耳鼻咽喉科展望
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51 巻 , Supplement 号
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第31回 日本医用エアロゾル研究会
  • 西澤 芳男, 西澤 恭子, 吉岡 二三, 谷垣 由美子, 村嶋 照子, 永野 富美代, 山田 まゆみ, 安田 理絵, 川田 陽子, 平田 弥 ...
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s3-s10
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    今日, 吸入ステロイド薬が各国喘息ガイドラインで治療薬とされている。吸入ステロイド薬併用下, 長時間型β2受容体刺激薬のツロブテロール貼布薬とサルメテロール吸入療法のいずれが気管支喘息症状改善, 呼吸機能改善, 気道炎症改善, 医療経済上有効かを2年間前向き無作為抽出オープン比較で検討した。インフォームドコンセントを得, 520例を無作為2群化し, 一方にツロブテロール貼布薬 (n=260) 就寝前2mg貼布, 他方にサルメテロール (n=260) 朝夕吸入療法を施行した。喘息自他覚症状, 呼吸機能, 気道炎症, 気道改築, 医療費, 副作用, 臨床検査異常値, 慢性難治性疾患の苦痛即ち慢性疼痛, 健康関連生活の質改善, 使用薬剤量減少度など有用度患者評価で判定した。背景因子に有意差はなく, ツロブテロール貼布薬群は, サルメテロール群に比較して喘息自他覚症状, 呼吸機能, 気道炎症, 気道改築, 医療費, 副作用, 臨床検査異常値が有意に少なく, 各種有用度患者評価で優れていた。従来の研究では両者間で健康関連生活の質以外の有意差はなしと考えられていたが, これは3ヵ月という短期間検討のためであることがわかった。
  • —振動・加圧ネブライザーの有効性—
    鳴戸 理佐, 藤澤 利行, 中島 真幸, 鈴木 賢二
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s11-s14
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎の治療方法の一つとしてエアロゾル吸入療法がある。使用される吸入器はジェット式加圧ネブライザーや超音波ネブライザーであるが, 今回我々は加圧ネブライザーに振動を付加したPARI社製ダブルコンプレッサー式ネブライザーの効果 (上顎洞内へのエアロゾルの移行) につき検討した。ヒト副鼻腔モデルを用いた基礎的研究と副鼻腔炎に対するCaldwell Luc手術時における臨床的研究とを行った。薬剤は塩酸セフメノキシム (CMX) を用いた。ヒト副鼻腔モデルでは種々の吸入条件下で行った。吸入前に上顎洞内にペーパーディスクを留置し吸入後, 上顎洞内のペーパーディスクを取り出し, バイオアッセイ法にて測定を行った。副鼻腔モデルにおいて軟口蓋は非閉鎖時より閉鎖した方が高濃度の薬剤の移行がみられた。また加圧条件に比べ加圧+振動条件でより高濃度の薬剤の移行がみられた。ヒト副鼻腔においても有効な薬物濃度移行がみられた。
  • 勝見 直樹, 菅野 澄雄, 石塚 洋一
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s15-s21
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎に対するネブライザー療法をより効果的に行うために, 発生したエアロゾル粒子を作用期待部位に無駄なく沈着せしめることが重要である。現在用いられているネブライザー機器は, ジェット型・超音波型ともに, 自然呼吸時の吸気のみに吸入する装置である。副鼻腔のように狭い自然口だけの交通路しかもたない閉鎖腔に対するネブライザー療法は, 他の気道へのネブライザー療法に比較し, 十分な沈着量が期待できない。今回私共は, 新しい加圧・振動ネブライザー (パリ・ジーヌス) を使う機会を得たので, その特徴および使用経験について, ネブライザー施行患者のアンケート結果を加えて報告する。
  • 持木 茂樹, 大木 幹文, 山口 宗太, 大久保 はるか, 石井 祥子, 櫻井 秀一郎, 真鍋 美智子, 大越 俊夫
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s22-s28
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    2006年, 我々は超音波ネブライザーを用いた鼻副鼻腔ネブライザー療法で逆流防止弁の有効性につき報告した。今回, 耳鼻咽喉科開業医院で診療開始前と1日の診療終了後の超音波ネブライザー薬液槽の細菌培養検査を行い, 複数患者が使用した後の薬液槽に細菌汚染がおこるかどうかを実験した。検査第1期では, 一部に診療終了後の薬液槽に細菌が同定されたものの, 診療開始前の検体からは細菌が同定されなかった。第1期の実験終了から1週間程検査を行わず, 器具を流し台に放置していたが, 検査第2期の実験で, 長期に湿潤環境に置かれた器具からは, 診療開始前の検体で既にNon-fermenting gram-negative rodが同定され, 器具の消毒法の改善が必要と思われた。具体的には, スポンジやブラシを用いたバイオフィルムの機械的除去と十分な乾燥である。消毒法の改善策を講じた検査第3期からは, 1日の診療終了後の検体からは細菌検出を認めていない。
  • 竹内 万彦, 鈴木 慎也, 間島 雄一, 岡山 吉道
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s29-s31
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    Amphiregulinとはポリペプチドで成長因子のひとつである。気管支粘膜中のamphiregulin陽性細胞数は喘息患者で増加していることから, I型アレルギーの代表的疾患で, 肥満細胞がその症状発症に重要な役割を演ずるスギ花粉症でもamphiregulinが増加しているのではないかと考え, スギ花粉症患者の鼻汁中のamphiregulinを測定した。対象は10例のスギ花粉症患者および10例の健常者とした。年齢, 性ともに両群に有意差はみられなかった。2006年のスギ花粉飛散期に鼻汁を採取し, amphiregulin濃度とヒスタミンをELISAキットを用いて測定した。花粉症患者の鼻汁中amphiregulin濃度の中央値は317pg/mlであった。一方健常者の鼻汁中のamphiregulin濃度の中央値は55pg/mlであった。両者の間には統計学的な有意差はみられなかった。同じ鼻汁の検体を用いてヒスタミン濃度を測定すると, 花粉症患者では健常者と比べて有意に高い濃度を示した。また, 両者を合わせた20検体についてヒスタミン濃度とamphiregulin濃度との間の相関関係を調べると, 有意な正の相関がみられた。
  • —鼻粘膜を介した新たな治療戦略にむけて—
    郷 充, 小島 隆, 亀倉 隆太, 小笠原 徳子, 小泉 純一, 黒瀬 誠, 高野 賢一, 澤田 典均, 氷見 徹夫
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s32-s38
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    近年, 粘膜上皮の自然免疫の一つとして, バリア機能を有するタイト結合形成の関与が注目されている。我々はこれまで, ヒト鼻粘膜上皮においても発達したタイト結合による上皮バリアが存在し, 一部のアレルギー性鼻炎においては, 抗原提示細胞である樹状細胞が上皮と同様のタイト結合分子を発現し, 鼻腔内の抗原を感知すべく樹状突起を伸ばしている特殊な機構があることを示した。さらに安定した培養が可能であるテロメラーゼ遺伝子導入ヒト鼻粘膜上皮細胞を用いて, 炎症に関与がみられる増殖因子, サイトカインおよびTLRリガンドを処置し, タイト結合蛋白の発現およびバリア機能の変化について検索した。これらの結果は, タイト結合によるバリアを選択的あるいは効果的に制御することにより, 鼻粘膜を介した新しい薬物送達の可能性があることを示している。
  • 福岩 達哉, 藤橋 浩太郎, 黒野 祐一
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s39-s42
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    粘膜免疫ワクチンは全身性免疫及び局所粘膜の両者を賦活できることから, 急性中耳炎に代表される上気道感染症予防ワクチンとして大きく期待されている。粘膜免疫ワクチンは抗原と粘膜アジュバントと呼ばれる免疫賦活物質からなり, アジュバントがなければ免疫応答を誘導できない。既知の有効な粘膜アジュバントであるコレラトキシン (CT) は, その毒性のため臨床応用が困難であり, 安全かつ有効な粘膜アジュバントの開発が急務となっている。我々は, 樹状細胞 (DC) を標的とした新しい複合DNAアジュバントの研究・開発を行っている。このアジュバントはマウスにおいて有効な粘膜及び全身免疫応答を誘導したが, さらにその免疫応答を長期間持続させることが明らかとなった。このことから複合DNAアジュバントは長期持続型経鼻ワクチンの開発を大きく前進させるものと考えられる。
  • 青井 典明, 吉開 泰信, 川内 秀之
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s43-s47
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎の鼻粘膜において, T細胞はTh2細胞に優位に分化しており, Th1細胞とTh2細胞にアンバランスが生じていると考えられている。サイトカインの制御によりこのTh2優位の環境を是正するものがサイトカイン療法であるが, 現在までヒトにおいて鼻アレルギーのサイトカイン療法の報告は皆無である。これまでマウスを用いた検討では, サイトカインの鼻粘膜への直接投与, ベクターやプラスミドを用いた遺伝子導入療法, アンチセンス・ヌクレオチド療法がある。鼻粘膜は腸管に比べ薬剤の吸収が良く, pHや酵素によるバリアーも弱く, また肝初回通過による薬剤の代謝を受けないなど, Drug delivery systemを考える上で大変有用である。しかしながら鼻粘膜上皮はタイトジャンクションと呼ばれる密接結合により, 物質の透過性が制限されている。上記のサイトカイン療法の有用性, 問題点について, 鼻粘膜透過性を含め報告する。
  • 長門 利純, 原渕 保明
    2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s48-s52
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/11/19
    ジャーナル フリー
    従来, アレルギー性鼻炎に対する免疫療法の抗原投与は皮下注射で行われてきたが, 長期通院や注射による痛みなどの欠点があり, 新たな投与経路として鼻粘膜や口腔粘膜が注目されている。鼻粘膜を介した免疫療法は, 花粉症患者を対象とした二重盲検試験が行われ, 鼻症状とmedication scoreの有意な改善が得られたとの報告もある。また, 投与する抗原の改良も行われており, そのひとつにペプチドが挙げられる。抗原タンパクからT細胞が認識するアミノ酸配列 (エピトープペプチド) を選び, それらを使用することで副作用を軽減できる。さらにpromiscuousなエピトープを見つけることで, HLAの多様性を克服することができる。このように, アレルギー性鼻炎に対する免疫療法の将来を考える上で, 新しい投与経路の検討と抗原の改良は不可欠であり, 鼻粘膜を介したペプチド免疫療法は新たな治療戦略のひとつとなる可能性を秘めている。
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