形とは,短絡血管よりなる血管奇形であり,頭蓋内などに多くみられる。頭頸部の動静脈奇形は稀であるが,出血などの多彩な臨床症状をきたし得る。診断には血管造影が不可欠である。動静脈奇形の治療は外科的全摘出が必要であり,流入動脈,流出静脈を含んで周辺組織を含めて腫瘤を一塊として摘出する。
    今回我々は,願下部に発生した左顔面動脈を流入動脈とし,左内頸静脈を流出静脈とする動静脈奇形症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した。
  • 大西 俊郎, 橘 敏郎, 佐藤 英明, 茂呂 八千代, 江崎 史朗
    1996 年 39 巻 6 号 p. 653-660
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    内視鏡的副鼻腔手術 (Endoscopic Sinus Surgery: ESS) において最初に前飾骨蜂巣と後節骨蜂巣の下部を蝶形骨洞前壁まで開放し, その後, すぐに鼻泉門から上顎洞を開放し, 節骨洞の下部に広い準備的手術野を確保したあとに紙様板, 節骨蜂巣の天蓋の清掃と前頭窩と前頭洞口の開放を行う方法を行った。この方法を上顎一前頭法 (Maxillary to Frontal Method) と呼び, 過去2年間で施行した254件の手術の結果をまとめた。その結果この方法により術中に飾骨洞内の視野が広くなり, 効果的な手術ができるとともに, 出血量の軽減, 副損傷の減少, 手術時間の短縮などの効果が認められ, この術式がESSのqualityの向上に役立っものと思われた。
  • 藤谷 哲, 洲崎 春海, 大氣 誠道, 横川 友久, 池田 心, 徳丸 敬, 寺尾 元, 野村 恭也
    1996 年 39 巻 6 号 p. 661-665
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    われわれは, 1995年12月より1996年3月の間に慢性副鼻腔炎症例15例28側の内視鏡下鼻内手術において, ハマー・マイクロデブリッダーシステム (ストライカー社, 米国) を使用し, その有用性を検討した。
    その結果, 本システムの最大の利点は術野の血液や切除した組織を持続吸引することで内視鏡下で術野が明瞭に確保できることであった。このことより安全な手術操作ができた。また, 切除部位の術創は平滑で, 鼻甲介のトリミングが容易にでき, 嗅裂部など狭い部位の病変の切除も可能であった。欠点は吸引が時に詰まることや, 硬い骨は削除しにくく鉗子操作より病変除去に時間がかかることであった。また, 外筒の形状が直であるため屈曲した方向にある病変部位の手術操作ができなかった。
    以上のことより, 柔らかい鼻茸症例や再手術の鼻茸症例の鼻茸切除, 箭骨蜂巣がよく発達していて蜂巣隔壁が薄い症例の飾骨洞の郭清が, このシステムを用いて内視鏡下鼻内手術を行うのに適した手術操作であると考える。
  • 浅井 和康, 石井 正則, 本郷 了, 飯田 誠
    1996 年 39 巻 6 号 p. 666-670
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    スカイナー®スチームは, 43℃の水蒸気を直接鼻腔に噴霧して吸入させることによって, 主に鼻アレルギー患者の症状改善をはかる医療器械であるが, 今回我々は, これを鼻中隔矯正術ならびに下鼻甲介粘膜切除術を施行した患者に術後治療として使用した。検査項目として, 術前にMAST, 鼻腔通気度, サッカリンテスト, さらに本人の自覚症状に関するアンケートを行った。術後退院してから自宅にてスカイナー®スチームの吸入を1日2回, それぞれ10分間ずつ施行させた。その後外来にて上記検査を再び行い, その推移について検討したところ, いずれにおいても改善が認められたが, 特に自覚症状において好成績であった。これは, 鼻内を加湿することによって痂皮の形成を防ぐという効果によるものと考えられた。
  • 小曽根 基裕, 伊藤 洋
    1996 年 39 巻 6 号 p. 671-677
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 辰野 聡, 小林 はる美, 多田 信平
    1996 年 39 巻 6 号 p. 678-679
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 徳増 厚二
    1996 年 39 巻 6 号 p. 680-687
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    めまい・平衡障害患者のリハビリテーションの歴史は古く, 多くの基礎的, 臨床的研究が報告されているにも関わらず, そのための平衡訓練の臨床の場での実施が遅れている。平衡訓練の基礎である平衡機能の生理的, 病的状態について述べ, 方法, 適応, 注意について解説した。平衡訓練の目標設定, 訓練法の選択実施, 評価を一連として検討することとした。
  • 北村 正樹, 景山 茂
    1996 年 39 巻 6 号 p. 688-692
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 畔柳 達雄
    1996 年 39 巻 6 号 p. 693-697
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 中村 英生, 川崎 克, 北村 哲也, 鳥居 俊, 五十嵐 文雄, 浦野 正美, 中野 雄一
    1996 年 39 巻 6 号 p. 698-707
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1995年度において, スギ花粉症患者に対してペミロラストカリウム (アレギサール®) を予防投与群と飛散開始後投与群に分けて投与し, その臨床効果, 特に予防投与の効果にっいて検討した。1995年は記録的な大量飛散の年であったが, 飛散期全経過を通じて予防投与群では飛散開始後投与群に比べて有意に症状の増悪が抑制されており, 予防投与が有効であることが確認された。また大量飛散の年では予防投与の期間を2週間にとらわれずできれば4週間以上にすることでさらに飛散期における症状の増悪を抑制できるものと思われた。
  • 鵜飼 幸太郎, 竹内 万彦, 増田 佐和子, 大川 親久, 雨皿 亮, 中本 節夫, 田矢 理子, 村井 須美子, 原田 泉, 坂倉 康夫
    1996 年 39 巻 6 号 p. 708-718
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1995年のスギ花粉症患者160例にペミロラストカリウム (アレギサール®を投与し, その初期治療投与による症状抑制効果について検討した。有効性の解析は初期治療群47例, 飛散期治療群44例の計91例を対象とした。
    初期治療群では飛散初期・中期において, 飛散期治療群と比較し, くしゃみ, 鼻閉, 日常生活の支障度に対して有意な症状の抑制を認めた。また, 初期治療群ではステロイド点鼻剤などの他剤を併用する率が有意に低かった。初期治療群を投与開始時期別に分けて検討すると, 飛散開始前に4週以上 (平均5.7週) 投与した症例の飛散初期における症状抑制効果は4週未満 (平均2.5週) 投与例より優れていた。
    以上の成績より, 大量飛散の年においても, 本剤はスギ花粉飛散開始予想日前から投与することにより飛散初期・中期における鼻症状の軽減が図かれ, ステロイド点鼻剤などの併用の必要性が軽減されるなど, その初期治療効果が確認された。また, 飛散開始予想日の4週以上前から投与することにより有効性が高まるものと思われた。
  • 大山 勝, 古田 茂, 花牟礼 豊, 福田 勝則, 花田 武浩, 島 哲也, 上野 員義, 松根 彰志, 村野 健三, 勝田 兼司, 大野 ...
    1996 年 39 巻 6 号 p. 719-728
    発行日: 1996/12/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の感染症30例にリン酸クリンダマイシン (CLDM) を投与し, 組織移行と扁桃炎を中心とする上気道感染症での治療効果を検索した。その結果, 扁桃組織へのCLDMの組織内移行率 (組織濃度/血清中濃度) は, 50-155.7%であった。耳漏中移行率は53%, 上顎洞粘膜への組織内移行率は, 35.2%であった。また, 各疾患有効率は, 急性扁桃炎で77.7%, 扁桃周囲炎, 扁桃周囲膿瘍, 急性咽頭炎, 咽頭膿瘍の各症例でそれぞれ100%であった。これら全症例30例の有効率は90%, 著効率は46.7%(14例) であった。さらに今回の検討では, 副作用の発現は全くみられなかった。以上の成績から, CLDMは耳鼻咽喉科領域の感染症の治療にとってきわめて有用で, 安全性の高い注射用抗生物質の一つと考えられた。
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