耳鼻咽喉科展望
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39 巻 , Supplement1 号
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  • 秋田 茂樹, 小川 晴子, 宮崎 貴子, 堀部 昌代, 加藤 洋治, 水田 啓介, 伊藤 八次, 宮田 英雄
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 5-10
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1) 慢性副鼻腔炎16例の内視鏡下鼻内手術中に吸引した上顎洞貯留液について嫌気性菌を含む詳細な細菌検索を行った。
    2) 16例のうち培養陽性であったものは14例であった。手術前1ヵ月以内に抗菌薬を内服していた10例中9例はマクロライド系抗生物質の内服をしており, うち培養陽性は8例で, 1症例あたりの平均分離株数は1.75株であった。一方, 抗菌薬を服用していない6例は全例培養陽性で1症例あたりの平均分離株数は4株と高い値を示した。
    3) 検出された嫌気性菌は11株でPeptostnptococous spp.4株 (36%) に加えPrevotella Spp.2株 (18%) が分離された。
  • 中川 伸一, 小池 靖夫, 石谷 保夫, 田村 公一, 嶋田 高明, 堀 洋二, 阿部 晃治, 増田 博範
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 11-15
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎に対しては, 細菌学的検索を行い, 起炎菌を同定することが重要である。今回, 我々は慢性副鼻腔炎患者45名に対し, 上顎洞, 鼻腔からの細菌学的検索を行うとともに, 喉頭膿汁貯留液のみられる症例に対しては喉頭からの細菌学的検索も行い, それらを比較検討した。上顎洞, 鼻腔からの検出菌はS. epidermisが多く見られた。喉頭からの検出菌は多彩であり, 喀痰などの混在が考えられた。上顎洞と鼻腔の菌一致率は約70%であり, 鼻腔からの検出菌が上顎洞の菌を, ある程度反映していると思われた。しかし, 嫌気性菌が起炎菌の場合, 鼻腔からの検出は困難であった。鼻腔と喉頭の菌一致率は35%であり, 後鼻漏が喉頭膿汁に少なからず, 影響していることが示唆された。
  • 南 豊彦, 久保 伸夫, 友田 幸一, 山下 敏夫
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 16-19
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    細菌バイオフィルムは, 慢性下気道疾患の難治化に深く関わっていることが報告されてきているが, この特徴として細菌の局所での生息圏の維持が形成要因と考えられており, 臨床症状が急性増悪を繰り返し慢性に経過することや, 換気の不十分な場合に認められること, マクロライド系抗菌剤がその治療に有効であることが知られている。これらは, 細菌バイオフィルムが, 上気道病変の一つである慢性副鼻腔炎にも存在する可能性を示唆するものである。今回, 慢性副鼻腔炎患者の病的副鼻腔粘膜を走査電顕を用いて観察したところ, グライコカリクスを産生している所見は多く認められたが, 報告されている典型的なバイオフィルムの所見は認められなかった。グライコカリクス産生は, バイオフィルム形成の初期あるいは軽度の段階であるとも考えられており, 今回の結果から, 症例によっては慢性副鼻腔炎にもバイオフィルムが形成される可能性のあることが示唆された。
  • 古川 正幸, 池田 勝久, 大島 猛史, 丹野 哲子, 高坂 知節
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 20-22
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マクロライドは気道からの粘液や電解質の分泌の抑制効果があることが知られている。慢性副鼻腔炎においても臨床的に鼻汁分泌抑制効果が報告されている。今回我々は, ヒト鼻腺細胞の培養を確立し, マクロライドとヒト鼻汁分泌との関係を検討した。その結果, Erythromycin(10-4M)の10分間の前投与により, Acetylcholine(10-5M)によるCl-電流の上昇に著明な抑制効果が認められた。慢性副鼻腔炎の病態においてErythromycinが鼻腺細胞よりの鼻汁分泌を抑制することが示唆された。
  • 三輪 正人, 岩田 重信, 高須 昭彦, 平野 光芳, 馬場 錬, 斉藤 正治, 挟間 章博, 岡田 泰伸
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 23-27
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎患者の鼻汁に対する14員環マクロライド剤の著明な抑制作用が臨床的に確認されているが, その作用機作はいまだ不明の点が多い。airway surface liquidのsol層の調節を行っているとされる気道上皮細胞管腔側のクロライドチャネルは, 刺激時活性化され, 種々の病態における気道過分泌の一翼を担っているとされるが, その詳細はあまり解明されていない。今回, 初代培養気道上皮細胞管腔側のクロライドチャネルに対するロキシスロマイシンの作用機作についてスライスパッチクランプを用いて検索した。その結果, β刺激時のoutwardly rectifying chloride channel (ORCC) の活性化をロキシスロマイシンが著明に抑制し, この効果は, ORCCに対する直接作用によるものであることが証明された。本実験で得られた成績はマクロライド剤の気道過分泌抑制機序の直接的解明の一助となると思われる。
  • 相良 ゆかり, 上野 員義, 岩元 光明, 王 振海, 花牟礼 豊, 古田 茂, 大山 勝
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 28-30
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    加齢の粘液繊毛機能に及ぼす影響を, 粘液産生, 繊毛運動の面から検討した。粘液産生は, 気道上皮分泌腺細胞の糖鎖生物学的手法を用い, 糖蛋白レベル及びmRNAレベルで検索した。組織形態学的に繊毛上皮細胞, 分泌細胞の形態の加齢に伴う影響は認めず, レクチンを用いた粘液糖蛋白の検索からもシアル酸を含めた糖鎖の変化は観察されなかった。また, 鼻粘膜腺細胞におけるシアル酸糖転移酵素の発現も同様に確認された。サッカリンを用いた繊毛運動の検索からも加齢の差は認めなかった。以上の結果から, 粘液繊毛機能の生理的老化は, 他の感覚器と比べ少ないものと推察された。
  • 鈴木 秀明, 池田 勝久, 下村 明, 大島 猛史, 中林 成一郎, 丹野 哲子, 高坂 知節
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 31-34
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎患者の鼻汁中の浸出好中球とIL-8に対する14員環マクロライド系抗生物質の効果について検討した。非アレルギー性慢性副鼻腔炎患者12例に対しロキシスロマイシン150mg/dayを3ヵ月間単独投与し, 鼻汁スメア中の好中球数の段階評価とELISAによる鼻汁中のIL-8濃度の測定を行った。鼻汁スメア中の好中球については投与開始後2-3ヵ月で約6割の症例で減少した。鼻汁中のIL-8濃度は, ロキシスロマイシン投与開始後3ヵ月で投与前に比して有意に低下した。さらに鼻汁スメア中の段階評価による好中球数と鼻汁中のIL-8濃度との間には相関が認められた。以上の所見より, ロキシスロマイシンは好中球動員とその好中球によるIL-8産生のpositive feedback機構を抑制することが示唆された。こうしたマクロライド系抗生物質の作用機序を解明することにより, 本疾患に対するサイトカイン療法の可能性が開かれるものと考えられる。
  • 洲崎 春海, 浅野 和仁
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 35-40
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ロキシスロマイシン (RXM) は肝臓で代謝されて, その代謝物であるRU28111, RU39001, RU44981, RU45179が生ずることが知られている。in vitroにおいて, 大腸菌由来のlipopolysaccharide (1.0μg/ml) 刺激によるヒト末梢血単球からのIL-1β, IL-8, TNF-α 産生に対するこれらRXM代謝物の作用について検討した。IL-1β の産生はRU 28111, RU 39001, RU 44981, RU45179とも0.5μg/ml, 1.0μg/ml, 3.0μg/mlで有意に抑制された (P<0.05)。IL-8の産生は1.0μg/mlのRU 44981のみで有意に抑制された (P<0.05)。TNF-αの産生は影響されなかった。これらの結果は, ある場合にはRXM代謝物が炎症において免疫調整作用があることを示唆している。
  • 石戸谷 淳一, 小口 直彦, 王 娜亜, 鳥山 稔
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 41-45
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎でもマクロライド療法によく反応する症例と反応しない症例がある。そこで, マクロライド療法が有効であった慢性副鼻腔炎 (有効例) と, その効果が明らかではなかった慢性副鼻腔炎 (無効例) の鼻茸を材料として, 組織学的に比較した。好酸球浸潤は有効例, 無効例いずれにもみられたが, 浸潤好酸球の数は有効例より無効例で著明であった。無効例の好酸球はEG1, EG2いずれの抗体でも染色され, 鼻茸中の多くの血管は抗VCAM-1抗体で染色された。有効例の好酸球はEG2抗体による染色性は低く, 鼻茸中の血管はVCAM-1よりゆもICAM-1を多く発現していた。それゆえ有効例と無効例では, 炎症性細胞や細胞接着分子について異なった炎症反応の特徴を示し, これらの相違がマクロライド療法に対する効果に差を生じる一因であると考えられた。
  • 與田 順一, 保富 宗城, 木村 貴昭, 九鬼 清典, 山中 昇
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 46-48
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎を始めとする難治性の上気道感染症では, 宿主の免疫学的防御機構の賦活が重要と言える。鼻粘膜は生体防御の最前線に位置し, 鼻咽腔関連リンパ装置 (NALT) の一部として局所粘膜免疫応答の重要な位置にある。我々は, 副鼻腔炎の重要な起炎菌の一つであるNontypable H. influenzaeの外膜蛋白の一つであるP6を用い, 経鼻免疫による鼻咽腔での抗P6特異的免疫応答の誘導およびサイトカインの関与について検討した。
    その結果, P6の経鼻免疫によって鼻咽腔洗浄液中にP6特異的IgA抗体が誘導された。またIL-5, IL-6などのサイトカインの経鼻投与を併用することで, 鼻咽腔における抗P6特異的免疫応答は増強された。以上のことから鼻咽腔での特異的免疫応答において, サイトカインの併用が効果的であると考えられた。
  • 小口 直彦, 石戸谷 淳一, 鳥山 稔
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 49-51
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法については, その有効性を示す多くの報告がある。しかし, 慢性副鼻腔炎すべてに有効性を示すわけではなくその効果は一様ではない。また, 慢性副鼻腔炎の病態も多様でありマクロライド療法の効果に影響を与えていると考えられる。そこで, 異なった下気道病変を合併する慢性副鼻腔炎についてマクロライド療法の効果を検討した。
    下気道病変の病態が異なるとマクロライド療法に対する反応性にも差がみられ, SBS群は喘息群と比べ有効性が高かった。SBS群のなかではびまん性汎細気管支炎, 慢性気管支炎, 気管支拡張症の順に有効性がみられたがその差は明確ではなかった。また, 下気道病変を伴わない単独性の慢性副鼻腔炎はSBS群に類似した有効性がみられた。
    喘息群とSBS群では慢性副鼻腔炎の病態も異なると考えられる。マクロライド療法の有効性の相違が, このような慢性副鼻腔炎の病態の違いを直接反映することが示唆された。
  • 石田 稔, 八田 千広, 雑賀 孝昇, 杉山 視夫
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 52-55
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎の薬物効果をみるために従来より鼻内所見の鼻漏の量, 鼻粘膜の状態, 鼻漏の性状と患者の自覚症状の鼻閉, 頭重感などが用いられている。
    しかし, これらの項目はいずれも不確実であるので, 今回は鼻内視鏡下に洞自然口の状態すなわち鼻汁分泌量とその性状を中心に観察した。
    薬物としてRoxithromycin (RXM) を副鼻腔炎患者に投与し, 薬剤の投与前後の鼻腔内の変化をみた。対象患者をgroup I: 手術をうけていない症例, group II: 術後再発症例の2群に分けRXM300mg (力価) 2回分割の経口投与を4週間行った。
    内視鏡はHopkins直視鏡を用いてVTRシステムのvideoprintした写真を効果判定に用いた。この結果, 鼻汁の性状ではgroup I75%, group II80%全症例では75%の改善を認めた。鼻汁分泌量をみるとgroup Iでは100%, group IIでは90%全症例を通じて95%の分泌量が減少し改善を認めた。
    今回RXMの副鼻腔炎に対する効果を内視鏡下Videoprint記録し比較検討したところ, 鼻汁の膿性の粘性化, 鼻分泌物の減少を認めた。
  • 平田 したう, 松島 隆浩, 小野 邦彦, 夜陣 紘治
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 56-60
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の病態をよりよく理解するために, X線検査で上顎洞に陰影が認められた症例に対して上顎洞内視鏡検査を行い, 臨床所見と比較し治療に反映させるとともに, 病理組織学的検討を行った。鼻アレルギーのある例では上顎洞底部の浮腫状粘膜変化が高率にみられ, 好酸球の浸潤数も鼻アレルギーのない例に比べ有意に多く, 副鼻腔におけるアレルギー性炎症の存在を確認する結果となった。また同一症例の治癒過程について検討した結果より, 抗原が自然孔を経由して副鼻腔に到達しアレルギー性炎症を惹起する可能性が示唆された。
  • 分藤 準一, 黒野 祐一, 茂木 五郎
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 61-64
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当科におけるアレルギー性副鼻腔炎症例の実態を把握すべく, 鼻アレルギー患者の鼻部X線検査における副鼻腔陰影型と, 上顎洞粘膜の組織学的検討を, retrospectiveに行った。対象は, 平成3年1月より平成7年3月まで当科を受診した鼻アレルギー患者446名とした。その内229名 (51.3%) に副鼻腔陰影を認めたため, 陰影型を3種類に分類したところ, 粘膜肥厚型は116例 (50.7%), ポリープ型は59例 (25.8%), 瀰漫型は54例 (23.5%) であった。また, 26名の成人例に鼻内内視鏡手術あるいは副鼻腔根本術が施行されており, 得られた上顎洞粘膜の組織学的検討を行った。上顎洞粘膜の組織型としては, 浮腫型が9例 (34.6%), 繊維型が10例 (38.5%), 浮腫繊維の混合型が7例 (26.9%) であった。組織学的所見としては, 粘膜上皮層の杯細胞の増加, 上皮下基底膜の肥厚, 粘膜下固有層の浮腫性肥厚, 好酸球を主体とした浸潤細胞の増加, 腺分泌の亢進などの特徴が認められた。これらの所見より, 炎症性肥厚を生じた副鼻腔粘膜においても。I型アレルギー反応が生じている可能性が示唆され, 臨床症状や副鼻腔の陰影改善のための鼻アレルギーに準じたアレルギー治療の必要性が示唆された。
  • 飯野 ゆき子, 宮澤 哲夫
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 65-69
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マクロライド療法を施行した慢性副鼻腔炎症例の副鼻腔粘膜の病理組織型を, 粘膜下の浸潤細胞からリンパ球型, 好中球型, 好酸球型と分類し, そのマクロライド療法の有効性ならびにその種々の臨床像と比較検討した。リンパ球型, 好中球型は, マクロライド療法の有効性が高く, 一方好酸球型はマクロライド療法の有効性が有意に低く70%に喘息などのアレルギー疾患が認められた。鼻内所見では, 好中球型, リンパ球型の症例は好酸球型に比べ, 有意に膿性鼻汁を有する頻度が高かった。また副鼻腔X線像から, 好中球型では上顎洞の陰影が節骨洞陰影に比べて高度な症例が多く, 一方好酸球型では簾骨洞の陰影が高度の症例が多かった。中鼻道の細菌培養結果と組織型との有意な相関は見られなかった。以上より, マクロライド療法を施行するにあたっては, これらの臨床像を念頭にいれその適応を検討すべきと考えられた。
  • ニューキノロン大量投与療法とニューキノロンとマクロライド併用療法
    中島 庸也
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 70-75
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    当科での慢性副鼻腔炎の治療法としては, 鼻茸充満例や高度病変例は別としてマクロライド (MLs) 少量長期投与を主にした保存療法を2-3ヶ月施行し, 改善傾向の有無により, 手術療法か保存療法の継続を選択している。現在の状況では, MLs少量長期投与により治癒が得られる病態が解明されておらず, この療法が無効であった場合は補助・強化療法としてニューキノロン (NQ) 療法も考えられる。更に, 今後の保存治療として, より短期間での治療効果発現とより重症例への適応拡大が課題と考えられる。今回NQ大量短期投与とNQとMLsの併用投与療法の臨床応用について検討してみた。
    (1) NQ大量短期投与では慢性副鼻腔炎7例において, LVFX600mgを7日間-14日間投与した。臨床効果は有効率は57%であった。
    (2) NQ+MLs併用投与では5例に, LVFX100-200mgとRXM150mgあるいはCAM200mg/日を2-4ヶ月間併用した。臨床効果は有効率100%であった。両療法とも大きな副作用は認められなかった。以上より, これらの抗菌剤療法は慢性副鼻腔炎の保存療法として有効であり, これまでのMLS少量長期投与による保存療法の適応を拡大し, より重症例及びより短期間治療を可能にできる療法と考えられた。
  • 松根 彰志, 福田 勝則, 宮之原 郁代, 岩元 光明, 鶴丸 浩士, 大山 勝
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 76-82
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の外来治療として, ロキシスロマイシンの投与に加え, 副鼻腔炎治療用YAMIKカテーテルを用いた治療を併用した。1ヶ月間の治療にて, 鼻茸を有しない30例において, 自覚症状で23例 (78%) の改善が認められ, 顔面X線検査で18例 (60%) に陰影の軽減, 9例 (30%) でほぼ消失していた。また, サッカリン時間は, 本治療前後で有意に短縮を認めた (P<0.01)。鼻茸を有する12例に対して, 本治療に先立って外来でのレーザー鼻茸切除術を施行した。X線検査上, 手術後と本治療1ヶ月後とで強い陰影改善傾向を認めた (P=0.04)。鼻茸の有無にかかわらず, 中等度以上の鼻アレルギー合併例では, 成績が不良となる傾向にあった。YAMIKカテーテルは慢性副鼻腔炎の治療に有効で, 従来のマクロライドによる治療期間を短縮できるものと考えられる。さらに鼻茸合併例に対するレーザー鼻茸切除術はその適応拡大に有効と考えられた。
  • 池田 勝久, 鈴木 秀明, 大島 猛史, 丹野 哲子, 下村 明, 中林 成一郎, 古川 正幸, 小倉 正樹, 高坂 知節
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 83-84
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎におけるマクロライドの臨床効果を集約した。基礎的検討から, マクロライドは緑膿菌やブランハメラ菌のヒト鼻粘膜上皮細胞への接着を抑制し, 鼻粘膜下鼻腺腺房細胞からのCl一分泌を抑制し, 慢性副鼻腔炎患者の鼻汁中のIL-8の分泌を抑制した。これらの所見から副鼻腔の粘液線毛機能の改善がもたらされると示唆される。アイソトープをもちいた実験において, 上顎洞の粘液線毛機能はOMCの閉塞病変の除去によって改善した。マクロライド療法の無効例には高度なOMCの閉塞を認める傾向にあった。こうして, マクロライド療法による粘液線毛機能の回復のためには, 鼻腔と副鼻腔のOMCを介した交通路の疎通が必要である。
  • 間島 雄一, 坂倉 康夫
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 85-88
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児副鼻腔炎に対しては保存的療法が最も適応となる。副鼻腔洗浄や抗生物質とステロイド剤のエアロゾルによる投与が一般的に行われる。このような保存的療法により改善を認めない場合, 10歳以上の小児では手術療法の適応となる。鼻茸も手術的に除去されねばならない。
    16歳以上の患者においては, 中等度や高度副鼻腔病変は手術的に治療される。上顎洞にのみ中等度の病変を認める場合には手術療法は3ヵ月間の保存的療法が有効でない場合のみ適応となる。このような例では上顎洞の繊毛上皮の形態が良好に保たれているため, 鼻内上顎洞手術が適応となる。
    高齢者では保存的または手術的療法は患者の全身状態とQOLを考慮して決定されるべきである。
  • X-ray Mucous-membrane Function Test (X-M. F. T) による客観的評価
    長舩 宏隆, 吉田 友英, 高橋 博文, 米本 正明, 勝田 慎也, 内藤 丈士, 小田 恂
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 89-93
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    今回我々は慢性副鼻腔炎症例20症例 (鼻茸症例10症例を含む) に対してClarithromycin (CAM) 療法 (400mg/日, 8週間投与) を行い, X-ray Mucous-membrane Function Test (X-M. F. T.) で客観的に評価した。その結果, 上顎洞粘膜肥厚が余り改善しなかったものは44%, 籠骨洞陰影度の改善が少なかったもの27.3%, さらに排泄機能 (上顎洞内線毛機能) が相変わらず不良なものは36%であった。自覚症状, 他覚所見, レ線的所見よりみた総合的評価で経過不良であったものは5例 (25%) であった。この数値が今回の治療の限界を示すものと考えた。
  • 羽柴 基之
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 94-99
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎に対するマクロライド長期投与療法は急速に広まり, その有効性はすでに確立されている。しかし, 無効症例の存在, 症状の改善はあっても消失は少ない, 投与中止後の再燃, マクロライド耐性菌の感染によると思われる急性増悪等の問題も現れてきている。また, この治療法の簡便さも手伝い, あまりに安易に適用され, 症例によっては, より効果的な治療法の選択がなおざりにされ, いたずらに長期投与が継続されている傾向も見られる。過去の162症例の分析から, 悩病期間と効果あるいは治療前の症状の程度と効果には明瞭な相関はみられないこと, しかし手術既往のある症例と10年以上の悩病期間の症例の比率が無効群で高いこと, 投与中止に伴い半数以上が症状の再燃を来すこと, 鼻茸に対する効果は限られており手術的治療が必要であること, レ線上の治癒は困難なことが多いこと, 洞の閉塞性病変には手術療法が必要であることが明らかになった。
  • 佐伯 忠彦, 有友 宏, 中村 光士郎, 相原 隆一, 比野平 恭之, 上甲 英生, 湯本 英二
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 100-107
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    鼻内視鏡手術を行った慢性副鼻腔炎例28例52側の術後にロキシスロマイシン (RXM) の長期投与 (1回150mg, 2回/日, 平均17.6週) を行いその臨床効果について検討した。自覚症状, 他覚所見に対する効果は術後最終週 (各々平均23.1週と23.5週) で有効以上が各々66.7%, 80.0%であった。総合効果 (平均23.2週) は有効以上が66.7%であった。治療前後のCT所見では前後筋骨洞の正常化は良好であったが, 上顎洞の正常化は不良であった。内視鏡下の各副鼻腔粘膜所見では上顎洞以外では80.0%以上で良好な粘膜所見を呈した。中鼻道および上顎洞自然孔の中等度以上の開存度は最終時 (平均23.5週) に各々90%と85%であった。
  • 新川 敦, 坂井 真
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 108-111
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    RXMを6ヶ月以上平均13ヶ月投与を行った49例について臨床効果の推移, および薬剤投与中止時期を検討した。
    その結果, 臨床効果は長期投与を行った症例では10週と6ヶ月, 投与中止時期の3時期において有意の差を認めず, いずれも60%前後であった。また薬剤投与の中止は自覚症状の消失を中心に決定され, 長期投与例でも自覚症状の継続する例に長期投与が多かった。
    以上の結果からRXMの長期投与は6ヶ月を目安にし, 効果が固定した段階で他の治療に変更する必要性があると考えられた。
  • 平塚 康之, 高木 明, 徳田 安誠, 永田 洋美, 大石 延正
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 112-116
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    鼻内視鏡手術後の副鼻腔粘膜の治癒過程を内視鏡下に観察し, ロキシスロマイシン (RXM) が副鼻腔粘膜治癒機転に与える効果とその有用性を検討した。
    慢性副鼻腔炎鼻内視鏡手術例15例をRXM投与群と非投与群の2群に分け, 投与群にはRXM300mgとプロナーゼ36000単位を, 非投与群にはプロナーゼのみ12週間投与した。自覚症状, 他覚所見, 内視鏡所見を経時的に観察し, 両群を比較した。
    自覚症状, 他覚所見では改善度に有意差はなかったが, 内視鏡所見では投与群が非投与群に比べて有意に改善した。自覚症状, 他覚所見と内視鏡所見の経時的変化には解離が見られ, 自覚症状, 他覚所見は固有鼻腔の病態を反映しうるが, 副鼻腔炎の病態を正確に反映していない可能性が考えられた。鼻内視鏡手術後のRXM投与は副鼻腔粘膜病変を改善し, 有効であると考えられた。
  • 海外の報告との比較検討
    東内 朗, 羽柴 基之, 馬場 駿吉
    1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 117-120
    発行日: 1996/06/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年内視鏡下鼻内手術の進歩とともに, 術前の検査として冠状断CTが重要になった。冠状断CTによって, 粘膜病変が詳細にわかるほか, 副鼻腔の解剖学的バリエーションを知ることができる。副鼻腔炎様症状を呈した54症例のCTについて, 各副鼻腔の粘膜病変の発現率につきまとめ, さらに副鼻腔炎の反復や慢性化に関連する可能性のあるagger nasi cell, Haller's cell, middle turbinate pneumatization, paradoxically curved middle turbinate, uncinate process pneumatizationなどの骨の解剖学的バリエーションの発現率を調査した。
    粘膜病変は前節骨蜂巣においてもっとも多く認められた (86.0%)。骨の解剖学的バリエーションの中には副鼻腔炎の慢性化や反復に関与していると考えられるものがあり, 発現率を海外の報告と比較検討し日本人の特徴を推測した。
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