今回我々は, 喉頭腫瘍を疑った喉頭アミロイドーシスの1例を経験したので報告する。症例は53歳女性である。平成12年12月に嗅声が出現し, 次第に増悪傾向にあるため平成13年7月24日当科を紹介され受診した。初診時右声帯前連合から前1/2にかけて茶褐色の腫瘤性病変を認めた。聴覚印象は, G (2) R (1) B (2) A (1) S (0), 発声持続時間は8秒であった。血液検査, 尿検査, 心電図, 胸部単純X線写真に異常はなかった。
MRIで右声帯レベルに造影効果のない腫瘤性病変を認めた。平成13年10月9日全身麻酔下に生検目的でラリンゴマイクロサージェリーを行った。病理組織学検査では, HE染色では粘膜上皮下にエオジン好染性, 無構造の硝子様物質の沈着を認めた。Congored染色では赤榿色の染色と, 偏光顕微鏡で緑色偏光を認め, アミロイドーシスと診断した。アミロイドは粘膜下組織に蓄積するが, 肉眼所見でポリープ状の上皮性隆起性病変様を呈することがあり, 喉頭疾患の鑑別で, 念頭に置く必要がある。
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