ネブライザー専用の薬剤である塩酸セフメノキシムを試験薬剤として, ネブライザー療法における薬剤安定性および噴霧特性について比較検討した。塩酸セフメノキシムは超音波式ネブライザーにより, 約93%の薬剤噴霧率を示し, フィルターや薬液槽, 振動子にわずかに付着残存するのみであった。一方, コンプレッサーネブライザーでは超音波ネブライザーに比べ, 薬液槽への薬物残存量が多く, 薬剤噴霧率が低下した。また, 噴霧薬剤の粒子径は, 超音波ネブライザーではコンプレツサーネブライザーに比べ, より均一で微細であることが明らかとなった。塩酸セフメノキシムは超音波ネブライザーに対して安定であり, 治療上有効な薬剤であることが示唆された。総じて, 塩酸セフメノキシムを用いたネブライザー療法は大変有用であり, 薬剤安定性を保持し, 利便性が向上した超音波ネブライザーの登場と相侯って, 多くの患者に福音をもたらすことを強調したい。
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