国民医療費抑制に後発医薬品が使用促進されている。平成20年4月の診療報酬改訂で, 処方せんの「後発医薬品への変更不可」欄に記載がない場合は, 薬剤師が患者に対して適切な後発医薬品を選択し, 患者同意のもと後発医薬品へ変更することが可能となった。後発医薬品の選択は, 価格だけではなく, 患者個々に応じた後発医薬品を選択できる利点がある。しかし, 適切な後発医薬品を迅速に検討するなど, 後発医薬品使用促進に向けては様々な問題も残る。今回の検討の目的は, 後発医薬品の選択基準の一助として付加価値型後発医薬品のデータベースを作成することにある。後発医薬品集掲載の製薬企業107社を対象とし, 各社が供給する付加価値型後発医薬品の有無, その製品名と付加価値内容をアンケート調査した。調剤性向上 (安定性改善など) や患者利便性向上 (速崩錠, 錠剤小型化など) という付加価値を考慮して付加価値型後発医薬品一覧表を作成した。アンケート回答を得た88社 (回収率82.2%) のうち52社が付加価値型後発医薬品を供給していた。アレルギー性鼻炎治療用噴霧剤のケトチフェン, フルチカゾン及びベクロメタゾンの3種製剤について付加価値型後発医薬品が供給されていることが明らかとなった。付加価値としては, メントール配合による臭い改善などが認められ, 臨床使用に供する有用なデータベースであることが示唆された。
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