耳鼻咽喉科展望
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56 巻 , 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
カラーアトラス
臨床
  • 松脇 由典, 小川 晴彦, 岩﨑 聖子, 宇野 匡祐, 若林 真理子, 坂本 和美, 大櫛 哲史, 鴻 信義, 森山 寛, 小島 博己
    2013 年 56 巻 6 号 p. 352-362
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/12/15
    ジャーナル フリー
     背景・目的: 真菌に対する I・III アレルギー性炎症を病態とするアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎は, 難治性副鼻腔炎の1つとして注目されている。スエヒロタケは真正担子菌の1つでいわゆるキノコに属する真菌である。病原真菌として日本からの報告が世界の46% を占め, その内アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎やアレルギー性気管支肺真菌症の報告が多く近年注目されている。しかしこれまではスエヒロタケに対する I 型アレルギーの証明が不可能であったため, 確定診断に至っていないことが多い。今回我々は PCR 解析によるスエヒロタケの検出と同抗原に対する I 型アレルギーを証明し, アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎の診断が可能であるかを検討した。
     方 法: 慢性副鼻腔炎の診断のもと, 内視鏡下鼻内手術を施行し真菌検査を行った458例中, 通常の真菌培養検査では判定困難な真菌10検体に対して PCR 解析による真菌同定を試みた。スエヒロタケが検出された5症例に対し, スエヒロタケに対する I 型アレルギー (皮内テスト, 血清中特異的 IgE 値〔RAST〕) の有無を検査し, アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎であるか, あるいは真菌塊であるかを診断した。
     結 果: 真菌培養検査からは458検体中, 26検体に真菌が検出されアスペルギルス属10検体, ペニシリウム属6検体, 不明真菌10検体であった。形態解析からは同定困難であった不明真菌に対して PCR 解析による同定を試みた結果, 5検体においてスエヒロタケが同定された。スエヒロタケが検出された5症例は, CT などの画像所見, 手術所見, 病理所見からは3例がアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎, 2例は真菌塊が疑われた。前者の3例はスエヒロタケに対する皮内テスト/RAST とも陽性であり, スエヒロタケによるアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎と診断した。後者2例中1例はスエヒロタケに対する皮内テスト/RAST ともに陰性であり, 臨床所見と合致した結果であった。アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎3例のうち, 2例に術後再発を認め, 1例では3度の再発を認め, コントロールの難しい症例であった。
     考 察: 形態的に同定不可能な真菌に対し PCR 解析を行うことにより菌種同定が可能であった。本邦において培養不明真菌の中にスエヒロタケが多く含まれている可能性が示唆された。スエヒロタケ抗原による皮内テストと血清中真菌特異的 IgE によりアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎の診断を確定し, 疾患特異的な治療が可能となった。
  • 宮脇 剛司, 大櫛 哲史, 浅香 大也, 鴻 信義, 内田 満
    2013 年 56 巻 6 号 p. 363-371
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/12/15
    ジャーナル フリー
     Nasal valve (鼻弁) は, 鼻気道と鼻腔抵抗の両者を制御する複雑な構造体である。今回我々は内鼻弁と外鼻弁の両者の狭窄による鼻閉に対し, spreader graft, columella strut, alar batten などの美容外科手技を組み合わせた open septorhinoplasty によって治療した。症例は23歳男性で労作時の鼻閉を主訴に来院した。外鼻は軽度の鞍鼻変形を認めるのみで CT 画像には異常所見を認めなかった。鼻腔通気度検査は座位, 臥位ともに呼気・吸気抵抗の軽度の上昇を認め, 強制吸気時には鼻孔は完全に閉塞した。鼻弁狭窄による鼻閉と診断し, Rethi 切開を鼻孔に延長して open septorhinoplasty を行った。L strut を10mm 幅で温存し septal extension graft を兼ねた4×25mm 大の spreader graft 2枚と columellar strut, 左右の alar batten を行った。術後の鼻腔通気度検査では気道抵抗が平均値以下に改善し, 強制吸気時にも鼻弁の閉塞はない。今回我々は本邦では比較的まれな内鼻弁と外鼻弁の両者の狭窄による鼻閉の治療を経験した。脆弱な軟骨構造に由来する鼻弁狭窄症例に対し, 美容外科手技を応用することで機能的, 整容的な改善が得られた。
  • 露無 松里, 小林 俊樹, 太田 史一, 部坂 弘彦, 加藤 孝邦
    2013 年 56 巻 6 号 p. 372-378
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/12/15
    ジャーナル フリー
     比較的稀な疾患である喉頭アミロイドーシスの5症例を経験した。男性2症例, 女性3症例であり, 20歳代から60歳代までの広い年齢層に認められた。5症例中4症例は限局型アミロイドーシスと診断されたが, 1例のみ, 胸部に病変が存在する可能性が否定しきれなかった。5症例中3症例を現在も経過観察中であるが, 病変の増大は認めていない。
     我々が渉猟しえた範囲では1940年から2012年における本邦での喉頭アミロイドーシス症例の報告は自験例を含め180症例であったが, 喉頭の局在部位としては声門上に存在する例が最も多かった。また, 症状として嗄声を訴え受診する症例が多いことを考慮すると, 小病変を声門上に有しながらも無症状で経過している症例が潜在的に多く存在している可能性が考えられた。本疾患は完全摘出が困難であるため, 病変の増大による気道狭窄に備えて経過観察を行い, 治療を行うとしても減量術に留め侵襲を最小限にするなど, 患者の QOL を損なわないようにする配慮が必要である。
  • 栗原 渉, 安藤 裕史, 近澤 仁志, 谷口 雄一郎, 鴻 信義, 小島 博己
    2013 年 56 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/12/15
    ジャーナル フリー
     上咽頭の嚢胞性病変は報告が少なく, まれな疾患とされる。今回, 睡眠時無呼吸を契機に発見された上咽頭側壁嚢胞の1症例を経験した。症例は5歳の男児で, 近医にて上咽頭嚢胞が発見された。簡易ポリソムノグラフィーの結果, 無呼吸低呼吸指数 (Apnea-Hypoxia Index: AHI) 16.3回/hr と睡眠時無呼吸症候群 (Sleep Apnea Syndrome: SAS) が疑われ, 当院に上咽頭嚢胞に対する手術加療目的で紹介となった。いびきの改善がみられず, また, 嚢胞に感染を繰り返したため, 全身麻酔下に嚢胞開窓術が行われた。嚢胞はその局在と病理組織所見より, 鰓性嚢胞と考えられた。術後2年が経過した現在も再発を認めていない。上咽頭の鰓性嚢胞は本邦でこれまでに15例が報告されており, 小児例では SAS の原因となることが多い。我々の経験した1症例を提示し, 鰓性嚢胞の診断と治療法について, 文献的考察を加え報告する。
  • 武田 桃子, 小森 学, 山本 和央, 宇田川 友克, 谷口 雄一郎, 鴻 信義, 小島 博己
    2013 年 56 巻 6 号 p. 386-390
    発行日: 2013/12/15
    公開日: 2014/12/15
    ジャーナル フリー
     我々は先天性真珠腫に弛緩部型真珠腫を合併した1症例を経験したので報告する。症例は53歳男性である。数年前からの左聴力低下を主訴に前医を受診した。左耳の弛緩部型中耳真珠腫の疑いにて当院へ紹介受診となった。側頭骨 CT において術前より鼓膜張筋腱の上方に存在する軟部濃度陰影を認めてはいたが, 鼓膜所見で上鼓室の陥凹を認め, 弛緩部型真珠腫として鼓室形成術を施行した。しかし, 術中所見で上鼓室に弛緩部型真珠腫の上皮とは明らかに連続性のない先天性真珠腫と考えられる孤立性病変を認め, 先天性真珠腫に弛緩部型真珠腫を合併したものと診断した。先天性真珠腫が上鼓室のみに存在する症例は稀で報告も少ない。従来まったく成因が異なるとされている両疾患であるが, 先天性真珠腫が上鼓室の aeration をブロックしたことにより続発性に弛緩部の陥凹を生じたものと考えられた。
画像診断
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