耳鼻咽喉科展望
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53 巻 , 4 号
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カラーアトラス
綜説
  • 清水 猛史
    2010 年 53 巻 4 号 p. 218-227
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    好酸球性副鼻腔炎に特徴的なニカワ様鼻汁や鼻茸形成の病態に, 凝固線溶系の活性化が関わっているとの仮説をもとに研究をすすめてきた。気道炎症では血管透過性の亢進により凝固因子が血管外へ漏出し, 外因系凝固の起点である組織因子発現の亢進を介して凝固線溶系が活性化される。実際に鼻汁中にはトロンビンが高濃度に認められ, 特に好酸球性副鼻腔炎で有意に高濃度である。トロンビンは鼻粘膜上皮細胞のPAR-1受容体を介して, 粘液産生やVEGF・PDGF産生を生じ, PDGFによる線維芽細胞の増殖や細胞外マトリックスの産生, VEGFによる血管新生や血管透過性の亢進などを促して, 杯細胞化生や鼻茸形成などの組織リモデリングが生じる。
    一方, 抗凝固因子である活性化プロテインC (APC) やヘパリンには多彩な抗炎症作用があり, 特にヘパリンはin vitroで鼻粘膜上皮細胞からの粘液産生やIL-8産生を抑制し, in vivoでラット鼻粘膜上皮の杯細胞化生や抗中球浸潤を抑制する。ヘパリンなどの抗凝固薬を利用した局所療法は, 現状ではステロイド以外に有効な薬物療法のない好酸球性副鼻腔炎に対する新たな治療法になる可能性がある。
臨床
  • 小森 学, 新井 千昭, 安藤 裕史, 露無 松里, 飯村 慈朗, 重田 泰史, 波多野 篤
    2010 年 53 巻 4 号 p. 228-233
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    目 的: 肺結核患者における耳鼻咽喉科領域の結核合併率を調べること。
    デザイン: 前向き研究。
    対 象: 2008年10月1日から2009年9月30日に当院の結核病棟に入院となった患者において, 抗結核薬投与前に検査を施行し得た72人を対象とした。
    方 法: 自覚症状の問診, 視診による鼓膜所見, 咽頭所見, 軟性内視鏡による鼻咽腔から喉頭にかけての所見, 頸部触診を行い, 疑わしい所見に対しては精査を施行した。
    結 果: 疑い例も含めて5人において耳鼻咽喉科領域の結核病変が合併していた。内1人は中耳結核から診断が付いた肺結核であった。年齢別に検討を行ったところ, 40歳未満において耳鼻咽喉科領域の結核合併率が有意に高かった。
    結 論: 40歳未満の肺結核患者では耳鼻咽喉科領域のスクリーニング検査が有用であることが示唆された。
  • 中山 次久, 真崎 正美, 宮崎 日出海
    2010 年 53 巻 4 号 p. 234-238
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    歯科領域においてインプラント治療は確立した治療であるが, その普及に伴って合併症の報告も散見されるようになった。我々の施設でも, インプラント治療に関連した上顎洞炎を3症例経験したので報告する。インプラント治療には, インプラントそのものの植立以外に, 上顎骨底に十分な骨量がない場合に行う上顎洞底挙上術がある。インプラント体や上顎洞底挙上術の際の骨移植材料が上顎洞内に迷入した場合は, 異物として除去することにより良好な経過をたどるが, 上顎洞内にインプラント体が穿通し上顎洞炎を引き起こした場合は, インプラントとして機能していることもあり, インプラントの抜去には歯科医師, 患者ともに否定的で治療に難渋する。今後, インプラント治療の普及に伴い, 歯科インプラント治療に伴う上顎洞炎が増加することが懸念される。
  • 浅香 大也, 吉川 衛, 中山 次久, 大櫛 哲史, 鴻 信義, 森山 寛
    2010 年 53 巻 4 号 p. 239-245
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の術後急性増悪に対するアジスロマイシン単回投与製剤の臨床効果について, レボフロキサシンを対照薬として比較検討した。対象は平成21年10月から平成22年4月まで, 東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科を受診し慢性副鼻腔炎の診断にて内視鏡下鼻内手術を施行し, 術後経過観察中に急性増悪をきたした症例30例である。以上の対象をアジスロマイシン投与群 (n=15) とレボフロキサシン投与群 (n=15) に割り付け, 耳鼻咽喉科領域抗菌薬薬効判定基準に基づいた臨床効果および自覚症状, 細菌学的効果について比較検討した。薬効判定基準による有効率は全体で83.3% (25例/30例) であり, アジスロマイシン群が86.7% (13例/15例), レボフロキサシン群が80% (12例/15例) とほぼ同等であった。自覚症状スコアはアジスロマイシン群, レボフロキサシン群ともに薬剤投与3日後から有意に改善し, 両群間に有意差を認めずアジスロマイシンはレボフロキサシンとほぼ同等の優れた臨床効果を示した。細菌学的効果 (菌消失率) は投与14日後において全体で81.5% (22株/27株), アジスロマイシン群では71.4% (10株/14株), レボフロキサシン群は92.3% (12株/13株) であった。
    以上よりアジスロマイシン単回投与製剤は慢性副鼻腔炎急性増悪に対して有効な抗菌薬と考えられた。
解説
  • 三枝 英人
    2010 年 53 巻 4 号 p. 246-253
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    Suprahyoid muscles are composed of three different originated muscles, including the first branchial muscles (the mylohyoid and the anterior belly of the digastrics muscle), the second branchial muscles (the stylohyoid muscle and the posterior belly of the digastrics muscle), and the occipital somite (the geniohyoid muscle). The history of the suprahyoid muscles indicate that those muscles might differentiate along the history of the jaw of the vertebrates. And the hyoid bone in the human being does not connect any other bonny or cartilaginous structures, while the hyoid bone or cartilage in the another vertebrate connecting with the other branchial structures or the skull. It could be considered that the hyoid bone in the human being could act as a fulcrum of the submandibular bone and a tractor of the larynx, and the suprahyoid muscles could play successively both rolls of the hyoid bone for according to the functions including mastication, swallowing, speech production, singing, expression, and so on.
境界領域
  • 吉田 知之, 岡本 伊作
    2010 年 53 巻 4 号 p. 254-259
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    Superselective intra-arterial chemotherapy combined with radiotherapy was performed for advanced nasal cavity and paranasal sinus cancers that were considered to involve the base of the skull or have some bone involvement to evaluate the efficacy of first line therapy and adverse events (AEs). Assessment of the efficacy of first line therapy, which took into consideration the postoperative pathological findings, demonstrated complete and objective response rates of 65% and 92.5%, respectively. Only one grade 4 AE occurred. The other AEs were all reversible and no serious AEs were observed. As our future therapeutic strategy, we have changed our practice and are investigating the possibility of superselective intra-arterial chemotherapy concurrent with 60 Gy radiotherapy regardless of the T classification followed by a salvage operation at the time of confirmation of residual or recurrent carcinoma while adopting a wait-and-see approach.
画像診断
薬剤の特徴と注意点
薬剤関係
  • 藤倉 輝道, 渡邊 健一
    2010 年 53 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/08/15
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎においては朝, 起床時の症状の悪化が認められMorning Attackと呼ばれている。我々は塩酸オロパタジンを用いて抗ヒスタミン薬の就寝前投与が通年性アレルギー性鼻炎においてMorning Attackを抑えるか否か検討を行った。鼻閉に関してはpeak nasal inspiratory flow (PNIF) を用いた評価を行った。塩酸オロパタジン5mgの就寝前ならびに朝食後の内服により, 起床後1時間以内のくしゃみ, 鼻汁スコア, PNIF値は投与2日目の朝から改善がみられた。鼻症状の概日リズムと投与薬剤のTmaxとT1/2に配慮したクロノセラピーは患者の治療に対する満足度を上げる意味からも重要であると考えられた。
    また, PNIFによる鼻閉の自己評価は数値により客観的に治療効果を判断することにつながり, これもまた患者自らが症状を評価しコントロールする上での一助となると考えられた。
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