今回, 我々は重症喘息に好酸球性副鼻腔炎と好酸球性中耳炎を合併した患者に対し, 抗IgE抗体製剤であるオマリズマブを投与し, ステロイド経口投与を減量, 離脱でき経過良好な1例を経験したので報告する。
症例はコントロール不良な重症喘息患者で鼻閉, 嗅覚障害, 両側耳閉感, 両側耳鳴を訴えていた。血液検査上, 末梢血中好酸球数が9.1% (白血球数7,000/
μl) と上昇, 中耳ムチン中に好酸球を群性に認め, 副鼻腔CT所見上, 篩骨洞を中心とした軟部濃度陰影を認めたことから, 好酸球性中耳炎, 好酸球性副鼻腔炎と診断した。保存的治療と内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行ったところ, 両側耳漏, 両側耳閉感は残存したものの鼻症状と喘息症状は一時治まった。術後1年半頃より鼻症状と喘息症状が増悪したため, オマリズマブを投与した結果, 鼻症状, 喘息症状は治まり, 好酸球性中耳炎の増悪の回数が減少した。オマリズマブ投与5ヵ月でステロイド内服の中止が可能となり, 現在のところ副作用も認めていない。
オマリズマブは喘息, 好酸球性副鼻腔炎, 好酸球性中耳炎に効果的であると考えられ, 好酸球性副鼻腔炎, 好酸球性中耳炎の病態にIgE産生が関係していることが示唆された。
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