耳鼻咽喉科展望
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53 巻 , 2 号
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カラーアトラス
綜説
  • 石川 和夫, アグンスイー ナカリン, 工藤 香児, 近江 永豪
    2010 年 53 巻 2 号 p. 92-102
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    歩行運動は, 人が時間をかけて獲得した社会生活を営む上で欠くことのできない重要な運動機能である。この機能制御機構に, 前庭系は深く関与しており, したがって, この領域の異常は, 歩行異常をもたらす。歩行運動の制御機構を概説するとともに, 前庭系の異常が歩行分析で如何に描出されるかについて, 我々が行って来たタクタイルセンサーシステムを用いてのめまい患者の歩行解析結果を中心に述べた。対象疾患は, 前庭神経炎, 聴神経腫瘍, 脊髄小脳変性症である。前庭系障害による歩行異常は, 歩行位相関連パラメータのうち, 主に立脚期, 遊脚期の変動係数の増加として示され, 歩行制御系の異常の程度と概ね平行した異常を示す。特に暗所下に異常が明瞭化し, 視覚入力は, 前庭障害による歩行異常を補償するように作用する。こうした, 歩行異常は, 立脚期の足圧分布曲線や足圧中心移動軌跡の定常性の乱れにも反映される。見かけ上歩行異常を見いだせない小聴神経腫瘍患者においても, 歩行異常は示され, 特に, 半規管麻痺のある症例で顕著であった。
臨床
  • 山本 和央, 内水 浩貴, 田中 康広, 志和 成紀, 小島 博己, 森山 寛
    2010 年 53 巻 2 号 p. 103-111
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    耳硬化症の初回手術症例について術後聴力成績, 不成功例および術後長期における聴力悪化の要因, そして術前CT所見と聴力像との関係につき検討を行った。
    対象は156例192耳であり, 手術時年齢は14歳から73歳まで平均年齢は45.7歳であった。施行した術式は, small fenestra stapedectomyが177耳, partial stapedectomyが11耳, total stapedectomyが4耳であった。全例にSchuknechtのテフロンワイヤーピストンを使用した。ワイヤーピストンの長さは4.25mmが最も多く用いられた。
    術後聴力成績の成功例は188耳 (97.9%: 日本耳科学会聴力改善の成績判定2000年) であった。不成功例は4例であり, 長期経過後に聴力が悪化したものは3例であった。それらの要因としてピストン周囲の線維性組織の増生やピストンの脱落・偏位が考えられた。
    CT所見と術前聴力像については, 62%の症例で術前CTにおいて内耳周囲に脱灰像を認めたが, CT所見と術前聴力像との間に関連はみられなかった。
  • 江川 峻哉, 嶋根 俊和, 小野 智裕, 森 智昭, 三邉 武幸
    2010 年 53 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    歯科治療に伴う局所麻酔中に針が口腔内から迷入し, 口腔側からは見出すことができず, 術中に透視をすることによって口腔内から翼突筋内の異物を摘出した症例を経験した。単純エックス線画像では異物の存在は確認できるが正確な部位を確認できなかった。CTにて右内側翼突筋から一部口蓋帆挙筋に入り込むように約20mmの針金様の陰影を認めたため頸部外切開による摘出は困難と考え, 口腔からのアプローチを行い, 術中透視を併用しながら異物を摘出した。
    咽頭・喉頭異物には様々な種類があるが視診上, 内視鏡上異物を確認できなくても異物が存在する可能性があることを念頭におき診療にあたるべきと考えた。
  • 澤井 理華, 浅香 大也, 鴻 信義
    2010 年 53 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    粘液嚢胞を合併した巨大な中鼻甲介蜂巣の1症例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は18歳男性で右鼻閉を主訴に当科を紹介受診となった。鼻内所見上, 右鼻腔内に充満する巨大な腫瘤性病変と, 左に凸の鼻中隔彎曲症を認めた。副鼻腔CT所見上, 35×20mmの中鼻甲介蜂巣が右鼻腔内を充満し, 内部には均一な軟部濃度陰影を認めた。
    以上より, 粘液嚢胞を合併した右巨大中鼻甲介蜂巣, 鼻中隔彎曲症, 慢性副鼻腔炎の診断にて, 全身麻酔下に両側内視鏡下鼻副鼻腔手術, 鼻中隔彎曲矯正術を施行した。右中鼻甲介蜂巣を開放すると, 内部より白色粘稠な貯留液を認めた。中鼻甲介蜂巣の内側壁は温存し, 外側壁をすべて除去した後, 甲介を整復した。現在術後5ヵ月, 経過良好であるが今後定期的な経過観察が必要と考える。中鼻甲介蜂巣が巨大化すると, 二次性副鼻腔炎の惹起のみならず, 甲介性鼻中隔彎曲を引き起こす可能性がある。鼻副鼻腔形態異常の整復のため, 鼻中隔彎曲矯正術, 内視鏡下鼻内手術は有用と考えた。
  • 小野 智裕, 嶋根 俊和, 江川 峻哉, 森 智昭, 三邉 武幸
    2010 年 53 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    2005年9月から2009年8月までの4年間に手術治療を行った顎下腺腫瘍33例を対象とし, 年齢分布, 腫瘍の大きさ, 病理組織学的分類, 病悩期間, 穿刺吸引細胞診の有用性について検討した。
    良性腫瘍26例のうち, 多形腺腫が20例と最多であった。悪性腫瘍は7例で, その内訳は腺癌, 腺様嚢胞癌, 多形腺腫内癌, 唾液腺導管癌, 粘表皮癌, 扁平上皮癌, 肺癌の転移であった。顎下腺腫瘍の中で悪性腫瘍の占める割合は21.2%であった。年齢分布では高齢女性で悪性腫瘍の頻度が高く, 腫瘍の大きさについては, 良性・悪性に差は認められなかった。病悩期間は良性40.3ヵ月に対し悪性75.3ヵ月であった。術前に穿刺吸引細胞診を行い, 正診率は92.3%, 敏感度66.7%, 特異度100%であった。
    穿刺吸引細胞診の有用性を認めたが, 偽陰性率も33.3%であり日常診療時のインフォームド・コンセントにも考慮すべき因子であると思われた。
境界領域
  • 佐伯 直勝, 堀口 健太郎, 村井 尚之, 長谷川 祐三, 花澤 豊行, 岡本 美孝
    2010 年 53 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    This is a report to describe the procedure of the endoscopic endonasal skull base reconstruction using a vascularized nasoseptal flap. Between November 2008 and October 2009, 22 patients underwent reconstructions using a nasal septal flap combined with a balloon catheter (flap group) for closure of large dural defects after the endoscopic endonasal skull base approaches. The method is as follows; We start to harvest the nasal septal flap as a mucoperichondrial flap based on the posterior septal branch of sphenopalatine artery. The middle nasal turbinate is usually dissected. The first incision is the anterior vertical incision made with unipolar electrocautery at the intercutaneomucous point of the nasal vestibule. The second incision is made the along the floor of the nasal cavity from the choana to the location of the initial anterior incision. Thereafter, the superior incision to the sphenoid ostium is made 1.0∼1.5cm below the most superior aspect of the nasal septum. The pedicle of the flap formed in the width from the sphenoid ostium to the choana is extended laterally to the level of the sphenopalatine foramen. The nasal septal flap is usually placed in the nasopharynx until using in later reconstruction. On the reconstruction phase, the nasal septal flap is laid directly on the large dural and bony defect and fat grafts are applied outside with fibrin tissue glue. A Sinus balloon catheter is finally placed as support for 7∼10 days. Otorhinolaryngological endoscopic assessments are regularly performed at outpatient clinics.
    Postoperative CSF leaks occurred in two patients (9.1%) Conclusions: Our endoscopic endonasal skull base reconstructions using a nasal septal flap combined with a balloon catheter are useful and reliable for ventral skull base defects after endoscopic endonasal approaches.
画像診断
薬剤の特徴と注意点
紹介
  • ―医師と非常勤言語聴覚士との連携―
    佐藤 公則
    2010 年 53 巻 2 号 p. 137-141
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科有床診療所である当院は, 手術, 薬物療法・処置, 音声治療を組み合わせた集学的治療を音声障害に対して行っている。音声治療に関しては, 非常勤の言語聴覚士と連携を行っている。本稿ではその診療の現状を, 1) 耳鼻咽喉科診療所における音声治療の問題点, 2) 当診療所における音声治療の現状, 3) 当診療所における音声治療の目標, 4) 当診療所における音声治療の問題点の各項目に分け報告した。
    耳鼻咽喉科医は音声言語障害の専門医であり, 言語聴覚士が常勤でなくても音声障害に対する集学的治療の一環として, その適応と限界を踏まえた音声治療を行うことが大切である。そのためには言語聴覚士との連携が耳鼻咽喉科診療所においても不可欠である。
薬剤関係
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