小児難治性 (反復, 既往, 遷延) 中耳炎を対象として, Tebipenem pivoxil (TBPM-PI) とCefditoren pivoxil (CDTR-PI) 高用量の比較試験をして, 臨床効果, 有用性ならびに細菌学的な検討を行った。そして経口カルバペネム系抗菌薬TBPM-PIの中耳炎治療における位置づけについて検討してみた。
有効率はTBPM-PI群が92%, CDTR-PI群が83%であり, また著効率はTBPM-PI群が58%, CDTR-PI群が33%であった。TBPM-PI群の高い著効率は, 本剤投与による速やかな改善を示すものであった。
肺炎球菌に対するMIC
90はTBPMが0.063μg/ml, CDTRが1.0μg/mlでありTBPMのほうが優れており, インフルエンザ菌に対するMIC
90はTBPMが1.0μg/ml, CDTRが0.5μg/mlでほぼ同等の感受性を示した。
TBPM-PIは強い抗菌作用により, 小児の難治性中耳炎に対して有効であることが示されたが, 安易な使用は避けたほうがよいと考える。したがってTBPM-PIは他の抗菌薬の効果が期待されない, または効果がなかった場合, あるいは明らかにpenicillin insensitive
S. pneumonoae (PISP), penicillin resistant
S. pneumonoae (PRSP), β-lactamase negative ampicillin resistant (BLNAR) などが起炎菌である場合のみに厳選して使用すべき抗菌薬と考える。また小児急性中耳炎診療ガイドラインの中では, 中等症・重症の症例で難治の場合Ceftriaxone (CTRX) 点滴治療とあるが,その前に投与してみる抗菌薬として位置づけるのがよいかと考える。
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