今回我々は, 閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断され口蓋垂口蓋咽頭形成術 (UPPP) を施行した症例を, 無呼吸低呼吸指数 (AHI) を用いて治療効果を判定するとともに著効群と非著効群に分類し, 口蓋垂口蓋咽頭形成術の効果に影響を及ぼす要因について比較検討したので報告する。
対象は2001年1月から2003年3月までに, 終夜polysomnography (終夜PSG) にて閉塞性睡眠時無呼吸症候群と診断され, UPPPを施行しかつ術後終夜polysomnography検査を施行できた症例26例である。結果は著効例 (無呼吸低呼吸数の改善率が50%以上かつ術後無呼吸低呼吸数が10回/時未満) が11例 (42.3%), 非著効例 (無呼吸低呼吸数の改善率が50%未満または術後無呼吸低呼吸数が10回/時以上) が15例 (57.7%) であった。著効例は非著効例に比べ, セファロメトリー解析において頭蓋底に対する下顎の後退を示すfacial axisが有意に大きく (下顎がより前方に位置する), 年齢が有意に低かった。また, 任意にカットオフ値としてfacial axis84°かつ年齢42歳として治療効果を予想した場合, 著効, 非著効の的中精度が80.8%と最も高かった。したがって我々の施設において口蓋垂口蓋咽頭形成術は, facial axisが84°以上かつ年齢が42歳以下の症例に対して有効性が高いと考えられた。睡眠時無呼吸症候群の重症度に影響を及ぼす要因は様々であり, 総合的に診断, 治療を行う必要があると考える。
抄録全体を表示