耳鼻咽喉科展望
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40 巻, 2 号
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  • 感染症
    西山 茂夫
    1997 年 40 巻 2 号 p. 144-145
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 大谷 巌, 小川 洋, 唯木 享, 馬場 陽子, 赤池 徹哉, 鈴木 聡明
    1997 年 40 巻 2 号 p. 146-155
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    鼓室の先天性真珠腫には2つの型がある。1つはclosed型で嚢胞を形成しているものであり, 他の1つはopen型で, 広い平坦な表皮が中耳粘膜の代わりに存在するものである。本論文の目的はこれら2つの型の臨床的特徴を比較することにある。
    closed型の早期のものは, 通常症状がなく, 正常鼓膜から球状白色塊が透見されて偶然発見される。これらの大部分はASQに存在し, 通常耳小骨は正常であり, 鼓膜張筋腱かツチ骨裏面から発生している。進展したものでは耳症状が出現し, PSQに存在し, また耳小骨も障害している。
    一方, open型では, 鼓膜は正常に見えるため, 伝音難聴の診断のもとに試験的鼓室開放術が行われ偶然発見される。open型に耳小骨奇形が多いのはこのためである。open型は, 感染や手術侵襲を受けなければdebrisは耳管から排泄され, 進展することはないものと思われる。鼓室開放術の際にopen型真珠腫を見つけたら完全除去が必要である。
  • 新井 泰弘, 佃 守, 持松 いづみ, 湯山 誠一郎, 三上 康和, 松田 秀樹, 加賀 潤, 周 莉新
    1997 年 40 巻 2 号 p. 156-164
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌培養細胞に対する上皮成長因子 (Epidermal Growth Factor;EGF) の作用, またこれらの細胞のEGFリセプター (EGFR) 発現, 抗EGFR抗体の作用, 化学療法の感受性に対する影響などを検討した。培養上清のEGF産生量はすべて検出限界値以下であった。EGFRは全ての細胞に発現し, 過剰発現する細胞もみられた。サイトカイン (IFNα, β, TNFα) によってEGFR発現は増強し, EGFとの併用で増殖能も上昇した。EGFによって増殖促進される細胞にはセルサイクルの変化すなわちS+G2M期への集積がみられ, この増殖促進効果は抗EGFR抗体添加により抑制された。EGF添加によりcisplatinの腫瘍に対するinhibition rateは高まり, 抗腫瘍効果においてcisplatinと抗EGFR抗体の相乗効果がみられた。
  • 丸岡 秀裕
    1997 年 40 巻 2 号 p. 165-171
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    分子生物学的パラメータと癌の臨床的特性との関連を調べるために喉頭の扁平上皮癌を材料として癌抑制遺伝子であるp53とRb, サイクリン/Cyclin dependent kinase (Cdk) 複合体の阻害因子であるp21, 増殖細胞マーカーの一つであるProliferating cell nuclear anti-gen (PCNA) に着目し免疫組織化学的染色法を用い検討を行った。結果, Tla, Tlbの早期癌ではp21が全例陽性を示したのに対してT2以上の進行癌ではp21の陰性例が多くみられた。p21陽性例は全例Rbも陽性を示し, Rbの発現もp21と同様にT分類の進行に伴い減少する傾向を認めた。このことよりT2以上の進行癌では細胞周期制御機構の破綻を来し癌が進行するものと思われた。また, 癌の浸潤の強い症例の多くはp53陽性, PCNAの陽性率が40%以上を示した。以上の結果よりp21, Rb, PCNAはp53とともに喉頭癌の細胞増殖, 浸潤についてのパラメータとして有用と思われた。
  • 臼井 信郎, 原 俊彰, 渡辺 光弘, 大木 幹文, 甲斐 智朗
    1997 年 40 巻 2 号 p. 172-179
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は鼻茸を有する鼻腔の粘膜がメサコリン鼻エアロゾルに反応するか否かを調べたものである。対象と方法 : 鼻茸症例41例にアストグラフによるメサコリン鼻エアロゾル誘発試験を行い, 得られた量一反応曲線より誘発直前の初期鼻呼吸抵抗 (Rrs. N cont), 鼻反応性 (Sd.N) そして鼻感受性 (Dmin.N) の三つのパラメーターを抽出した。さらに誘発前後で鼻腔通気度検査と糸式鼻汁テストを施行した。結果 : 鼻茸症例のメサコリン過敏性は鼻腔における反応と推測され, 鼻腔通気路が狭いほど鼻反応性は強く出現するが, 鼻感受性との間には関連性を認めることができなかった。また鼻汁糸長と鼻感受性そして鼻反応性との問には有意な相関関係を証明することはできなかった。以上より鼻茸症例のメサコリン過敏性亢進を示す所見は分泌物の影響によるよりも鼻粘膜の腫脹によるものではないかと考えられた。
  • 藤倉 輝道, 秋元 利香, 馬場 俊吉
    1997 年 40 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    抗生物質の発達した近年においても深頸部感染症の報告は増加傾向にある。中でも非クロストリジウム性の頭頸部ガス壊疽症例が目立つ。当科でも平成7年11月から平成8年7月までの9ヵ月間に5例の深頸部感染症を経験した。この内2例はガス産生を伴っていた。好気性菌と嫌気性菌の混合感染, 薬剤耐性嫌気性菌の増加を考慮し, 初期治療に用いる抗生物質の選択は慎重になされなければならない。深頸部感染症は重症化する以前に耳鼻咽喉科以外の診療機関で加療されることも多くその病態, 危険性について多くの臨床家と意見交換がなされるべきであり, 深頸部感染症へと移行する可能性のある症例を早期に見極め, その増加防止に力を注ぐ必要性があると考えられた。
  • 石川 忠孝, 浜本 誠, 大黒 慎二, 形浦 昭克
    1997 年 40 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    掌蹠膿疱症にて病巣性扁桃炎と診断され, 昭和60年より平成7年まで当科において両口蓋扁桃摘出術 (以下, 扁摘) を施行し, 喫煙の有無が明らかな男性39名, 女性118名の計157名を対象とし, 患者の術後の喫煙の有無と扁摘の効果について検討した。術前の喫煙率は男性84.6%, 女性72.0%であり, 術後禁煙者は男性2名 (5.1%), 女性12名 (10.1%) であった。扁摘の効果について喫煙群, 術後禁煙群, 非喫煙群の3群に分類し, また術後の喫煙本数別についても検討を行った。扁摘の効果は, 術前を10とし術後の臨床症状の変化を基準として0を消失とし点数化した。術後の皮疹の変化は, 女性においては喫煙者が術後2.0であったのに対し非喫煙者では0.8であり (P<0.05), 喫煙本数が10本以上の群では術後2.1で0本では0.9であった (P<0.05) 。しかし男性では有意差を認めなかった。喫煙の扁摘の効果に影響を与える因子として性と喫煙本数が考えられた。
  • 山本 一博, 八尾 和雄, 籾山 安弘, 松岡 明裕
    1997 年 40 巻 2 号 p. 192-199
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は鼻副鼻腔ムコール症の1例を報告した。症例は48歳男性で, 腎移植の既往があり, 免疫抑制剤を服用中であった。眼症状を主訴に受診したが, 病状は急速に進行した。手術と抗真菌剤の併用療法を行ったが, 術後頭蓋内合併症を併発し死亡した。
    この症例は, 鼻眼脳型に属したが, 手術前の画像診断は, ほぼ正常所見を呈したため, その診断に難渋した。ただしMRIは本疾患の早期診断に適した検査法となる可能性があり, 今後検討を要する。免疫能が低下した患者における, 鼻症状, 眼症状の出現に際しては, 本疾患の存在を念頭におく必要がある。
  • 脇坂 尚宏, 長山 郁生, 古川 仭, 佐藤 達宏, 嘉藤 秀章, 井本 浩二
    1997 年 40 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    上咽頭に原発したIgG-λ型孤立性髄外性形質細胞腫の1症例を経験した。摘出のみを施行後, ほぼ2年半が経過しているが再発していない。
    本例を含む本邦症例123例について文献的検索を行った。髄外性形質細胞腫は, 初回治療が重要であり, 摘出, 放射線療法, 化学療法の内, 少なくとも二者の併用が好ましい。治療後は長期にわたる全身的な経過観察が必要である。
  • 二宮 竜太, 石井 正則, 森山 寛, 牛込 新一郎
    1997 年 40 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    頭蓋顔面骨を中心に骨硬化を起こし, 骨硬化と自然孔の狭窄による慢性副鼻腔炎を発生した症例で, 内耳道の狭小化と中耳内の骨硬化に起因する混合性難聴を起こした大理石病を経験した。伝音成分の難聴は, 手術所見により耳管の狭小化による滲出性中耳炎だけでなく, 耳小骨の硬化もあることが判明した。鼓室形成術はIII型変法で, 後壁を保存し, 鼓膜形成は側頭筋膜を用いてunderlay法とした。また, Tubalstenosisが著明で, 耳管機能が低下しているため換気チューブを留置した。術後の左耳の聴力は4分法で術前の67.5dBと比較して31.3dBに改善した。大理石病での手術症例, 耳小骨の硬化をみた症例の報告は我々の調べた範囲では見られず, 難聴のある症例では積極的に中耳腔を開放して病態を確認し, 手術的に処置を行うべきであると考えた。
  • 三尾 寧, 谷藤 泰正
    1997 年 40 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 尾尻 博也
    1997 年 40 巻 2 号 p. 217-219
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 中野 雄一
    1997 年 40 巻 2 号 p. 220-226
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    最初の中耳炎手術である乳様突起単削開術から現在の鼓室形成術までを振り返ってその基本的手術操作をみると, それは病変を除去する中で, 乳突蜂巣の削開と掻爬が行われている。その結果, 慢性中耳炎に対する中耳根治手術では, 術後外耳道に広く開く削開腔が残ることになった。すなわち蜂巣構造の破壊とそれに伴う形態異常である。そこでこの削開腔をどのように処理するかで鼓室形成術にもいくつかの術式が生まれた。そのひとつに外耳道後壁を保存し, 削開腔を直接外耳道に開放しないclosed法がある。しかし逆に鼓室腔に開く術後の疲痕性削開腔は, その腔圧の維持を経耳管換気に依存しなければならず, 耳管機能不全症例では鼓膜の内陥から真珠腫を形成するという新たな障害がみられるようになった。
    そこでヒトと同じ蜂巣構造を持つブタで行った実験と手術症例から蜂巣の意義, 特に含気腔の持つ意義, 必要性について研究をすすめたところ, 蜂巣粘膜が積極的にガス交換を行って中耳圧を維持している事実を知ることができた。
    したがって今後は, このような乳突蜂巣が持つ中耳ガス交換能を大切に, その保存を工夫しながら, その機能保持を第一に中耳炎手術を行うことの重要性について述べた。
  • 北村 正樹, 景山 茂
    1997 年 40 巻 2 号 p. 227-230
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 多施設参加によるオープン・スタディ
    遠藤 朝彦
    1997 年 40 巻 2 号 p. 231-245
    発行日: 1997/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    フマル酸エメダスチン (レミカット®カプセル, ダレン®カプセル) のアレルギー性鼻炎に対する長期投与による臨床的調査を全国の大学病院, 一般病院, 診療所を含む111施設で実施した。その結果, アレルギー性鼻炎患者の15.4%には, 抗アレルギー剤単剤での治療では最初から改善が困難な難治性の患者が含まれている可能性があること, 臨床現場においては, 患者の性格の把握を考慮し, 十分な薬剤の説明がなされた服薬指導が重要であることが示唆された。臨床成績は以下の結果が得られた。調査登録症例425例のうち, 安全性の解析対象は338例, 有効性の解析対象は169例であった。全般改善度は4週後66.7%, 最終全般改善度76.1%と高い有効性が認められた。アレルギー性の診断を実施しないA調査とアレルギー性の診断をしたB調査では, B調査の方が10%程有効率が高率であった。主たる副作用は「眠気」で, 10.1%に認められたが, 重篤な副作用は全くみられなかった。以上の結果から, 本剤は的確な診断のもとに用いるならば, 高い有効性が期待でき, 副作用発現に対しても対応が可能であり, アレルギー性鼻炎患者に対する一次選択剤として実用的と考えられた。
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