耳鼻咽喉科展望
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51 巻, 3 号
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カラーアトラス
臨床
  • 伊藤 博之, 吉田 知之, 清水 顕, 高田 大輔, 鈴木 衞
    2008 年 51 巻 3 号 p. 134-139
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    上咽頭癌に対して一次治療として放射線治療を行った後に局所再発した10例に対し, 定位放射線治療 (stereotactic radiotherapy) により再照射を行った。その効果, 経過, 予後, 合併症, 有害事象を検討し, 報告する。一次治療時のT分類はT1—2例, T2—5例, T3—2例, T4—1例であった。一次治療から再発までの期間は4ヵ月から33ヵ月 (中央値11ヵ月) であった。再発時のrT分類はrT1—3例rT2a—4例, rT2b—2例, rT3—1例であった。照射方法は1回線量3~7Gyとし, 照射回数は5~10回とした。再照射量は総計30~42Gy, 中央値は36Gyであった。奏効率は100%であり, 1年局所制御率は70%であった。治療に関係したgrade 4以上の重篤な合併症はみられなかった。
  • 山本 耕司, 加藤 孝邦, 鴻 信義, 吉村 剛
    2008 年 51 巻 3 号 p. 140-144
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    歯原性粘液腫は歯原性腫瘍の中において比較的稀な腫瘍である。今回我々は上顎に発生した歯原性粘液腫の1症例を経験したので報告する。症例は15歳の男性。主訴は右鼻閉と右頬部腫脹であり, 近医耳鼻咽喉科を受診したところ右上顎腫瘍を疑われ当院紹介受診となった。CT, MRIでは右上顎洞を中心に約6cmの分葉状輪郭を呈する腫瘤と埋没歯牙を認め, 歯原性腫瘍を疑った。腫瘍の発育状況よりその全摘出は困難であると考え, 診断を含めてナビゲーション併用下での内視鏡下鼻内手術にて腫瘍減量術を行った。術後病理検査で歯原性粘液腫と診断された。若年発症であり今後外来で十分な経過観察が必要と思われる。
  • 内田 淳, 洲崎 春海
    2008 年 51 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    甲状腺に発生する腫瘍の中で肉腫の頻度は少なく, 血管内皮腫・骨肉腫・線維肉腫・悪性線維性組織球症などが比較的多く報告されているが, 平滑筋肉腫はきわめて稀である。今回, 我々は甲状腺平滑筋肉腫の症例を経験した。症例は65歳女性, 当院内科にて1995年より右腺腫様甲状腺腫にて経過観察中にあったが, 2003年8月上旬頃より右前頸部腫瘤の増大が見られ, 同年9月当科を初診した。初診時に呼吸苦と右反回神経麻痺が見られ緊急入院となった。入院後, 全身麻酔下にて気管切開術と腫瘍生検を行った。臨床的な経過から甲状腺未分化癌と考えられたが免疫染色などにて甲状腺平滑筋肉腫の診断を得た。シクロホスファミド, ビンクリスチン, ドキソルビシン, ダカルバジン (CYVADIC療法) を1クール, CDDP+5FUの投与を1クール行ったが効果は見られず腫瘍はしだいに増大し, 2004年4月に死亡した。以前より4cmを超える腺腫様甲状腺腫があり, 良性と診断されていても早期での手術の考慮も必要であると考えた。
解説
  • —その適応と処方と適合評価—
    中川 雅文, 杉田 玄
    2008 年 51 巻 3 号 p. 150-162
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    デジタル信号処理 (Digital signal processing, DSP) 技術に助けられ補聴器は飛躍的に進歩し, 現在も革新的な変化を続けている。軽度難聴者への福音となったオープンフィッティングは, 従来解決が難しかった耳閉塞感などの愁訴がほとんどないなどの理由から適応が拡大される傾向にある。しかし, その特性に関する理解不足から来る不適切な処方やオープン対応式補聴器との混同などの問題も散見するようになっている。軽度難聴者へのオープンフィッティング式補聴器の適応と限界, 処方における具体的な指示事項の在り方, 装用後の適合評価の工夫など補聴器というハードウエアを軸とした補聴器フィッティングのあり方について記す。補聴器相談医として実務に就いている医師がこれらの最新の知見や知識を補足し実際の補聴器診療に役立ててもらえれば幸いである。
境界領域
  • 玉置 尚司
    2008 年 51 巻 3 号 p. 163-168
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/10/15
    ジャーナル フリー
    ムンプスはパラミクソウィルス科に属するムンプスウィルスによって引き起こされる小児に好発する全身性急性感染症である。唾液腺の両側性の疼痛, 腫脹が主症状で, 小児では軽症に経過する疾患であるが, 年齢が高くなるほど症状が強く出やすい。中枢神経に親和性のあるウィルスで, 無菌性髄膜炎を伴いやすいが, 脳炎に陥り後遺症を残すような例は稀である。数パーセントの割合で一過性の難聴を来すといわれている。しかし, 重要なのは片側性の非可逆性の高度感音性難聴を残すことで, 従来考えられていたよりその頻度は高く, 3,500例に1例の割合で起こると推計されている。本来ワクチンで予防可能な疾患であるが, わが国では1990年前後にMMRワクチンの副反応による無菌性髄膜炎が頻発したという不幸な歴史があるため, ムンプスワクチンの接種率は低くその流行を阻止できていない。今後, より積極的な接種による集団免疫率の向上が望まれる。
画像診断
薬剤の特徴と注意点
学会関係 【第9回 好酸球と鼻茸の成因に関する研究会】
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