耳鼻咽喉科展望
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41 巻, Supplement1 号
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  • 間宮 淑子, 近藤 由香, 高須 昭彦, 岩田 重信, 小森 真由美
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 3-7
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎におけるエアロゾル療法は一般的な治療法であり, 副鼻腔内にエアロゾル粒子が到達することが必須であるが, 鼻腔・副鼻腔間の換気については不明な点が多い。そこで, 鼻腔・上顎洞モデルを作成し鼻腔内にピストンにより脈動流を発生させ, 圧及び濃度変化を測定し, 鼻腔・上顎洞間の換気について検討した。ピストンの回転数が増加するにつれて上顎洞内の圧変動は増大した。また, 上顎洞内流体の濃度変化から流体力学的手法を用いて上顎洞内容の交換率及び自然孔内の流速を求めた。鼻腔内の流速が増加するほど上顎洞内容の交換率及び自然孔内流速は増大した。
    ヒト安静呼吸時の鼻腔及び上顎洞内の圧測定を行い, 自然孔を大きく開存させ, 対孔を造設すると上顎洞内の圧変動は最も増大した。鼻腔内流速を増し, 鼻腔・副鼻腔の交通を大きくつけた時に最もエアロゾルの効果が得られるものと考えられた。
  • 高野 頌, 金村 行倫, 仁科 修治, 伊藤 正行, 兵 昇
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 8-12
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    喉頭部位への薬剤粒子沈着は声帯の開閉度や呼吸パターンなどに依存することが知られている。これらの因子に加えて, 喉頭蓋の高さをも考慮した喉頭モデルを用いて, 喉頭部位をターゲットとするエアロゾル吸入療法の最適条件を検討した。喉頭領域での粒子沈着率の数値解析結果から, 浅い呼吸の場合, 粒子沈着は声門開口角に強く依存した。すなわち, 声門開口角がわずかに開口しているときに粒子沈着率は著しく増大し, 粒径が8~10μm付近で極大値を示した。逆に, 声門開口角が大きいほど粒子沈着率は減少し, 下気道への粒子輸送が増加した。また, 喉頭蓋における粒子沈着率はその高さによつてわずかに変化した。これらの数値解析結果は単分散カーボン粒子を用いた実験結果とも定性的に同一の傾向を示し, したがって喉頭モデルにより局所粒子沈着率の評価ができることを確認した。
  • 佐藤 良暢
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 13-16
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    鼻用スプレー薬中噴射剤封入のものはCFCs (フロン) 等による環境汚染上の問題で次第にそれに替わる噴射剤非封入の手動スプレー薬が開発されてきている。しかしそれらが定量噴霧薬 (MDI) であるのか, その噴霧エアロゾルが鼻腔内に適正に分布するのかなどの有用性は, 噴射条件の異なるスプレー薬ごとに実証する必要がある。そこで一市販手動ジェットMDI点鼻液Ketotifen fumarate (KF) を今回のサンプルとし, 噴霧エアロゾルの (1) 粒径分布, (2) 鼻腔内分布, および (3) 鼻腔内捕集率を測定したので, その結果につき報告した。 (1) は受止法による測定の結果, 平均粒径35.1μmの対数正規分布を示した。さらに, 模型鼻腔による (2), (3) の実験結果から, 上記有用性につき検証した。
  • 大越 俊夫, 臼井 信郎
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 17-21
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    抗生物質をネブライザーにて投与する場合, ジェットネブライザーでも超音波ネブライザーでも経時的に薬剤の濃縮がおこることを本学会において種々の薬剤で報告してきた。今回は3%耳科用ホスミシンSと1%ベストロン耳鼻科用液について検討したので報告する。ネブライザーはジェットネブライザーと超音波ネブライザーをもちいて行った。ネブライザー液の濃度の測定は吸入開始前および15分毎に行った。
    その結果, 耳科用ホスミシンS, ベストロン耳鼻科用液の両液ともジェットネブライザーおよび超音波ネブライザーによる薬液濃度の上昇が認められた。
  • 鵜飼 幸太郎, 竹内 万彦, 増田 佐和子, 大川 親久, 平田 典子, 坂倉 康夫, 貝瀬 俊彦, 川口 信也, 金 春順
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 22-26
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    ハートレイ系モルモットを用い, 非感作, あるいはDNP-Asによる感作を行い, ヒスタミンに対する鼻粘膜の透過性に関する検討をhorseradish peroxidase反応物質の透過型電子顕微鏡的所見から次のような結果が得られた。
    1) 非感作モルモット鼻粘膜の透過性は, ヒスタミンにより濃度依存的に増強した。2) 鼻アレルギーモルモットに抗原誘発を行うと, 鼻粘膜透過性の充進がみられ, これらの反応は, ヒスタミンにより増強された。
    3) DNP-As (分子量18,000) は, 非感作モルモット鼻粘膜上皮を通過し, これはヒスタミンにより増強された。
    4) Ovalbumin (分子量45,000) は, 抗原誘発後にヒスタミンを投与すると, 鼻アレルギーモルモットの鼻粘膜上皮を通過した。
    以上の結果より, ヒスタミンは上皮細胞間のtight junctionに働き何らかのメカニズムにより, 透過性充進に関与しているものと考えられた。
  • 酒井 正喜, 森 淳, 岸本 厚, 西村 忠郎, 川勝 健司, 木村 重雄, 金丸 ユミ子
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 27-30
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    薬液内蔵型ネブライザーの汚染対策について検討した。未対策のユニットではエアロゾルからブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌が検出された。これらの汚染の原因は供給エアーの汚染にあると考えられ, エアーフィルターを設置した。エアーフィルター装着後にはエアロゾルから細菌は検出されず, エアーフィルターはネブライザーの汚染対策に有効であり, エアーフィルターを設置すればネブライザーは安全に施行できると考えられた。
  • 小宮 卓, 小山 悟, 石塚 洋一
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 31-36
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    塩酸セブメノキシム (CMX) が1996年9月よりネブライザー療法で使用できるようになり, 最近の現状について抗菌剤の使用状況, 選択基準, 及びネブライザーの使用条件 (1回の時間, 開始年齢, 継続期間, 使用薬剤組合せ, 施行前の検査・処置, 使用器具) についてアンケート調査を行った。アンケートの対象は帝京大学溝口病院周辺に勤務または開業している耳鼻咽喉科医を中心に, 全国の耳鼻咽喉科医199名に行った。アンケート回答総数は142名 (個人開業88名, 病院勤務32名, 診療所12名) で回答率は71.4%であった。ネブライザーの使用条件については, 1989年に行ったアンケート調査とほぼ同様の結果が得られた。1989年は使用抗生剤の中でアミノグリコシドが57.3%と1位であったが, 塩酸セブメノキシム (CMX) が認可されたことにより, 今回は塩酸セブメノキシム (CMX) が43.9%と1位となり, その他にホスホマイシン, ニューキノロン等従来使用されていなかった薬剤が使われていた。
  • 岡本 健
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 37-42
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 八木沢 幹夫
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 43-44
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    エアロゾル療法の歴史は, ベルヌーイの原理を応用した, 蒸気吸入, ジェット式ネブライザーの基となる装置が, ベルグソンにより発表された頃が近代化のはじまりである。その後, 欧米では種々の噴霧装置が開発された。我が国では, 本格的エアロゾル療法は1949年西端らの「鼻炎及び副鼻腔炎の化学療法の研究」の発表が最初と考えられ, その後我が国で盛んに利用されている現状を報告した。
  • 間島 雄一
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 45-49
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    吸入された粒子の気道への沈着は, 粒子の物理学的性質によるばかりでなく気道各部位の気流の状態などによっても決定される。空気力学的直径 (ADD) が5μm以上の粒子の沈着は慣性衝突により生ずる。慣性衝突によるエアロゾルの沈着はStokes数により決定される。
    ADDが8μm以上のエアロゾル粒子の大部分は, とくに最も前方のいわゆる “nasal valve” の部位に沈着する。この部位は鼻軟骨で形成 (構築) されており, この部位の断面積は鼻腔の中で最も小さい。エアロゾル発生装置の鼻アダプターをnasal valve内に挿入することは鼻甲介や鼻道にエアロゾルの沈着を増加させることができるものと考えられる。
    副鼻腔へのエアロゾルの沈着は圧勾配を鼻腔と副鼻腔の間に生じさせた場合にのみ生じる。大きな圧勾配とはValsalva法, Toynbee法, Polizer法をエアロゾル発生装置により生じた空気圧と合わせて施行することにより得ることができる。ADDが1~10μmの粒子は副鼻腔に沈着することが可能である。
  • 器具と薬剤を中心に
    石塚 洋一
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 50-58
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎のネブライザー療法について, 器具と薬剤を中心に, 治療の現状と将来について検討した。1996年9月より, 塩酸セフメノキシム (CMX) が, 副鼻腔炎に対し, ネブライザー療法の用法を取得した製剤として臨床応用が可能になった。現在, ホスホマイシン (FOM) についてもネブライザー療法の適応が申請されており, ロメフロキサシン (LFLX) は臨床治験が行われている。今後はこうした適応をもった抗菌剤の使用がネブライザー療法の中心になっていくものと考えられる。超音波ネブライザーは, アンケート調査では34.9%の耳鼻科医が使用しているが, 現在はジェット型でも小さい粒径の発生するネブライザーが開発されてきており, 器具に関する検討は今後さらに継続していく必要がある。
  • 米倉 英明
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 59-67
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    ネブライザー療法はこれまで基礎面, 臨床面で広く議論, 検討がなされ, 現在耳鼻咽喉科疾患の治療として普及し, 定着している処置法である。
    今回一実地医家の立場から, アンケート調査を含めネブライザー治療施行によるいくつかの問題点について考察を加えてみた。
    (1) 診療報酬における問題点, (2) 安全性と実施上の留意点, (3) 少子化, 高齢化, 疾病構造の変化に伴う対応, (4) 近未来の経気道療法など, 実地医家の立場での環境アセスメントへの配慮と質のよい医療の提供はどうあるべきかについていくつかの知見を得た。
  • 小田 恂, 長舩 宏隆, 内藤 丈士, 高橋 博文, 寺山 善博, 米本 正明
    1998 年 41 巻 Supplement1 号 p. 68-72
    発行日: 1998/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    保険診療上のネブライザー療法について, 保険適用となった時代から現在に至るまでの紆余曲折について述べた。ネブライザー療法は耳鼻咽喉科診療の中でも非常に多くの医師によって行われている診療行為であり, 耳鼻咽喉科専門処置の代表的なものと考えられている。将来, さらに厳密な意味での専門的医療とするためには, 耳鼻咽喉科専門医でなければ行い得ないような技術度の高い処置内容にすべきであると具体的な提言を行った。
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