耳鼻咽喉科展望
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40 巻, Supplement3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐藤 良暢, 倉橋 寛, 辰巳 喜代美, 若松 浩美, 吉澤 英子, 岡崎 公哉, 原田 隆雄
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 171-176
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    Mometasone Furoate Nasal Spray (MF) およびFluticasone Propionate (FP) 両スプレー製剤の噴霧エアロゾル鼻腔内分布と, 液だれについて比較検討を行った。その結果, 両剤とも正常およびアレルギー腫脹モデルではほぼ同様な鼻腔内分布を示し, かつ1回噴霧後のろ紙への薬物総沈着量もほぼ同程度であったが, 鼻腔内分布において, 正常モデルではMFはやや前方に, FPではやや後方に分布がかたよる傾向にあった。また両者ともアレルギーモデルでは腫脹によって薬物の沈着が妨げられる部位があったが, 鼻アレルギーの主な浮腫病態部である鼻腔内前部には沈着分布することが確認された。なおMFでは, 鼻腔の状態や1回噴霧量に拘らず分布に再現性があり, 噴霧は定量的であることが示された。さらに, 両製剤とも姿勢変換 (goo) による鼻腔内分布の違いは認められず, 使用時に投与姿勢を変える必要はないものと考えられた。なお, 液だれ量はFPの方が常に高値を示した。
  • 石塚 洋一今, 今村 祐佳子, 寺島 邦男, 小山 悟
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 177-181
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    これまでの吸入剤とは, 剤型, 形態を異にした貼付型吸入剤SNP-1を, いびき症30例に使用し, その使用経験について報告した。本剤はユーカリ油, l-メントールをマイクロカプセル内に充填した, 丸い1.5cmの貼付剤で, 就寝前に指で押しつぶした後, 鼻橋に貼付し使用した。総合効果判定では, 著効2例, 有効7例, やや有効10例, 無効11例と有効率30%であった。全例に副作用は認められなかった
  • 臼井 信郎, 大越 俊夫, 湯浅 貴文, 吉野 由紀子
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 182-189
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    アストグラフによる鼻エアロゾル誘発試験は鼻粘膜に対して穏やかな刺激として作用することから, 鼻粘膜反応の本来の状態をみているものと思われる。しかしながら, 描記される量一反応曲線はメサコリンエアロゾルが下気道にも吸入されるため上気道と下気道の両方の影響を受けているものと思われ, 鼻粘膜反応のみを評価するには両者を分離する必要がある。われわれが行っている3通りの方法について検討した。その結果, 1) 引算法 (鼻呼吸抵抗一口呼吸抵抗) は本試験に対する感度が最も高かったが, 下気道の影響を完全には除去出来なかった。2) L&P法 (Lacourt&Polgerの計算式による値) は上気道と下気道を分離出来るが, 煩雑な計算を必要とする。本試験に対する感度も低かった。3) 標準法 (anterior rhinomanometry) は別に鼻腔通気度測定装置を必要とする。本試験に対する感度は良好で鼻粘膜反応のみを評価するには最も適していた。
  • 副現象を中心に
    鈴木 賢二, 馬場 駿吉
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 190-194
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    本邦耳鼻咽喉科臨床で広く用いられているネブライザー療法は, 疼痛なしに複数の洞に同時に薬液を到達させることができ, 安全かつ簡便で有用な治療法であると考えられるが, その長期使用による副現象については検討されていない。今回当科関連施設において鼻副鼻腔炎患者に経口抗菌剤投与なしで各種抗生剤の鼻ネブライザーを週3回8週間施行し, 鼻ネブライザー開始前および8週間後にそれぞれ菌検索を行い検出菌動態の検討を行い, 長期使用による菌の耐性化・菌交代等の副現象の有無につき検討した。
    週3回8週間のネブライザー療法では重篤な菌の耐性化・菌交代等は起こりにくいと考えられるが, 若干のMIC上昇, 耐性菌・真菌への菌交代等もみられるため, 抗生剤鼻ネブライザーを漫然と長期にわたり連用することは慎まなければならない。
  • 平田 したう, 立川 隆治, 福島 典之, 夜陣 紘治, 松島 隆浩, 熊谷 信二, 森田 栄伸
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 195-200
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    上気道感染症に対するネブライザー療法は広く行われている保存的療法の一つであるが, 室内環境や, 医療従事者への影響についての検討は極めて少ない。今回我々は, ネブライザー施行中のネブライザー粒子の飛散状況や換気扇の効果を検討した。医療従事者の血中ネブライザー薬液濃度は, 検出できなかったが, ネブライザー施行中にネブライザー粒子がかなり飛散するのが肉眼的に確認された。また密閉空間においてネブライザーを噴出させ, ネブライザー薬液を採取し測定したところ, ネブライザー装置と同じ高さの方が50cm上方よりも約10倍多く検出され, 換気扇を使用することにより約5分の1に減少した。さらに実際の外来診療室では, 換気扇を作動させなかった日にはネブライザー装置から7m離れた位置でもネブライザー薬液が検出され, ネブライザー装置の近くでは, 換気扇を使用してもあまり効果が得られなかった。今回の検討から, ネブライザーを施行する際換気扇を使用することは当然と考えられるが, 現状よりも強力なドラフト装置や, フードを低く設定する, あるいは複数の箇所に設置するなどの必要性が示唆された。
  • 松根 彰志, 佐藤 強志, 古田 茂, 大山 勝, 野井倉 武憲
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 201-205
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎におけるエアロゾル療法におけるエアロゾル粒子の副鼻腔への到達を保存的に改善するために, RI粒子の吸入による上顎洞への移行をカウントする方法で検討したところ, 鼻アレルギーの合併例では, 温熱エアロゾルを先行して行うことは有効であった。また, 鼻アレルギーの非合併例では, 鼻処置, ボスミンガーゼの中鼻道への留置, 吸入中の嚥下運動の指導などが有効であった。中鼻道に鼻茸などが存在する場合は, 外科的にこれを切除する必要がある。エアロゾル療法を効果的に行うためには, 耳鼻咽喉科専門医による適応の判断, 専門的処置が必要である。
  • エリスロマイシンネブライザー療法の試用
    春名 眞一, 小澤 仁, 春名 裕恵, 並木 徳之, 松脇 由典, 吉見 充徳, 森山 寛
    1997 年 40 巻 Supplement3 号 p. 206-211
    発行日: 1997/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生物質 (エリスロマイシン) を含んだネブライザー療法を, 内視鏡下鼻内手術後の術後治療として試みた。エリスロマイシンネブライザー施行後, 充分な副鼻腔粘膜中濃度に達し, かつその薬液は血液中からは全く検出されず, 有効な局所療法であると考えられた。また術後3~6ヶ月の観察期間においてエリスロマイシンネブライザー単独治療群16例32側とマクロライド系抗生物質RMX150~300mg/dayの少量長期の内服単独治療群16例32側との間で, 洞内の病的粘膜の改善効果について比較検討した。その結果, 両群ともに同等な前鼻内視鏡所見, 自覚症状の改善効果が示され, 組織学的にもエリスロマイシンネブライザー単独群で呼吸粘膜上皮の良好な改善が観察された。以上より, エリスロマイシンネブライザー療法は長期間施行後の細菌叢の変遷から菌交代化の可能性が危惧されるが, 鼻内手術後の局所治療として有用であると考えられた。
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