人工内耳装用後の聴取能とそれらに影響する様々な因子との関係について検索し考察した。またそれらの因子を用いて重回帰分析を行い術前の聴取能予測を行った。対象は人工内耳装用者のうち聴取能判定可能な63例で, 聴取能は術後3~6ヵ月間に行われた福田版ビデオ語音認知能検査の結果を用いた。この聴取能に寄与すると考えられる因子として, 手術時年齢, 性差, 手術側, 失聴原因, 難聴期間, 失聴期間, 使用電極数, 読話能, プロモントリーテストの結果, 性格検査の10項目を選択し考察した。これらのうち聴取能と有意の相関を認めるものは難聴期間, 失聴期間と性格検査の一部のみであった。手術時年齢, 性差, 手術側, 失聴原因, 使用電極数, 読話能, プロモントリーテスト等の各因子には明らかな相関はなかった。これらの因子による重回帰分析では術前の術後聴取能予測は困難であると推察された。
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