耳鼻咽喉科展望
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52 巻 , 4 号
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カラーアトラス
綜説
  • 山下 裕司, 御厨 剛史
    2009 年 52 巻 4 号 p. 198-204
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/15
    ジャーナル フリー
    熱ショック応答 (heat shock response: HSR) とはあらゆる生物がもつ根幹的なストレス応答で, 様々な障害に対し保護効果を持つ。内耳にも熱ショック転写因子 (heat shock transcription factor1: HSF1), 熱ショック蛋白質 (heat shock proteins: HSPs) が存在し, 重要な役割をもつ。音響障害でHSRは惹起されるが, HSR誘導剤をモルモットへ投与すると蝸牛熱HSF1の活性化, HSPsの誘導がおきる。反復投与でその効果は増強され, 音響障害モデルへの予防投与で, ABR閾値上昇と外有毛細胞の欠損を強力に抑制する。HSRの音響障害に対する保護のメカニズムには主に, (1)シャペロン機能, (2)抗アポトーシス効果, (3)抗酸化作用, (4)細胞自体の強化, (5)抗炎症作用の制御が考えられる。老人性難聴モデル加齢内耳ではHSPsが低下し, 薬剤でHSPsの発現を維持するとABR閾値上昇と有毛細胞欠損を軽減する。加齢時に音響負荷を加えると, 若年時にみられるHSRが減弱する。内耳加齢ではHSRが減弱し, 加齢, 外界からのストレスに易受傷性であると考えられる。
    本稿ではHSRの音響障害と加齢性内耳障害への保護効果の機序を考察し, HSR誘導剤の臨床応用への可能性を述べたい。
臨床
  • —眼窩骨膜と上顎洞粘膜の損傷状態とその発生機序—
    柳 清, 吉田 拓人, 森 恵莉, 小林 俊樹
    2009 年 52 巻 4 号 p. 205-211
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/15
    ジャーナル フリー
    眼窩下壁骨折の病態は骨折片の状態による分類が一般的である。すなわち骨折片が変位していない線状型骨折, 骨折片の片側が離開する扇型骨折, そして骨折片が完全に遊離する打ち抜き型骨折である。一方眼窩下壁骨折に対する手術は内視鏡下に行うことで, 手術操作も以前より繊細な操作が可能となってきた。すなわち手術においては骨折片の状態ばかりでなく, 眼窩骨膜や上顎洞粘膜の状態を把握して処置をすることが重要となる。それは上顎洞粘膜と眼窩骨膜の損傷状態により, 手術の手順や難易度が変わってくるからである。
    今回の検討症例29例中, 扇型骨折は19例, 打ち抜き型骨折は7例, 線状型骨折は3例であった。これら骨折の状態と眼窩骨膜, 上顎洞粘膜の損傷有無を調べたところ, 線状型骨折の3例全例で眼窩骨膜, 上顎洞粘膜とも破れ, 骨折の亀裂から眼窩内脂肪が嵌頓していた。一方扇型骨折, 打ち抜き型骨折ではほとんどの症例で眼窩骨膜, 上顎洞粘膜の損傷は見られなかった。眼窩下壁骨折の手術の際にはこれらの状態を念頭に入れ, 操作をすることで手術成績は向上すると考えた。
  • 露無 松里, 加藤 孝邦, 部坂 弘彦, 飯田 実
    2009 年 52 巻 4 号 p. 212-219
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/15
    ジャーナル フリー
    喉頭の良性腫瘍の中でも神経鞘腫は比較的少なく, 本邦では我々が渉猟しえた限りで, 過去に84例の報告があるのみである。今回我々は, 仮声帯に発生した神経鞘腫を経験したので報告した。症例は37歳女性で, 主訴は約3年間継続する嗄声であった。初診時診察の喉頭内視鏡検査にて, 左仮声帯の腫脹を認めた。全身麻酔下喉頭生検術で神経鞘腫の診断を得たため, 後日, 摘出術を行った。最終病理診断はAntoni A, B混合型の神経鞘腫であった。
  • 小森 学, 安藤 裕史, 露無 松里, 飯村 慈朗, 重田 泰史, 波多野 篤
    2009 年 52 巻 4 号 p. 220-225
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/15
    ジャーナル フリー
    両側同時性顔面神経麻痺で発症した, Guillain-Barré症候群の亜型であるfacial diplegia with paresthesiaに類似した臨床像を呈した小児例を経験したので報告する。症例は7歳男児である。先行する上気道感染の後に表情が乏しくなったことに両親が気付き当院小児科を受診し当科紹介となった。初診時, 額のしわ寄せ, 閉眼, 閉口が不能であり, 両側同時性顔面神経麻痺を認めた。両側同時性の顔面神経麻痺であるため原因疾患の検索を行ったところGuillain-Barré症候群との診断を得たため副腎皮質ホルモンを使用せず, 免疫グロブリン大量静注療法を施行した。治療後13日後には顔面神経麻痺も回復し, 入院19日目に退院となった。
    非常に稀ではあるが, 両側同時性顔面神経麻痺に遭遇した場合, 耳鼻咽喉科医はGuillain-Barré症候群, またその亜型であるfacial diplegia with paresthesiaを念頭に置き, 原因疾患の検索を行いつつ治療を行うことが重要であると考える。
境界領域
  • 力丸 英明, 清川 兼輔
    2009 年 52 巻 4 号 p. 226-234
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/15
    ジャーナル フリー
    前頭蓋底の再建において, 有茎の局所皮弁である側頭筋骨膜弁と前頭筋骨膜弁は大変有用な再建材料である。これらの再建材料の解剖と血行を熟知して局所皮弁として適切に用いることで, 前頭蓋底の再建術式はその安全性が高まり標準化された。したがって, 当施設では外傷や先天異常の症例に対しても応用している。
    前頭蓋底の再建とは, 硬膜欠損部をwatertightに再建すること及び頭蓋腔と鼻・副鼻腔を確実に遮断することである。硬膜欠損部の再建には, 薄くしなやかで血行を有する側頭筋骨膜弁が最適かつ最善である。側頭筋骨膜弁が血行を有することで, 術後早期に硬膜欠損部がwatertightとなり鼻腔からの逆行性感染に対する強力なバリアーとなる。したがって, たとえ頭蓋底に感染が生じたとしても局所感染に留まり髄膜炎や脳膿瘍などの重篤な合併症は回避される。また, 前頭筋骨膜弁の筋体の部分で頭蓋腔と鼻・副鼻腔との確実な遮断を行う。前頭蓋底に骨移植を行う場合は, 前頭筋骨膜弁より頭蓋腔側に移植を行うことで移植骨が鼻腔側に露出しないことに留意する。前頭蓋底の再建手技を外傷に応用する場合には, 篩骨蜂巣の削除と蝶形骨洞の開窓による鼻腔側へのドレナージが再建を成功させるうえで大変重要である。
    本術式を用いて53例の前頭蓋底再建を行った。5例に頭蓋底の局所感染を認めたが局所のデブリードマンと洗浄処置によって治癒した。全例で髄膜炎や脳膿瘍などの重篤な合併症は認めなかった。
画像診断
薬剤の特徴と注意点
学会関係【第5回 頭頸部表在癌研究会】
薬剤関係
  • 大澤 陽子, 窪誠 太, 山本 英之, 岡本 昌之, 伊藤 有未, 斎藤 寛, 山田 武千代, 佐々木 逸美, 久島 さゆり, 竹中 洋, ...
    2009 年 52 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/08/15
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症は, 毎年2月から4月の間, 日本全国の社会生活に影響を及ぼす代表的な季節性アレルギー性鼻炎である。そのため治療法も様々に工夫されている。その中でロイコトリエン受容体拮抗薬は有力なスギ花粉症治療薬にあげられる。ロイコトリエン受容体拮抗薬の季節性アレルギー性鼻炎に対する有効性は, いくつかのプラセボ対照二重盲検試験で確認されている。しかし, 薬剤投与開始時期や期間など, 実際の臨床の場で必要な情報はまだ十分に集積できていない状況である。
    本試験では, スギ花粉症初期の病態を再現し, ロイコトリエン受容体拮抗薬であるモンテルカストの有効性を, スギ花粉症患者51名を対象としたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験により検討した。試験デザインとしてスギ花粉非飛散期にモンテルカストを1週間投与し, その後スギ抗原ディスクを用いた鼻炎症状を誘発する方法にて, 鼻炎症状および日常生活の支障度に関する評価を行った。その結果, モンテルカストでは鼻閉症状をプラセボ群に比べて有意に抑制するとともに, くしゃみ, 鼻汁に対しても抑制傾向を示し, 鼻症状全般を有意に抑制した。また, モンテルカストでは, スギ抗原負荷後に日常生活の支障度の悪化を認めず, QOLの維持につながることが示された。また, 今回のモンテルカスト投与期間中に副作用は1例も認められなかった。
    以上より, スギ花粉症の初期療法においてモンテルカストの有効性および安全性が示唆された。
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