金沢医科大学病院耳鼻咽喉科においての外来, 及び入院患都からの各種検体より分離された細菌の検出率, 特にMRSAにおいて黄色ブドウ球菌との比較, 薬剤感受性について10年前と比べることによりその変遷を検討した。
1989年から1991年と, 1995年から1999年との比較から耳鼻咽喉科疾患におけるMRSAの検出率は1989年から1991年が3,310株中96株 (2.9%), 1995年から1999年が5,837株中391株 (6.7%) であり, ここ5年間では増加していた。中でも耳漏中のMRSAの検出率は39%であった。MRSAの検体別の年度別検出数では, 耳漏では増加しており, 鼻においては変化はみられず, 咽頭・扁桃においては減少傾向であった。
耳漏, 鼻, 咽頭・扁桃の黄色ブドウ球菌とMRSAの検出比率においは1989年から1991年までと比較すると1995年から1999年の5年間はMRSAは優位に増加していた。
MRSAにおける薬剤感受性を調べた結果, 1995年から1999年の5年間ではMINO, NFLX, IPM/CS, CMZで感受性は低下していた。VCM, ABKについてはやはり高い感受性を示しており, MRSA感染症の治療戦略としては今なお第一選択の薬剤であった。
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