声門下狭窄は, 感染症, 外傷, 長期にわたる気管内挿管や気管切開術後の合併症のほかにウェゲナー肉芽腫症など様々な全身疾患に続発する一病態であるが, 症例ごとに原因と局所の狭窄状態が異なるため治療法は多彩である。今回, 声門下狭窄を来たした急性感染症, ウェゲナー肉芽腫症, 気管切開術後, 甲状腺腫瘍の気管内浸潤, 特発性症例について症例を呈示し, 診断, 病態および治療法に関して文献的考察を加えて報告した。診断では, 詳細な病歴と臨床経過を確認するとともに内視鏡検査や各種画像検査を用いて, 狭窄の部位, 長さ, 内径のほか, 気管軟骨の変化や周囲組織との関係等の局所病変を正確に評価することが重要である。治療では, 原因疾患の治療のみで軽快するものもあるが, 多くの症例では外科的治療が必要となる。その際, 肉芽などを切除し狭窄部位を拡大することと再び狭窄を来たさないよう口径を確保しながら内腔を上皮で被覆することが必要である.
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