保存的治療にて改善の認められない小児副鼻腔炎18症例を対象として, 13例 (5-15歳) に保存的内視鏡下鼻副鼻腔手術 (MESS) を, 5例 (13-15歳) に内視鏡下鼻副鼻腔手術 (ESS) を施行し, 各術式の適応や術後評価について検討した。術後2-10ヵ月のCT画像所見において1例を除いて上顎洞膜様部や鼻前頭管の開存が確認され, MESS施行例では著明改善8例, 改善4例, 不変1例で, ESS施行例では著明改善4例, 改善1例を示した。全般的な自覚症状の改善度は95%であった。特に口呼吸, 鼻閉, 頭痛の改善がみられ, 鼻漏, 後鼻漏にっいては1/4が不変例であった。また, 術後鼻副鼻腔の内視鏡所見では, 6例が著明改善し, 6例が改善, 4例が不変, 2例が判定不能であった。以上の結果より, 12歳以下の保存的治療難i治例には, 発育途上の鼻副鼻腔に対して生理的な形態の温存を考慮したMESSを, 13歳以上で高度病変例には従来のESSを施行するのが適切であると考えた。
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